佐村河内 守/交響曲第1番「HIROSHIMA」

20130610

ここ数日、実は佐村河内守の作曲ではなく、ゴーストライターが作曲していたということで大騒ぎになっています。
昨日、ゴーストライター氏が会見したので、やはり事実かと。
そして、全聾ではないとも発言がありました。
非常にガックリきています。
この記事を消そうと思いましたが、
【こういうこともあるのだ】と、しばらく置いておこうと思います。
(2014.2.7 追記)




130610samuragochi.jpg

指揮:大友直人
演奏:東京交響楽団
録音:2011年4月11~12日 パルテノン多摩 大ホール

このCDは、以前クラシックの記事がとても多い頃に、私の記事に対するコメントでこの曲がすごいと教えてくださる人が居ました。それまで私は全然知らなくて「さむら・かわちのかみ」、ずいぶん大仰な名前だなあ、なんて(笑)
「河内守」なんて名前があるわけはないのに、そう読んでしまったのですね。
それで、とにかくCDを買ったのが2011年の8月末でした。凄く良い曲でビックリしました。

その後、2012年2月号の「レコード芸術」誌での「リーダース・チョイス~読者が選んだ2011年ベスト・ディスク30」にて、このCDが堂々15位となっていました。ベートヴェン、ブラームス、マーラーなど並み居る大作曲家たちと並んで、しかも発表されて間もない曲が入ったのです。まだ生存している人が、しかも日本人がですから、いかに皆さんから佐村河内守さんが支持されているかがわかります。
今や大変な人気です。NHKのTV番組でも私の知るだけでも3回取り上げられています。
最近の番組に対して、記事も書きました。
http://tamtom.blog44.fc2.com/blog-entry-1179.html

この記事のなかで、「レコード芸術」誌の記事を読んでCDを購入したと書きましたが、これは記憶違いでした。
CDジャケットの写真をスキャナーで取り込んだのが、2011年9月2日になってますから。

「交響曲第一番」を、ベートーヴェンを皮切りに好きな作曲家のものをずっと取り上げてきましたが、「締め」にこの曲を取り上げる次第です。

佐村河内守(さむらごうち・まもる 1963年9月21日~) という人は、大変気の毒な人です。
被爆者を両親として広島に生まれる。4歳から母親よりピアノの英才教育を受け、10歳でベートーヴェンやバッハを弾きこなし「もう教えることはない」と母親から告げられ、以降、作曲家を志望。中高生時代は音楽求道に邁進し、楽式論、和声法、対位法、楽器法、管弦楽法などを独学。17歳のと き、原因不明の偏頭痛や聴覚障害を発症。
高校卒業後は、現代音楽の作曲法を嫌って音楽大学には進まず、独学で作曲を学ぶ。
1988年、ロック歌手として誘いを受けたが、弟の不慮の事故死を理由に辞退。聴力の低下を隠しながらの困難な生活が続く中、映画『秋桜』、ゲー ム『バイオハザード』等の音楽を手掛ける。1999年、ゲームソフト『鬼武者』の音楽「交響組曲ライジング・サン」で脚光を浴びるが、この作品に 着手する直前に完全に聴力を失い全聾となっていた。抑鬱神経症、不安神経症、常にボイラー室に閉じ込められているかのような轟音が頭に鳴り止まな い頭鳴症、耳鳴り発作、重度の腱鞘炎などに苦しみつつ、絶対音感を頼りに作曲を続ける。
2000年、それまでに書き上げた12番までの交響曲を全て破棄し、全聾以降あえて一から新たに交響曲の作曲を開始。同年から障害児のための施設 にてボランティアでピアノを教える。この施設の女児の一人は、交響曲第1番の作曲にあたり佐村河内に霊感を与え、この作品の被献呈者となった。 2003年秋、『交響曲第1番《HIROSHIMA》』を完成。

私は、広島の原爆ドームほか、悲惨な遺跡を初めて見たときの衝撃はいまでも忘れられません。
佐村河内さんは被爆2世ということなのですが、現在も全聾の障害以外にも苦しんでいらっしゃいます。
光を浴びることで偏頭痛や耳鳴りの発作が誘発されるため、自宅では暗室に籠り、外出時には光を避けるためのつばの広い帽子とサングラスを着用することを余儀なくされているとのことです。

この曲は、2008年9月1日、広島市の広島厚生年金会館ホールで行なわれた「G8議長サミット記念コンサート〜ヒロシマのメッセージを世界に〜」にて第1楽章と第3楽章が広島交響楽団により世界初演されました。
全曲版の初演は2010年8月14日、秋山和慶指揮の京都市交響楽団により、京都コンサートホールで演奏されたそうです。

