高麗神社の狛犬

20170713

所在地: 埼玉県日高市・高麗神社
拝観日: 2015年8月23日(埼玉県立歴史と民俗の博物館)

この狛犬は、高麗郡建郡1330年記念に、埼玉県立歴史と民俗の博物館にて企画された「高麗郡1300年」展にて見たもの。

霊亀2年(716)に、駿河、甲斐、相模、上総、常陸、下野の高麗人1799人が武蔵国に移され、高麗郡が置かれた。
その多くは、668年の高句麗滅亡前後に難を逃れて日本列島に渡来した人達である。
その精神的支柱となったのが、天智5年(666)に高句麗からの使者として渡来したが、母国の滅亡により列島にとどまった「玄武若光」であり、大宝3年(703)に朝廷から「王(こしき)」姓を賜った。
その「高麗王若光」を祀っているのが高麗神社。

今回の狛犬は、高麗郡建郡1330年記念に復元彩色されたもの。

拝殿に安置されているもので、宝暦7年(1757)に日待講中が随身と一緒に奉納したもの。
作者は、「武陽住日本橋/大仏師埜村玄蔵」とあり、仏師の作とわかる。

年代:宝暦7年(1757)
材質:木製
型式:神殿型

右の阿形獅子
170713koma01.jpg


170713koma02.jpg


左の、角を持った吽形獅子
170713koma03.jpg


170713koma04.jpg


特徴:
・右は阿形、たてがみが巻き毛で獅子。
・左は吽形、こちらもたてがみが巻き毛で獅子。角がある。
・顔は、阿形が笑いかけてるような、吽形は済ましているようで、親しみやすい。
・耳は立っている。鼻は割と目立つ。眉が太い。
・牙は目立つ。
・身体には転々と台風の目のような巻き毛が描かれている。
・前足は、直立。後足は蹲踞。
・尾は、記憶になし。

彩色は、ビロードの布を貼り付けたかのように厚みのあるもので、とても綺麗だった。
基本的に茶と白の彩色で、一部金も使われているが、シンプルなのが、かえって親しみやすい好印象を与えている。



狛犬の記事一覧を見る



スポンサーサイト

穴八幡宮・神武天皇遙拝所の狛犬

20170704

所在地: 東京都新宿区西早稲田
撮影日:2014年5月8日

年代:宝暦5年(1755)
材質:石造
型式:宝珠・角型(尾立ち)

江戸時代に入ると、狛犬の角に対して、獅子の頭上にも宝珠をつけるものが出てきました。
「江戸狛犬」と呼ばれるタイプは流麗な唐獅子を基本としており、阿・吽像は、ほぼ同じ姿形をしている。姿の上では「獅子・狛犬」ではなく、「獅子・獅子」になっています。
その結果ほとんどの江戸狛犬は、阿像はもちろん、吽像の頭にも角はありません。

しかし、江戸時代の狛犬の中には、畔像に角があるだけではなく、阿像に宝珠(摩尼珠)がついているものがいくつかあります。宝珠は仏教からきています。
神仏習合の形が、ここにも見られます。

宝珠・角型狛犬は明治期になると姿を消します。
神殿型狛犬(獅子・狛犬)の正しい様式が伝わり、「あれは誤りだ」とされたからでしょう。


穴八幡宮境内の神武天皇遙拝所に、その狛犬はあります。
170704ana01.jpg


右に宝珠を載せた獅子
170704ana02.jpg


170704ana03.jpg


170704ana04.jpg


左に角を持った獅子
170704ana05.jpg


170704ana06.jpg



特徴:
・右は阿形、たてがみが巻き毛で獅子。頭に宝珠を載せる。
・左は吽形、こちらもたてがみが巻き毛で獅子。角がある。
・顔は、ユーモラスな笑い顔。
・耳は垂れている。鼻はそれほど大きくない。眉が大きく江戸狛犬の特徴となっている。
・牙はあることはあるが、目立っていない。
・前足は、ちょっと前に出し直立。後足は蹲踞。
・四肢には翼のような巻き毛があるが、目立つものではない。
・尾は、立っている。


年号は宝暦5年(1755)。
170704ana07.jpg


宝珠を載せた狛犬は、わりと多いが、ほとんどは「摩尼珠」という玉を載せたもの。
今回の例のような、見事な宝珠を載せたものは、他に見つけていない。
吽形のほうの角も、大変立派な角だ。
これは、とても貴重なものです。


