古事記を知る(17)

20130524

3-6 須佐之男命の神裔
 故其櫛名田比賣以久美度邇起邇而。所生神名。謂八嶋士奴美神。
自士下二字以音下効比 其又娶大山津見神之女名神大市比賣。生子大年神。次宇迦之御魂神。二柱。宇迦二字以音
 兄八嶋士奴美神。娶大山津見神之女名木花知流此二字以音比賣生子。布波能母遅久奴須奴神。此神娶淤迦美神之女名日河比賣生子。深淵之水夜禮花神。此神娶天之都度閇知泥自都下五字以音生子。淤美豆奴神。此神名以音此神娶布怒奴怒神此神名以音之女名布帝耳神生子。天冬衣神。此神娶刺國大神之女名刺國若比賣生子。大國主神。亦名謂大穴牟遅神。牟遅二字以音亦名謂葦原色許男神。色許二字以音亦名謂八千矛神。亦名謂宇都志國玉神。宇都志三字以音并有五名。

(読み)
ヌノカミトイフ マタオホヤマツミノカミノミムスメナハカムオホイチヒメニミアヒテ ミコオホトシノカミ ツギニウカノミタマノカミヲウミマシキ
 ミアニヤシマジヌミノカミ オホヤマツミノカミノミムスメナハコノハナチルヒメニミアヒテウミマセルミコ フハノモヂクヌスヌノカミ コノカミオカミノカミノムスメナハヒカハヒメニミアヒテウミマセルミコ フカブチノヤレハナノカミ コノカミアメノツドヘチネノカミニミアヒテウミマセルミコ オミヅヌノカミ コノカミフヌヅヌノカミノムスメナハフタミミノカミニミアヒテウミマセルミコ アメノフユキヌノカミ コノカミサシクニノオオノカミノムスメナハサシクニノワカヒメニミアヒテウミマ゛ルミコ オホクニヌシノカミ マタノナハオホナムヂノカミトマヲシ マタノナハアシハラシコオノカミトマヲシ マタノナハヤチホコノカミトマヲシ マタノナハウツシクニタマノカミトマヲス アハセテミナイツツアリ

(現代語訳)
 そこで須佐之男命は、妻の櫛名田比売と、寝所で夫婦の交りを始めて、生んだ神の名は八島士奴美神という。また大山津見神の娘の、神大市比売という名の神を妻として生んだ子は、大年神、次に宇迦之御魂神の二柱である。兄の八島士奴美神が、大山津見神の娘の、木花知流比売という名の神を妻として生んだ子は、布波能母遅久奴須奴神である。この神が、淤迦美神の娘の、日河比売という名の神を妻として生んだ子は、深淵之水夜禮花神である。この神が、天之都度閇知泥神を妻として生んだ子は、淤美豆奴神である。
この神が、布奴豆奴神の娘の、布帝耳神という名の神を妻として生んだ子は、天之冬衣神である。この神が、刺国大神の娘の、刺国若比売という名の神を妻として生んだ子は、大国主神である。この神のまたの名は大穴牟遅神といい、またの名は葦原色許男神といい、またの名は八干矛神といい、またの名は宇都志国玉神といい、合わせて五つの名がある。
(注)
○くみどに起して:夫婦の交わりを始めての意。
○八島士奴美神:名義未詳。
○神大市比売:名義未詳。
○大年神:「年」は稲の稔りをいう。穀物の神。
○宇迦之御魂神:「うか」は、「うけ」と同じで、食物・穀物の意。穀物の神霊
○木花知流比売:同じく大山津見神の女(むすめ)と伝える木花之佐久夜毘売とともに、桜の花にちなんだ神。
○布波能母遅久奴須奴神:名義未詳。
○淤迦美神:水をつかさどる神としての蛇神。
○日河比売:「日河」は、氷川神社のある武蔵国の地名「氷川」と同じであろう。この神は水神であろう。
○深淵之水夜禮花神:「夜礼花」は語義未詳。淵の水をつかさどる神であろう。
○天之都度閇知泥神:名義未詳。
○淤美豆奴神:『出雲風土記』に「国引きましし意美豆努命」とある八束水臣津野命と同じ神であろう。
○布奴豆奴神:この神から刺国若比売まで、五神の名は名義未詳。
○大国主神:国土の偉大な主宰神の意。この神名は、もともと別神であった大穴牟遅神・葦原色許男神・八干矛神・宇都志国玉神などの神々を、一神に統合して新たに名づけたものである。
○大穴牟遅神:「な」は土地の意の古語で、、「むち」は尊貴の意。大地の主神の意。『出雲風土記』では、「天の下造らしし大穴持命」と記されている。
○葦原色許男神:書紀に「葦原醜男」と記している。「醜男」は頑強な男の意。葦原中国を代表する強い男の意。○八干矛神:多くの矛を有する神の意。この矛は武器であり、祭器であろう。
○宇都志国玉神:現(うつ)し国魂の神の意。現実の国土の神霊をいう。

スサノヲノ命の神裔を語るこの系譜伝承では、スサノヲノ命とクシナダ姫との結婚によって、ヤシマジヌミノ神が生まれ、この神の五世の孫として大国主神が生まれることを語っている。『古事記』では、大国主神はスサノヲノ命の六世の孫とされているが、書紀本文ではスサノヲノ命の子と記し、書紀の一書では六世の孫とも七世の孫とも伝えている。要するに大国主神またはオホナムチノ神は、スサノヲノ命を祖神とする直系の出雲系の神格とされたのであって、中間に現われる神々には名義未詳のものが多く、またそれらの神々は後から系図に挿入されたものであろう。
 いっぽう、スサノヲノ命とカムオホイチヒメとの間には、大年神・ウカノミタマノ神のような穀神が生まれたとされており、これはスサノヲノ命が、農耕に関係の深い水の神として信仰されたことと関連がある。
 この一節は、スサノヲノ命を主人公とする八俣の大蛇神話に次いで、大国主神を主人公とするもろもろの神話を語るための、つなぎとして記された部分である。したがって、大国主神に関する物語を展開するための、序曲ともいうべき部分である。

須佐之男命と櫛名田比売の最も古い図像
八重垣神社
130523kojiki01.jpg


東京・神田明神の大国主命像
130523kojiki02.jpg



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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

スサノオと言えば、私にとっては南千住駅近くの「素盞雄(スサノオ)神社」のイメージが強いです。ここの祭神は勿論、スサノオですが(他に、アスカ神も)、もうすぐ夏祭りです。残念ながら、私は観たことはありませんが、ここの本祭りは3年に一度で、神輿を大きく振るのが特徴のようで、多分、荒ぶる神・スサノオと言うことなんだと思います。

なお、今年は陰祭りのようですが、6/8(土)・6/9(日)は60以上の氏子町内で神輿が出るようです。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
南千住駅近くの「素盞雄(スサノオ)神社」、
私はまだお参りしていません。
今のうちにお参りしておかないと、時期を失しますね。
貴重な情報、ありがとうございます。
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Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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