このCDの録音の時にもドラマがあったそうです。録音にあたられた音楽プロデューサー岡野博行さんのホームページから、抜粋を転載します。
*****
2楽章を無事録り終え、最後の1時間は、3楽章に当てられました。25分を越える長い楽章ですが、できるだけ音楽の流れを重視するため、一度は通して録っておこうということになりました。演奏が始まると、オーケストラも大友さんもすさまじい集中力で、この難曲を、ほとんど乱れもなく、鳥肌が立つような素晴らしい演奏で進んでいきます。そしていよいよ最後のクライマックス、というところで事件がおきました。17時16分、3月11日以来、最大級の余震が起きたのです。マグニチュード7.0、福島周辺での震度は6弱。もちろんそのときはそこまでの情報はなかったのですが、会場のパルテノン多摩も大きく揺れ、マイクも、そして天井の反響板も大きく揺れ出しました。音楽は、いったん集中力が切れると、次になかなかいいテイクは生まれません。この素晴らしい演奏が止まらないで最後まで行ってくれ!と祈るような気持ちでした。オーケストラのメンバーの方たちも、当然揺れは感じているものの、ここは行くしかないという感じで、緊張感が途切れず、最後の大クレッシェンドに突き進み、3楽章は終わりました。
終わった後は、しばらく放心状態で、大友さんも、「今日はもうエネルギーを出し切ってしまったから、ここで終わりにしましょう」という提案。予定より30分ほど早く、1日目は終了になりました。この奇跡的なテイクは、心配されたノイズもなく、最終的なCDに、ほぼそのまま使っています。
*****

佐村河内さんがこの曲を完成できたエピソードもあります。
盲児のための施設にてボランティアでピアノを教えことで知り合った盲目運命を背負った「しお」という少女。
彼女との出会い、真の心の交流から、強いインスピレーションをえて、これまで何度も挫折していた交響曲に取り組むこととなった・・・・。
ということで、この作品の献呈者となっています。

作曲者自身のコメントによれば第1楽章「運命」、第2楽章「絶望」、第3楽章「希望」がテーマになっています。
第1楽章序奏は「Andante tenebroso」の陰鬱なティンパニーの打音がこれからの「悲劇性」を予感させる。
楽章の演奏時間では「第2楽章」が最も長くこのCDの演奏では35分弱を要し「第1楽章」の様々の動機も増幅されながらテーマの「絶望感」の境地が伝わってくる。
第3楽章ー「Allegro molto tempestoso(嵐のように極めて速く)」に入るとまだしばらく「悲劇性」は持続され「レクイエム」の「怒りの日」をイメージさせるが楽章後半部は雲間から「希望の光」がさし始める。そしてコーダへと向かう美しい弦の響きが「平和」への祈りを捧げるかのようにカリヨンとともにマーラー風に高々と歌いあげられ劇的に幕がおろされる。

各楽章とも「調性」がとられているので聴きやすいですね。
ショスタコービッチやマーラーの香りを感じる大編成の効果的な展開と、そのメロディの美しさに感銘を受けました。
いわゆる現代作品の聴きにくい、とっつきにくさは全くありません。

「絶望」を表す第2楽章でさえ、けっして全否定ではないように思いました。第3楽章の「希望」は、ベートーヴェンの交響曲のように喜び歌い上げられるものではありませんが、圧倒的な「絶望」から最後に希望の鐘が鳴り響くところまで、傷だらけになって血を流しながら、それでも絶望のなかからみずからもがき出てくる、そんなものを感じさせられました。希望の音楽でもあると思います。

HIROSHIMAという表題を抜きにしても、クラシック音楽の1つの交響曲作品として、文字どおりマーラーやショスタコーヴィチに続いていく、すばらしい作品だと思います。


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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

「交響曲第1番」と言うことでしたら、私の好きな曲は「マーラー:交響曲第1番、カリンニコフ:交響曲第1番、シベリウス:交響曲第1番」と言ったところでしょうか。

確か、四季歩さんはカリンニコフの曲を取り上げていらっしゃなかったと思いますが、インターネット上で「カリンニコフ 交響曲第1番 mp3」で検索をかけるとmp3ファイルが幾つかupされていますし、また、youtubeにもupされていますので、一度、聴かれてもよいのではと思います。哀愁の籠もった曲です。

そう言えば、HIROSHIMAですが、少し前にNHK-TVで実況録画が放映されたので、録音してCD化しました。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、カリンニコフはまったく
知りませんでした。
ほかならぬ、matsumoさんが推薦とあらば、
間違いないと思います。
手に入れて、じっくり聴いてみようと思います。

HIROSHIMAのTV放送、私もDVDにして持っています。
良かったです。

No title

不躾な投稿で失礼します。
2013年8月17(土)~8月25日(日)、東京ミッドタウン(ホールC)にて「佐村河内守:交響曲第1番《HIROSHIMA》の世界展」を開催致します。同曲の自筆譜(コピー)の第3楽章全ページ掲示や、TVドキュメンタリーにもたびたび登場している「作曲メモ」のノートの現物陳列など、興味深い展示もございます。
開催初日の17日(土)19:00からは、音楽学者・野本由紀夫教授による交響曲第1番《HIROSHIMA》の楽曲分析を中心にしたスペシャル・ギャラリートークを開催。
ぜひお運びください。
(佐村河内守展実行委員会)

http://www.tokyo-midtown.com/jp/event/2013/7403.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130805-00000029-cdj-musi

佐村河内守展実行委員会さま

貴重な情報ありがとうございます。
大ファンですからに、ぜひとも参加させて
いただきます。
内容がとても魅力的です。
楽しみです。
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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