『居眠り磐音 江戸双紙』第27巻「柘榴ノ蠅」&第28巻「照葉ノ露」/佐伯泰英

20130112

第27巻「柘榴ノ蠅」
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この巻での大きな出来事は、山形から戻る磐音と吉原会所の若い衆が千住掃部宿で休んでいた時、磐音はお家騒動の諍いににより窮地に陥った若侍を助けるのだが、それによりその騒動に巻き込まれる。
いま一つは、佐渡の金山の水替え人足の不足から、江戸の無宿人を送り込むことが始められたが、その道中から竜神の平造一統4人が脱出した。隠し金を手に入れて上方に逃げるため江戸に戻ってくるようだ。
そして、以前から西の丸の家基が願っていた、外出と宮戸川での鰻を食す企てが結構される。当然田沼意次派もそれを嗅ぎつけて襲撃を企てるに違いない。

磐音が我が家に帰り、夕食を家族だけでなく住み込みの門弟と食べながら山形での話をした後、磐音とおこんの二人だけの夜、おこんは寝化粧をしながら、なかなか磐音のところに来なかった。磐音が山形で奈緒と会ったからである。
磐音はおこんを呼び、土産を渡す。それは紅板と一本の絵蝋燭であった。
紅板の表には見事な金蒔絵が施されていた。流水が描かれ、金色に色付いた紅葉が三つ四つと浮かんでいる。 携帯用の紅板は、紅猪口同様、蒔絵の二枚板の内側に光を嫌う紅が塗られたもので、紅筆を使って唇にさした。使わないときは金蒔絵の紅板を合わせておけば、光が遮断された。
高価な紅を金蒔絵の紅板仕立てに工夫した化粧道具は、京辺りの高貴な女人が求めるものか。
蝋燭に絵付けが施されるようになったは、奥羽地方が発祥の地とされる。仏壇に供える花がない季節、蝋燭に花々の絵を措いて備えたのが始まりとされた。四季の花々が措かれたために、「花紋燭」と呼ばれたそうな。
この絵蝋燭と紅板を磐音の江戸土産に持たせたのは、渡した人は名を云わなかったが、磐音とおこんは奈緒だとわかった。

磐音は愛刀包平を御家人鵜飼百助のもとに砥ぎに出した。
磐音が訪ねると、鵜飼家の庭に柘榴の木があり、真っ赤に熟れた実に蠅がたかっている。これがこの巻のタイトルである。
包平の替わりは義父佐々木玲園が使ってみよと渡された、近江大掾藤原忠弘。
包平より、藤原忠弘は二寸二分短い。この間合いの違いが真剣勝負では命取りになるかもしれない。そのことを佐々木玲園も鵜飼百助もそれとなく磐音に伝える。
それがとうなるか。

この巻で、磐音が相対したのは、初実剣理方一流、中条家流、他は特に流派の説明なし。


第28巻「照葉ノ露」
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この巻での大きな出来事は、南町奉行所定廻り同心木下一郎太とともに上総に出向く。一郎太の出入りの旗本家に不祥事が出来し、その解決のため。13歳の少年設楽小太郎が、それまで武術の指南役だった侍と母親を討たねばならないのだ。
道場の「でぶ軍鶏」こと重富利二郎は土佐藩家中の息子だが、父親が土佐に帰る用事があり、同行することになった。
磐音が西の丸家基の剣術指南に登城することになった。西の丸にも暗躍する田沼意次派をけん制するためである。

設楽小太郎の母親お彩が哀れである。
庄屋の娘として17歳まで上総で穏やかな人生を歩んでいた。それが陣屋に奉公していた時、設楽貞兼に見初められ、強引にも江戸に連れて行かれて直参旗本の妾になり、大勢の奉公人に傅かれての暮らしぶりに変わった。さらに小太郎を産んで正室となり、一段と貫禄と落ち着きを増した。 平穏な旗本家に黒い翳を落としたのは貞兼の酒乱癖だ。
貞兼によるお彩への狼藉がひどすぎるので、同じく上総から方向に上がって、地下人から剣術指南になっていた佐江傳三郎が止めに入り、刀を振り回していた設楽貞兼を、誤って殺してしまった。
思い余ったお彩と佐江傳三郎が逃亡したのである。

磐音、おこん、利二郎が旅支度の買い物に出る。笠、道中羽織、袴、足袋、刀の柄嚢、手っ甲脚絆、武者草鞋、矢立、日誌、小ぶりの柳行李、着替え一式、常用する薬、扇子、糸針、懐中鏡、櫛、鬢付け油、蝋燭、提灯、火打ち道具、麻縄、手ぬぐい。
やっぱり大変だ。
着るものは、当時は古着が当たり前だったようだ。

竹村武左衛門が、身体にガタがきて日雇い人工の仕事が無理になり、いよいよ武士生活をあきらめ、陸奥磐城平藩五万石安藤対馬守の下屋敷門番となることになった。
竹村武左衛門の引っ越し祝いの宴の最中、突然雷を伴った大雨が降り出した。雨の最中も茶碗酒を飲み続けた竹村武左衛門がいつものように酔い、眠ったところでお開きになった。
その時分にほ雷雨は去り、爽やかな光が戻っていた。安藤家下屋敷前の運河の土手に柿の木があり、大振りの柿と色付いた葉が雨上がりの光に照らされて鮮やかだった。
「かような光景を照菓と呼ぶのであろうな。雨のせいで一段と美しい」
「照菓ですか。未だ菓に玉の露が乗っております」
磐音とおこんが、話す。
この巻のタイトルである。

木下一郎太が道場に北町奉行所与力の娘瀬上菊乃を伴って現れた。一郎太と菊乃は幼馴染だったが、菊乃が嫁に行ったとき、一郎太は深い喪失感があった。その一郎太に再び希望の灯が灯ったのは、菊乃が嫁ぎ先から離縁されて戻ってきたからだ。

この巻で、磐音が相対したのは、安房一心流、真天流、薩摩示現流、心形刀流、他は特に流派の説明なし。


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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

なるほど、例によって、沢山の事件が起きて、戦う訳ですね。「紅板」って言葉、初めて聞いたので調べてみたのですが、なるほど、5cm位のもので、旅行用のものだったのですね。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
紅板もそうですが、江戸時代というのは、
皆、よく旅行したようですね。
お伊勢まいり、大山詣でとか。
やはり太平の世というのは、ありがたいものです。
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四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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