古事記を知る(15)

20130403

3-4 大気都比売神
又食物乞大氣津比賣神。爾大氣都比賣。自鼻口及尻。種種味物取出而。種種作具而進時。
速須佐之男命。立伺其態。爲穢汚而奉進。乃殺其大宜津比賣神。故所殺神於身生物者。於頭生蠶。於二目生稲種。於二耳生粟。於鼻生小豆。於陰生麦。於尻生大豆。故是神産巣日御祖命。令取玆。成種。


(読み)
 マタヲシモノヲオホゲツヒメノカミニコヒタマヒキ ココニオホゲツヒメ ハナクチマタシリヨリ クサグサノタメツモノヲトリイデテ クサグサツクリソナヘテタテマツルトキニ ハヤスサノヲノミコト ソノシワザヲタチウカガイテ キタナキモノタテマツルトオモホシテ スナハチソノオホゲツヒメヲコロシタマヒキ カレコロサエタマヘルカミノミニナレルモノハ カシラニカヒコナリ フタツノメニイナダネナリ フタツノミミニアハナリ ハナニアズキナリ ホトニムギナリ シリニマメナリキ カレココニカミムスビミオヤノミコト コレヲトラシメテ タネトナシタマヒキ

 (現代語訳)
 また須佐之男命は、食物を大気都比売神に求めた。そこで大気都比売は、鼻やロまた尻から品々のうまい食べ物を取り出して、いろいろに調理し整えて差し上げるとき、速須佐之男命は、そのしわざを立ち伺って、食物を穢して差し出すのだと思って、ただちにその大気都比売神を殺してしまった。そして殺された神の身体から生まれ出た物は、頭に蚕が生まれ、二つの目に稲の種が生まれ、二つの耳に粟が生まれ、鼻に小豆が生まれ、陰部に麦が生まれ、尻に大豆が生まれた。そこで神産巣日の御母神は、これらを取らせて五穀の種となさった。

 (解税)
大気都比売神: 「け」は「うけ」「うか」と同じく、食物の意。食物をつかさどる女神。
神産巣日の御祖命:カムムスヒノ神は、出雲神話の生成の母神で、高天原神話のタカミムスヒノ神に対する。「御祖命」は御母神の意。
 ここで、それまでのストーリーとは無縁の、きわめて唐突な感じで五穀の起源を語る神話が挿入されています。こういうのを「遊離神話」といいます。
食物の神が、なぜ殺されたと伝えられたのでしょうか。それは穀物を収穫する際に、鎌で刈り取ることによって穀神は死に、種を蒔くことによって穀神は復活する、と考えた古代の信仰にもとづくものと思われます。
 スサノヲノ命がオホゲツヒメを殺したとされたのは、スサノヲノ命の粗暴な振舞として語られたものでしょう。しかし一方で、スサノヲノ命は出雲神話では、農耕や穀物に関係の深い神とされていたので、穀物の起源を語る神話に登場させたと思われます。

大気都比売神は、穀物・養蚕の神として信仰されるが、後に同じ穀物の神である稲荷神と混同されるようになり、ウカノミタマの代わりに稲荷社に祀られていることがあります。


スポンサーサイト

コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

まあ、確かに、鼻、口、尻から食べ物を出されても困りますよね。でも、よく考えてみると、自分たちも汚れを清める際に出た涙から生まれた訳で。

それにしても、この時代の神様達は不死ではないのが不思議ですね。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
食べ物もそうですが、神にしてもイザナギが
火の神を産んで火傷して、病んでいるときに
生まれるのが、おしっこから生まれたとか、
嘔吐物から生まれたとか、そういう神が
祭神となっているんですからね(笑)

日本の神話というのは不思議です。

非公開コメント
プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード

Pagetop