音で描く宮沢賢治の宇宙~冨田勲×初音ミク

20130223

「音で描く賢治の宇宙~冨田勲×初音ミク 異次元コラボ」と題した番組が、ETVで2月3日に放送され、録画しておいたものを、折にふれて見ていた。

ホルストの組曲「惑星」を冨田勲が編曲したアルバム、調べたら1977年購入のLPだが、それを今でも持っている。
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当時の私はジャズばかり聞いていたが、冨田勲がシンセサイザーで出してくる音楽は当時ビッグニュースだったので購入したものだ。
その冨田勲が、現在80歳にして、宮沢賢治したというので、私も飛びついた(笑)

冨田勲新制作「イーハトーヴ」交響曲世界初演公演が、2012年11月23日に東京オペラシティコンサートホールで行われた。
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番組は、下記の交響曲を構成する曲の一部を放映しながら、合間にこの曲作りのエピソードを紹介している。
1. 岩手山の大鷲<種山ヶ原の牧歌>
2. 剣舞/星めぐりの歌
3. 注文の多い料理店
4. 風の又三郎
5. 銀河鉄道の夜
6. 雨にも負けず
7. 岩手山の大鷲<種山ヶ原の牧歌>


冨田さんが長年描きたいと思い続けてきた、作家・宮沢賢治の世界です。賢治の4次元的・宇宙的な世界観を、どうやって音楽で表すか。悩んだ末、冨田さんが思いついたのは、なんとインターネットの動画サイトで大人気のバーチャル・シンガー“初音ミク”の起用。こうしてオーケストラと初音ミク、200人の合唱が奏でる、前代未聞の壮大な交響曲が生まれることになりました。
記者会見で冨田氏は、初音ミクのフィギュアを持って現れた。
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人の複雑な指揮の緩急に合わせて変幻自在にミクが歌い、ダンスするという歴史的なパフォーマンスが誕生する。従来の常識は、あらかじめプログラミングされたミクの歌に合わせて人が演奏。今回は、ミクが大友直人指揮に合わせながら管弦楽と大合唱団とともに歌う舞台が実現。

「注文の多い料理店」の物語の中に妖艶に変幻したミクが登場、可憐な歌声とダンスで魅惑のメロディーを歌い上げます。
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料理店から出られない客と、バーチャルの世界から出られないミクが「~~出られない」と唄う姿が重なります。

テクニックとしては、オーケストラの中にキーボード奏者を一人置き、彼が入力したテンポでプログラムが動くことで実現した。ミクの映像も指揮のテンポに合わせるため、あらかじめ用意した映像でなく、その場で映像を作っていくという方法をとった。
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これは複合画面で、左上にミク、右上に指揮者、下の真ん中にキーボード奏者を配して、其々の動きを同時に見せてくれました。

200人の合唱は、時には迫力があり、時には賢治のピュアなこころを現すものであり、素晴しかった。
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風の又三郎も初音ミクが演じた。
よりリアルでハートフルなミク。まさに天使ミクが人と一体化した瞬間でした。
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子どもの頃に感じた賢治への印象をすべて曲に込めた、という冨田さん。その原点は『銀河鉄道の夜』にありました。
戦時中に過ごした愛知県。空襲に怯える日々に加え、三河地震(1945年1月)の被害に直面した少年時代の冨田さん。この番組で知ったのだが、終戦直前の直下型の大地震である三河地震は、2000人もの死者が出たのだが、報道管制のため知られず、助けはほとんど来なかったという。
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戦争は、こういう形でも国民を鞭打つのだ。
『銀河鉄道の夜』が冨田さんに夢と希望を与えてくれたといいます。
『銀河鉄道の夜』をモチーフにした楽章。はるか上にまで続くような闇と光が包む中、賛美歌が響き渡る会場は幻想的な雰囲気に。その場にいたら、さぞかし深く感動していたことだろうなと思いました。
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冨田さんを創作に駆り立てたのは、10年前の約束でした。
親戚でもある、東北大学の元総長・西澤潤一さんと交わしていた、詩『雨ニモマケズ』に曲をつけるという約束。それが、東日本大震災を受けて形になったのです。
少年のころの地震の記憶がよみがえった冨田さんは、今こそ形にしなければ、と岩手を訪ね、賢治の遺品や岩手山などの自然からインスピレーションを受け、作品を創り上げました。
冨田さんは言いました。
「(震災を受けて)ぼくも奮起しなければバチが当たる」「東北の人たちが、この曲を聴いてがんばってくれたら嬉しい」

死後発見されたノートに書きつけられた『雨ニモマケズ』
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西澤潤一さんに贈られた『雨ニモマケズ』を見せながら語る冨田さん。
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第6楽章に置かれた『雨ニモマケズ』は合唱のみで表現され、深い祈りがストレートに伝わってくるようでした。
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賢治が愛してやまなかった種山ヶ原の牧歌にも、ミクが合せて踊ります。
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演奏は日本フィルハーモニー交響楽団
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大歓声と拍手に応える指揮者大友直人さんと冨田さん。
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CDは既に出ています。
望むらくは、初音ミクも併せて楽しみたく、ブルーレイとかDVDで出して欲しいものです。


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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

上記のコンサート、結構、話題になっていましたね。雑誌でも何回か、読んだ記憶があります。本日も「レコード芸術」2013.3号で読みましたし。

さて、冨田勲ですが、LP時代にムーグ・サウンドをひっさげて華麗なデビューをしましたが、私にはあまりピンと来ませんでした。勿論、氏が録音した「月の光」とか「展覧会の絵」とかのLPは持っていますが、オーケストラとかピアノでの演奏の方が良いと思いました。当時、冨田勲と双璧だったのが、「シルクロード」で有名になった喜多郎で、私には喜多郎の透明な感じの矩形波サウンドの方が遙かに好きでした。そのおかげで、ローランドのシンセサイザーまで購入しましたが、私には才能が無かったので、まったくものになりませんでした。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
そういえば、ちょっと最近「レコード芸術」読んでなかったです。
これも載りましたか。
当然かもしれませんね。

すごいですね、ローランドまで買うというのは、
バンパではないですね。

喜多郎も懐かしいです。

No title

こんな素晴らしいものがあったのですね。
ちっとも知りませんでした。
CDをネットで視聴しましたが、やはり全部聞いてみないと奥深さが伝わって来ませんね。
できるならDVDなどで、いやいや再演されることがあれば生で体感してみたいです。

ブドリさん

あの放送、見られなかったのですね。
それは、とても残念だったと思います。
とても良かったですね。

東北大学の元総長・西澤潤一さんをはじめとして、
関係者の宮沢賢治に対する熱い思いが伝わってきました。

私もDVDの発売を熱望しています。
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四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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