古事記を知る(08)

20121229

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2-3 二神の神生み
既生國竟更生神。故生神名大事忍男神。次生石土毘古神。
訓石云伊波亦毘古二字以音下効此次生石巣比賣神。次生大戸日別神。次生天之吹上男神。次生大屋毘古神。次生風木津別之忍男神。訓風云加邪訓木以音次生海神名大綿津見神。次生水戸神名速秋津日子神。次妹速秋津比賣神。自大事忍男神至秋津比賣神併十神。
 此速秋津日子速秋津比賣二神。因河海持別而。生神名沫那藝神。那藝二字以音下効此次沫那美神。那美二字以音下効此次頰那藝神。次頰那美神。次天之水分神。訓分云久麻理下効此次國之水分神。次天之久比奢母智神。自久以下五字以音下効此次國之久比奢母智神。自沫那藝神至國之久比奢母智神併八神。
次生風神名志那都比古神。此神名以音次生木神名久久能智神。此神名亦以音次生山神名大山上津見神。次生野神名鹿屋野比賣神。亦名謂野椎神。自志那都比古神至野椎神併四神。
 此大山津見神野椎神二神。因山野持別而。生神名天之狭土神。訓土云豆知下効此次國之狭土神。次天之狭霧神。次國之狭霧神。次天之闇戸神。次國之闇戸神。次大戸惑子神。訓惑云痲刀比下効此次大戸惑女神。自天之狭土神至大戸惑女神併八神。次生神名鳥之石楠船神。亦名謂天鳥船。次生大宜都比賣神。此神名以音次生火之夜藝速男神。夜藝二字以音亦名謂火之炫比古神。亦名謂火之迦具土神。迦具二字以音因生此子美審登此三字以音見炙而病臥在。多具理邇此四字以音生神名金山比古神。訓金云迦那下効此次金山比賣神。次於屎成神名波邇夜須比古神。此神名以音次波邇夜須比賣神。此神名亦以音次於尿成神名彌都波能賣神。次和
久産巣日神。此神子謂豊宇氣比賣神。
自宇以下四字以音故伊邪那美神者。因生火神。遂神避坐也。
自天鳥船至豊宇氣比賣神併八神。
   凡伊邪那岐伊邪那美二神共所生嶋壹拾肆嶋。神参拾伍神。是伊邪那美神未神避以前所生。
唯意能碁呂嶋者非所生。亦蛭子與淡嶋不入子例。

(読み)
 スデニクニヲウミヲエテサラニカミヲウミマス カレウミマセルカミノミナハオホコトオシヲノカミ ツギニイハツチピコノカミヲウミマシ ツギニイハズヒメノカミヲウミマシ ツギニオホトヒワケノカミヲウミマシ ツギニアメノフキヲノカミヲウミマシ ツギニオホヤピコノカミヲウミマシ ツギニカザモツワケノオシヲノカミヲウミマシ ツギニワタノカミミナハオホワタツミノカミヲウミマシ ツギニミナトノカミミナハハヤアキツヒコノカミ ツギニイモハヤアキツヒメノカミヲウミマシキ オホコトオシヲノカミカラアキッヒメノカミマデアハセテトバシラ
 コノハヤアキツヒコハヤアキツヒメノフタバシラノカミ カハウミニヨリテモチワケテ ウミマセルカミノミナハアワナギノカミ ツギニアワナミノカミ ツギニツラナギノカミ ツギニツラナミノカミ ツギニアメノミクマリノカミ ツギニクニノミクマリノカミ ツギニアメノクヒザモチノカコ ツギニクニノクヒザモチノカミ アワナギノカミカラクニノクヒザモチノカミマデアハセテヤバシラ
 ツギニカゼノカミミナハシナツヒコノカミヲウミマス ツギニキノカミミナハククノチノカミヲウミマス ツギニヤマノカミミナハオホヤマツミノカミヲウミマス ツギニヌノカミミナハカヤノヒメノカミヲウミマス マタノミナハノヅチノカミトマヲス シナツヒコノカミヨリノヅチノカミマデアハセテヨバシラ コノオホヤマツミノカミノヅチノカミフタバシラ ヤマヌニヨリテモチワケテ ウミマセルカミノミナハアメノサヅチノカミ ツギニクニノサヅチノカミ ツギニアメノサギリノカミ ツギニクニノサギリノカミ ツギニアメノクラトノカミ ツギニクニノクラドノカミ ツギニオホトマトヒコノカミ ツギニオホトマトヒメノカミ アメノサヅチノカミヨリオホトマトヒメノカミマデアハセテヤバシラ
 ツギニウミマセルカミノミナハトリノイハクスフネノカミ マタノミナハアメノトリフネ ツギニオホゲツヒメノカミヲウミマシ ツギニヒノヤギハヤヲノカミヲウミマス マタノミナハはヒノカガピコノカミ マタノミナハヒノカグツチノカミトマヲス コノミコヲウミマスニヨリ ミホトヤカエテ ヤミコヤセリ タグリニ ナリマセルカミノミナハカナヤマピコノカミ ツギニカナヤマビメノカミ ツギニクソニナリマセルカミノミナハハニヤスピコノカミ ツギニハニヤスビメノカミ     ツギニユマリニナリマセルカミノミナハミツハノメノかみ ツギニワクムスヒノカミ コノカミノミコヲトヨウケビメノカミトマヲス カレイザナミノカミハ ヒノカミヲウミマセルニヨリテ ツヒニカムサリマシヌ アメノトリフネヨリトヨウケビメノカミマデヤバシラ

