『居眠り磐音 江戸双紙』第29巻「冬桜ノ雀」&第30巻「侘助ノ白」/佐伯泰英

20130221

第29巻「冬桜ノ雀」
130114iwane29.jpg

この巻での大きな出来事は、千鳥ヶ淵一番町の高家瀬良家の屋敷に咲いている冬桜が評判で、それを磐音、おこん、霧子が見に行く。
これがこの巻のタイトルだが、そこにちょうど屋敷に戻ってきた瀬良の駕籠に、ご家人の侍が千宋易ゆかりの茶碗を返してくれと直訴しているのに出くわす。見かねて磐音が止めに入って騒動に巻き込まれる。
それから、佐渡の金山の水揚げ人足に江戸の無宿人を送り込むことが始まっているが、能楽の丹五郎という渡世人が三国峠の直前に、仲間を誘って逃げ出した。どうも江戸でひと仕事して、上方に逃げるようだと、年番方与力笹塚孫一から例によって持ち込まれる。
ちょうどその頃、関前藩の新造の千石船が師走に江戸に到着した。荷積みに工夫がこらされた船であり、時期も時期で、かなり関前藩には潤った商いとなる。
この船に笹塚孫一が目をつけ、能楽の丹五郎一味を釣り出すのに利用される。

悪人で「土壇場の久助」という男が出てくるが、その際に「土壇場」の説明があった。
斬罪を執行するために積み上げた土の壇のことだそうである。よく使うのに語源を知らなかった(汗)

西の丸の家基に磐音が出稽古に参じているが、家基が気鬱な様子なので問うと、夢に苦しめられているという。そしてその夢というのが盲目の老剣士と花笠を被った見目麗しい娘が毎夜出て来るというので、磐音は愕然とする。磐音が道場で対面した二人だったからである。
家基が高熱を発し、意識が不明となる。その夢のせいらしい。磐音は、それにどう対決するのか。

陽気のよい日に、ふたたび今度はおえいを誘って冬桜を見に行く。その後おえいの誘いで、湯島の切通し片町に、牡丹猪鍋の店「篠山」に、おえい、磐音、おこん、早苗の四人で食べに行く。江戸中期ころよりこのような店があったようだ。

この巻で、磐音が相対したのは、タイ捨流、東軍流、他は特に流派の説明なし。


第30巻「侘助ノ白」
130114iwane30.jpg

父親の付き添いで、国許の高知に帰った重富利次郎。高知城下に入ったところで、花売りの老婆と娘に出会うが、娘から侘助の白い花を一輪もらう。
これがこの巻のタイトルである。高知での騒動の発端のころ、桂浜を見下ろす廃城での月夜でも侘助の白い花が目立った。利次郎は誰かの面影と重ねているようだった。

土佐藩は藩祖山内一豊から9代目。大地震と大火により、幕府から一万五千両の借財を背負っていた。藩主は教育に力を入れていたが、藩財政は一向に好転の兆しが見られない。利次郎の父の帰国は、そのことに関してらしい。藩財政を立て直すと称し、実は商人と結託しよからぬことを謀る悪人が出てきたらしい。
高知に着いた翌日登城した利次郎の父が、城下がりの道で襲われる。迎えに行った利次郎が曲者たちに真剣で立ち会うことになったが、見事三人に傷を負わせ退ける。江戸を発つ直前に磐音から真剣の扱いについて特に手ほどきを受け、道中鍛錬してきた成果だった。

江戸では、道場で暮れの餅つきの最中、武芸者が立ち会いを申込み磐音が応対する。棒術と云わず「槍折れ」と云う。戦国時代、槍先を折られた武芸者が手元に残った柄だけで戦い続けた、名残の術。
小田平助というが、実に人なつこい人間性と武術の巧みさに磐音が惚れ込み、道場の客分になってもらう。

金兵衛長屋の磐音が暮らしていた部屋に入った浪人が行方が分からなくなり、金兵衛に頼まれ磐音が捜索する。水戸家の偉い武家と破戒坊主が組んではじめた地下の闘剣場の闘剣士に、食うに困って志願していた。

直心影流の極意伝開書に曰く、「一円相を以て形の始めとす」とあると、一円相の説明がされていた。一円相は宇宙の理を表現したもの。円に始めなく終わりもない。「天地万物同根一空、花は紅柳は緑、夜あらば昼、陰あらば陽あり。生あるものは必ず滅し、型あるものは必ず無に帰す。人は死して土に還る。しかして土から芽が生じて花が咲き、実を結ぶ」と教えるそうである。

この巻で、磐音が相対したのは、富田天信正流槍折れ、神無刀流、直心正継流、円明流、他は特に流派の説明なし。


スポンサーサイト

コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

「牡丹猪鍋」ですか、私は食べたことはありませんが、以前、「袋田の滝」に行った時、この時は袋田駅から歩いて往復したのですが、途中に「山鯨の店」とか書いてある店があったのを思い出しました。また、確か、落語だったと思いますが、京都に住んでいる人が丹波に猪の肉を食べに行く場面があったと思います。

円を描きながら戦うと言うのは、よく聞きますね。柴田練三郎作「眠狂四郎」の「円月殺法」が有名ですが、「空手バカ一代」に出てくるケンカ十段「芦原英幸」も、自分の道場を作ってからは、「円の動き」と言うことを強調していました。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
私が知ってる店だと、私が車で秩父に行くときに
使う道で、飯能から秩父に抜ける正丸峠の手前に、
猪とか鹿の肉を食べさせる店がありますね。

やはり円に帰結する考えは多いと思います。
眠狂四郎、懐かしいです。

非公開コメント
プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード

Pagetop