狛犬の記事一覧を見る



上野公園・花園稲荷神社の狛犬

20170623

所在地:東京都台東区上野公園4−17
撮影日:2016年11月21日

上野公園の上の広い通り「さくら通り」から入って、斜面を下る感じで、花園稲荷神社と五條天神社がある。
その「さくら通り」に面して、この狛犬はある。
170623hana01.jpg


普通お稲荷さんは、赤い鳥居で狐である。
だから石の鳥居と狛犬は五條天神社のものかなとも考えたが、石の鳥居の社額をよく見ると「稲荷神社」とある。
よって、花園稲荷神社の狛犬と解釈する。

年代:宝暦3年(1753)
材質:石造
型式:はじめ型(尾立ち)

右は阿形獅子
170623hana02.jpg


170623hana03.jpg


170623hana04.jpg


170623hana05.jpg


たてがみは巻き毛で、襟毛がマントのようにまっすぐに流れている。
170623hana06.jpg


左は吽形獅子
170623hana07.jpg


170623hana08.jpg


170623hana09.jpg


170623hana10.jpg


170623hana11.jpg


特徴:
・右は阿形、たてがみが巻き毛で獅子。
・左は吽形、こちらもたてがみが巻き毛で獅子。角なし。
・顔は、ユーモラスな笑い顔だが、口が極端に大きく、舌ものぞかせている。
・耳は垂れさがり、鼻はそれほど大きくない。眉がつり上がって目の周りを半周している。
顎鬚も目立つ。
・表情はにらんで笑っている感じ。
・前足は、ちょっと前に出し直立。後足は蹲踞。
・四肢に翼のように伸びた巻き毛がある。
・尾は、筋の細かいヘチマ瓜状で、側面に巻き毛で、立っている。


年号は宝暦3年(1753)
170623hana12.jpg


尾は、筋の細かいヘチマ瓜状で、側面に巻き毛。はじめ型に珍しく立っている。
170623hana13.jpg


170623hana14.jpg


四肢に翼のように伸びた巻き毛がある。
170623hana15.jpg



顔、身体の特徴は「はじめ型」なのに、尾が立っている珍しい狛犬。
「江戸狛犬」への転換期と云える。


狛犬の記事一覧を見る



十二社熊野神社境内社・大鳥神社の狛犬

20170619

所在地:東京都新宿区西新宿 十二社熊野神社境内社・大鳥神社前
撮影日:2017年6月18日

新宿十二社(じゅうにそう)熊野神社は、JR新宿駅から都庁に向かって歩き、都庁のすぐ先にある新宿中央公園に隣接してある。
新宿駅から歩き始めた時にボツボツと雨が降り出したが、小雨にもいかない感じなのでそのまま歩いていった。
熊野神社に着いて撮影を始めたら、いきなり土砂降りとなり雨宿り。
雨が小雨になったので、撮影を再開した。
樹が多いので狛犬はほとんど濡れていないが、場所によってまだらに濡れた写真となってしまった。

年代:享保12年(1727)
材質:石造
型式:はじめ型

はじめ型で、四肢の間をまったく彫っていない箱状の狛犬を、写真では見ていたが実物に初めて対面した。
感激である。

境内社大鳥神社と狛犬
170619shinjuku01.jpg


右側の阿形獅子。
170619shinjuku02.jpg


170619shinjuku03.jpg


170619shinjuku04.jpg


笑い顔なのだが、口と歯がすごいので、ちょっとギョツとする。
170619shinjuku05.jpg


上から見ると可愛い。
170619shinjuku06.jpg


左側の吽形獅子。
170619shinjuku07.jpg


170619shinjuku08.jpg


歯が乱杭状で迫力ある。
170619shinjuku09.jpg


はじめ型に珍しく、牙がある。
170619shinjuku10.jpg


特徴:
・右は阿形、たてがみが巻き毛で獅子。
・左は吽形、こちらもたてがみが巻き毛で獅子。角あり。
・顔は、ユーモラスな笑い顔だが、口が極端に大きいので迫力がある。
・耳は伏せ、鼻はつぶれて横にひろがり、口は大きい。歯並びが乱杭状で牙もある。
・表情は笑い顔だが、ちょっとグロテスク。
・前足は、直立。後足は蹲踞。
・脚の間がまったく彫りこまれておらず、箱状になっている。
・尾は、植物上の巻き毛で、背中に付いている。