 (現代語訳)
 伊邪那岐.伊邪那美神は、国を生み終えて、さらに神を生み出した。そして生んだ神の名は、大事忍男神、次に石土毘古神を生み、次に石巣比賣神を生み、次に大戸日別神を生み、次に天之吹男神を生み、次に大屋毘古神を生み、次に風木津別之忍男神を生み、次に海の神の、名は大綿津見神を生み、次に水戸の神の、名は速秋津日子神、次に女神の速秋津比賣神を生んだ。 大事忍男神より秋津比売神まで合わせて十神。
 この速秋津日子・速秋津比売の二神が、河と海を分担して生んだ神の名は、沫那藝神と沫那美神、次に頰那藝神と頰那美神、次に天之水分神と国之水分神、次に天之久比奢母智神と国之久比奢母智神である。 沫那藝神より国之久比奢母智神まで、合わせて八神。
 次に風の神の、名は志那都比古神を生み、次に木の神の、名は久久能智神を生み、次に山の神の、名は大山津見神を生み、次に野の神の、名は鹿屋野比賣神を生んだ。この神のまたの名を野椎神という。 志那都比古神より野椎神まで、合わせて四神。この大山津見神・野椎神の二神が、山と野を分担して生んだ神の名は、天之狭土神と国之狭土神、次に天之狭霧神と国之狭霧神、次に天之闇戸神、国之闇戸神、次に大戸惑子神と大戸惑女神である。 天之狭土神より大戸惑女神まで、合わせて八神である。
 次に生んだ神の名は、鳥之石楠船神で、またの名は天鳥船という。次に大宜都比賣神を生んだ。次に火之夜藝速男神を生んだ。またの名は火之炫比古神といい、またの名は火之迦具土神という。この子を生んだために、伊邪那美命は、陰部が焼けて病の床に臥された。そのときの嘔吐から成った神の名は、金山比古神と金山比賣神である。
 次に糞から成った神の名は、波邇夜須比古神と波邇夜須比売神である。次に尿から成った神の名は、彌都波能賣神と和久産巣日神である。この和久産巣日神の子は、豊宇氣比賣神という。そして伊邪那美神は、火の神を生んだのが原因で、ついにお亡くなりになった。 天鳥船より豊宇氣比賣神神まで、合わせて八神である。
  伊邪那岐.伊邪那美神が、共々に生んだ島は、すべて十四島、また神はすべて三十五 神である。 
これらは、伊邪那美神が亡くなられる前に生まれた。ただし意能碁呂島は、生んだのではない。また蛭子と淡島とは、子の数には入れない。

