御鑓拝借/佐伯泰英

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文化十四年(一八一七)の陰暦三月、主人公赤目小籐次は豊後森藩下屋敷の厩番、五尺一寸(一五三センチ)禿げ上がった額に大目玉、団子鼻、両の耳も大きい四十九歳の中年、江戸時代であれば初老といっていい歳である。お世辞にも格好いいとはいえない小籐次は、伊予の水軍が不安定な船戦で遣う剣術を源とした来島水軍流剣法の一子相伝者=来島水軍流の達人である。愛刀は備中国次直。小籐次の仕えていた豊後森藩は元々伊予来島の河野水軍一翼を担った来島家の家系であった。

酒好きの小籐次は柳橋の万八楼であった大酒会で一斗五升の酒(三升入の漆杯で五杯、つまり一斗五升)を飲んだ末に、藩主・久留島通嘉の参勤下番の行列を六郷の渡しまで見送る習わしを欠礼してしまう。これがシリーズの副題となる「酔いどれの」由来となる。

その結果、用人の高堂伍平はかんかんに怒り、小籐次は奉公を解かれ、屋敷から追い出されることになった。

だが、そこには小籐次のある目論見があった。江戸城中で他藩主から辱めを受けたことを通嘉から聞かされ、脱藩して意趣返しをする決意を固めていたのである。小籐次の孤独な闘いが始まった。


この「御鑓拝借」については、NHKのテレビドラマになっている。しかし私はたまたま都合が悪く、番組欄のチェックも遅れて録画もできず、放送が終わってから「しまった」というのが二回も繰り返されていたのである(笑)
どうして残念かといえば、作者が佐伯泰英なので面白いに決まっているからだ。
そして、ついこの間「一路」を読んで、あらためて大名行列のなんたるかを知ったばかりである。
http://tamtom.blog44.fc2.com/blog-entry-1222.html

しかも、NHKがドラマ「酔いどれ小藤次」を放送し始めた。このドラマを楽しむためにも原点を知っておかずばなるまい・・・・・・・
なので、この本を読んだのだが、やはり面白かった。

しかも、読んで見ると4本目の「御鑓拝借」の舞台は、品川宿ではないか。
ちょうど今、所属している「歴史クラブ」の行事として品川宿周辺のぶらぶら歩きを企画している最中なのであります。
この本を読みながら、地図を見て、ただ稲荷と書いてあるけど、それはこっちのお稲荷さんかな、それともあっちかな・・・・・
御鑓を拝借してから、海岸で追っ手と死闘になりますが、たぶん場所はここだろう・・・・・
なんて、かなり楽しみました(笑)


登場人物で好感をもったのが、黒崎小弥太という人物。
御鑓を奪われた側は、面目を潰されてしまったので、小籐次に追っ手を差し向け御鑓の奪還をしようとするのだけど、逆に返り討ちにあう羽目に。
追手の一人だった黒崎小弥太は小籐次の剣の腕には敵わないと潔く認め、思い切って小籐次の目的を問いただします。
すると、初めて小籐次は藩主通嘉が受けた侮辱のことを明かし、さらには奪い取った御鑓は江戸の町にさらすという計画を打ち明けます。
驚いたのは黒崎です。 そんなことをされてしまったら、面目を失った藩は取り潰しを免れません。
何とか、解決策はないものかと、黒崎は小籐次から聞かされた話を主に伝えるための猶予をもらいます。

自分は逆立ちしても小籐次を討ってヒーローにはなれないと、冷静に判断できて、ならば正確な情報を手に入れようと動く、黒崎小弥太に共感を覚えた。


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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

私は表題の「鑓」の意味が全くわからなかったので調べたら、「槍」のことなのですね。と言うことは、「御鑓」とは殿様用の槍と言うことでしょうか。

それにしても、佐伯泰英氏は浪人物が好きですね。途中まで読んだ「居眠り磐音」も浪人でしたし。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
大名行列は「行軍」ですから、大将の駕籠または乗馬
のそばには、大将の使う槍と刀が控えていて、
その槍に各藩は自慢の意匠をこらしていたようです。

佐伯泰英の本は面白くて、たまりませんね。
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四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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