四肢の間がまったく彫りこまれておらず、箱状になっている。
170619shinjuku11.jpg


年号は前足の間に彫りこまれている。
170619shinjuku12.jpg


吽形の角は、もともと二本あったようだが、傷んでいるようだ。
170619shinjuku13.jpg


尾は、植物状の巻き毛で、背中に付いている。
170619shinjuku14.jpg


170619shinjuku15.jpg



はじめ型では脚の間を彫りこんでいないものが見られ、後足の間を彫っていないのはよく見られるが、四肢の間がまったく彫られていないのは珍しい。
その貴重な例である。



狛犬の記事一覧を見る



東大寺南大門の狛犬

20170610

所在地:奈良県奈良市雑司町 東大寺南大門内側
撮影日:2017年3月24日

年代:建久七年(1196)
材質:石造
型式:中国獅子型(東大寺南大門型)
国指定重要文化財

この狛犬は、製作年代がはっきりしているので、「日本最古の石造狛犬」と位置付けられている。

東大寺・南大門の狛犬は、鎌倉時代の東大寺復興期に作られました。
東大寺再建の陣頭に立ったのが、中国・南宋へ3度も渡ったと伝わる「俊乗坊重源」です。
奈良の大仏の鋳造と、大仏殿の再建のために、宋の技術者「陳和卿(ちんなけい)」などを呼び寄せ、再建を進めました。
この狛犬を作ったのは、宋人石工「伊行末(いのゆきすえ)」。
南宋時代に現在の中国浙江省寧波付近で生まれ、同じ時期に宋から日本へ招かれ、南都焼討後の東大寺復興にあたりました。

東大寺には何度も訪ねているというのに、この狛犬の写真をきちんと撮っていなかったため、青春18キップの旅の三日目、朝食前にホテルを6時半くらいに抜け出し撮影してきました。

朝早いので、観光客でにぎわう東大寺も静かでした。

南大門
170610toudaiji01.jpg


向かって左側(本殿から見て左)、吽形の仁王像の裏にあたる。
東大寺南大門の仁王の阿吽は、通常と反対の位置となっている。
雌雄があり、こちらが雄となっている。
基壇もふくめた高さは321.5cm。
170610toudaiji02.jpg


全体が傾いている。
170610toudaiji03.jpg


狛犬だけの横と正面。
170610toudaiji04.jpg


170610toudaiji05.jpg


正面からの顔。
顔面が破損してしまっているため、表情はよく分からない。
170610toudaiji06.jpg


横顔、たてがみが見事。
170610toudaiji07.jpg


雄なので、男性のシンボルも表現されている。
170610toudaiji08.jpg


台座の鮮やかな文様に注目。
正面は花のレリーフ。
170610toudaiji09.jpg


横には獅子のレリーフ。
170610toudaiji10.jpg



向かって右側(阿形仁王像の裏側)にある「西方像」
基壇もふくめた高さは305.5cm。
170610toudaiji11.jpg


正面から。
170610toudaiji12.jpg


狛犬だけの横からと正面。
170610toudaiji13.jpg


170610toudaiji14.jpg


四角張った口、大きく広がった鼻の穴。
敵を威嚇する表情のようだが、ユーモラスでいいですね。
170610toudaiji15.jpg


雌ながら立派なたてがみを持つ。
170610toudaiji16.jpg


正面からの身体
170610toudaiji17.jpg


胸の周りのベルト(綬帯)や房飾り(瓔子)もはっきりと見えて、美しい。
前足の脇にも巻き毛の表現がある。
170610toudaiji18.jpg


尻尾は、独特な造形。
170610toudaiji19.jpg


台座正面の花のレリーフ。
170610toudaiji20.jpg


台座横の、鹿と飛天のレリーフ。
170610toudaiji21.jpg


最下部の基壇部分にはびっしりと雲の文様「祥雲文」が刻まれている。
170610toudaiji22.jpg


特徴:
・左右とも口を開き阿形、両方ともたてがみが巻き毛で獅子。
・顔は、左は破損していてよくわからないが、右は四角張った口、大きく広がった鼻の穴で、敵を威嚇する表情のようだが、ユーモラス。
・耳は立ち、鼻は大きく、口も四角張って大きい。歯並びが綺麗で牙は見当たらない。
・表情は親しみやすくユーモラス。
・前足は、前方に出して真っ直ぐ。脇に巻き毛の表現
・後足は蹲踞。
・尾は、扇形の独特な形。背中に付いている。

他にも、中国獅子のかたちで造立されたもので、いいものがあるので、私はそれらも含めてくくって「中国獅子型」とした。
日本最古の石造狛犬であり、独特のフォルムから「東大寺南大門型」としている人が多い。


狛犬の記事一覧を見る



プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード

Pagetop