『居眠り磐音 江戸双紙』第19巻「梅雨ノ蝶」&第20巻「野分ノ灘」/佐伯泰英

20120803

この間、録画した映画「おろしや国酔夢譚」を見ていたら、漂流した大黒屋一行がイルクーツクにたどり着き、その地の文化人たち(?)に招かれたディナーの席で、17カ国語(日本語は入っていない)がわかるという人物が、「ナカガワ・ジュンアン、カツラガワ・ホシュウ」の名を挙げたので吃驚した。中川淳庵と桂川国端のことである。「日本植物誌」を書いたツンベルグの旅行記に出てくるといって、名を挙げていた。
やはり、大した人物なのである。

第19巻「梅雨ノ蝶」

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この巻での大きな出来事は、何と言っても佐々木道場改築の完成を機に、磐音の人生に大きく変化があったこと。

佐々木道場は改築を機に「尚武館」という名乗ることにしたが、今津屋ではその扁額を贈ることにした。依頼された銘木屋が道場の庭に置かれていた、庭から掘り出された「埋もれ木」に目をつける。磨くと褐色とも飴色ともつかぬ見事な光沢の欅であった。
揮毫は寛永寺座主が行い、立派なものになった。

師の佐々木玲圓から、磐音に佐々木家を継いでくれとの願いがあり、磐音は悩むが結局国元の父正睦に許しを請う。おこんは将軍御側御用取次役の速水左近の養女として佐々木家に嫁入りすることになった。

佐々木道場改築のこけら落としの大試合、江戸中の高名な剣術家が集まる壮大な試合となるが、磐音はその直前柳原土手で刺客に背後から襲われ瀕死の重傷を負う。中川淳庵のおかげで助かり、経過も長崎渡りの蘭方薬のおかげで順調となったが、刺客を送ったのは将軍家治の日光社参の際、将軍家世継ぎ家基を亡き者にしようとして、佐々木玲圓と磐音に阻まれた田沼親子である。
磐音はこの怪我のために、出場をあきらめ世話役に徹していたが、剣術家40名で始まった試合が4回戦となったとき、残った5名から希望が出て、急きょ磐音も参加することになり、「居眠り剣法」を発揮することになった。

佐々木道場こけら落としの試合の早朝、磐音は今津屋の裏庭の井戸で斎戒沐浴をする。今津屋のお佐紀に懐妊のきざしがあり、おこんが今津屋を辞める目途が立ったことを語り合いながら、磐音の身体に浴衣を掛け、おこんは磐音の背に自分の体をそっと寄せた。
夜明け前、磐音とお紺の眼前を一羽の白い蝶が横切って飛んでいった。
題名の「梅雨ノ蝶」である。

毎巻磐音が対戦した流派をあげてきたが、この巻では佐々木道場改築のこけら落としの大試合に出場した剣術家の流派で、いままでの巻で名前のあがっていなかった流派をあげておく。
上泉流、無外流、甲源一刀流、心地流、無住心剣流、貫心流、尾張柳生新陰流、安心流、以心流、鹿島新当流、念流、八条流、霞新流、信抜流、二天一流、無辺流、神道流、吉岡流、中西派一刀流、直心流、空鈍流、気楽流、示現流、神風流、一刀流、天真一刀流、我心流、影山流居合、古藤田一刀流。


第20巻「野分ノ灘」

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この巻での大きな出来事は、父正睦から返事が来たが、次のような内容であった。
正睦は日光社参の折の見分から磐音が江戸で大きく羽ばたきつつあることを知り、坂崎家のことは心配するなと言ってくれた。
一方母親のほうは、いまだ磐音の帰参を夢見ている由、気持ちが整理できない様子。
そこで磐音に墓参を名目に、出来ればおこんを同道して帰省してくれとの希望であった。


田沼親子が仕向ける、磐音への襲撃が続く。それを調べていた磐音と懇意の南町奉行所同心木下一郎太が虎の尾を踏んでしまい、蟄居の処分となってしまう。
さらに命を奪われる恐れがあり、磐音と竹蔵親分が張り込む。


江戸に出てきてから磐音の生計のもとになっていた鰻割きの仕事も、道場の後継が決まったのでやめることになり、宮戸川の鉄五郎、おさよは、磐音の出世を喜んで送り出す。
幸吉は寂しくてたまらず、泣き出してしまうが。

磐音は深川を引き払うことになるので、おそめにも挨拶しておこうと、おこん、幸吉と同道して縫箔の親方のもとを訪ねる。おそめは気持ちはありがたいが、無理を云って奉公させてもらっている身、仕事を休むわけにはいかないと、外出は断る。その一心な気持ちに三人は心を打たれる。


二人の帰省は、藩の御用船千石船を利用することになった。中居半蔵の気配りで、船中におこんのために工事して座敷が設けられる。

道場の若い弟子の松平辰平が、諸国を見たいと磐音とおこんに同道したいと言いだし、辰平の父親もその話に乗ってしまい、従者ということで同行することになる。

二人の乗った藩の御用船千石船正徳丸は、遠州灘で野分(台風)に遭遇する。磐音は船とおこんの安全を願って舳先に立ち尽くした。ときには包平の刃で波を切り裂きながら。
題名の「野分ノ灘」である。

船中でも田沼親子が仕向けた刺客の襲撃を受ける。その際おこんが人質になるが、助けようとした水夫と共に、おこんは船から海に落ちる。

この巻で、磐音が真剣で相対したのは、神捕流棒術、本間流槍術。あとは流派の説明なし。


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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

磐音もようやく負けたと言うか、大怪我しましたね。田沼親子もこの時に、刺客に狙わせば、間違いなく磐音を討ち取れると思うのですが、主人公ですから、さすがの田沼親子もそうはしないのですね。

それにしても、本来は、磐音に関わらずに家基に対して全力を尽くすのが作戦と言うべきだと思うのですが、やはり、そこが小説なんだと思います。

佳境に入る

このあたりの巻では、磐音の負傷と、関前藩への里帰りが特に印象的でしたね。おこんさんと磐音と辰平の組み合わせも絶妙で、無事に関前藩に到着するまでの経緯もまた、なかなか読ませるものでした。
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四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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