(解説)
石土毘古神:岩や土の男神
石巣比賣神::岩や砂の女神
大戸日別神:家の戸口の神
天之吹男神:屋根を葺く男神
大屋毘古神:家屋を掌る男神
大綿津見神:海を主宰する神
水戸の神:河口をつかさどる神
速秋津日子神・速秋津比賣神:禊ぎに関する神で、海に流れ込む水を呑み込む神
沫那藝神・沫那美神:水面に立つ泡の神
頰那藝神・頰那美神:ツラは水面の意味
天之水分神・国之水分神:「水分神」は農業用水を分配する分水嶺の神
天之久比奢母智神・国之久比奢母智神:水を汲む瓢(ひさご)の神、すなわち灌漑を掌る神
志那都比古神:シナは風長(しな)の意で、風を掌る神
久久能智神:ククは茎の意、チは霊威を表す
大山津見神:山を支配する神
鹿屋野比賣神:カヤは屋根を葺く草の意
野椎神:野をつかさどる神霊の意
天之狭土神・国之狭土神:サは接頭語で、山野の土の神
天之狭霧神・国之狭霧神:サは接頭語で、山野の霧の神
天之闇戸神・国之闇戸神:クラトは暗い所の意で、谷間の神をいう
大戸惑子神・大戸惑女神:マトヒは道に迷う意
鳥之石楠船神:神が天がけるときに乗る楠の船を神格化したもの
天鳥船:鳥のように天がける船の意
大宜都比賣神:穀物や食物を掌る女神
火之夜藝速男神:火の焼く威力を神格化したもの
火之炫比古神:火の輝く威力を神格化したもの
火之迦具土神:カグはカガと同様、光輝くこと、光輝く火の神霊の意
みほと:女陰
金山比古神・金山比賣神:鉱山の神の意
波邇夜須比古神・波邇夜須比売神:ハニは赤黄色の粘土で、土器をつくる材料。ヤスは「ねやす」で、水を加えてねばりを与えること。
彌都波能賣神:灌漑用水を掌る女神
和久産巣日神:ワクは若々しいの意。ムスヒは生産の神を表す。農業の生産を掌る神。
豊宇氣比賣神:ウケは食物の意。食物を掌る女神。
神避(かむさ)り:神がこの世から去ること

火の神の生誕を語る部分は、火の起源を述べた神話と見てよい。此の火神生誕の話は、早く高木敏雄氏の述べられた(「比較神話学」参照)ように、火きり臼と妃きり杵を用いて火をきり出す、古代の発火法を背景として語られたものと思われる。この場合、火きり杵は男根、火きり臼は女陰に見立てられていることになる。
火の神の後には、鉱山の神・粘土の神・灌漑の神・生産の神・食物の神が生まれる。

これらの多くの神々によって、古代人の生活環境と、農業経済を中心とする文化の状態を、おぼろげながら知ることができる。
イザナミの神は大地母神の性格を持っているから、農業文化には特に関係が深い。

淤能碁呂島伝承地の淡路島南に位置する小さな島「沼島」にある「おのころ神社」の「イザナキ・イザナミの像」
izanakiizanami.jpg


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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

「蛭子與淡嶋不入子例」と言うのは、あまりに可哀想ですよね。彼らを祭った神社があるのですから、海に流されても、どこかに流れ着いて、育てられたと言うことですから。

それにしても、嘔吐、糞、尿等からも神様が生まれると言うのは(と言っても粘土とか灌漑用水の神様ですが)、違和感を覚えます。

楽しい年でした^^

こんにちは。
いろいろ勉強させていただいた年でした。
広く浅くの私と違って、一つ一つが奥深く、きちっとした調査や学習に裏付けられた記事がとってもためになりました。
来年も楽しみにしておりますので、よろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
ありがとうございました^^

コメントありがとうございます

matsumoさん
私の家の近くに、「金山神社」がありますが、
祭神が金山彦です。
まさしく「嘔吐」から生まれた神です。
一般的には鉱山の神様とされています。
その一帯は、戦国時代まで「槍鍛冶」「刀鍛冶」が
栄えたところです。
「金ぐそ」と「嘔吐物」が外観が似ているところから、
そうなっているらしいですね。

薄荷脳70 さん
こちらこそ、大変教えていただきました。
なにしろ薄荷脳70 さんの記事は、そのまま本にしても
通用するような、精緻な記事ですから。
私も、その何十分の一でもいいからと、
大変な励みとなりました。
いつも訪問して、読ませていただくのを
楽しみにしてます。

来年もよろしくお願いします。
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四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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