シベリウス/バイオリン協奏曲ニ短調 作品47

20130816

1903年に作曲されたが、1905年に改訂され、これが現行版となっている。
シベリウスは若い頃ヴァイオリニストを目指していたが、あがり症のため断念してしまった。そうした彼による唯一の協奏曲となったのが、ヴァイオリンを独奏楽器とする本作である。シベリウスの作風は交響的でありながら室内楽的な緊密な書法を基盤とするもので、この協奏曲も独奏者がオーケストラと対等に渡り合っており、名人的な技巧を披露することを目的とする“通例の”協奏曲とは必ずしも相容れない。

従来の協奏曲の殻を破ろうとする意志が強く表れており、作風を成立させるに当たっての過渡的存在ともいえる位置付けにある。とはいえヴァイオリニストを志したシベリウスの作品らしく、ダブルストップなどの難技巧を随所に取り入れており、演奏は容易ではない。

1904年に初稿版で初演が行われたが結果は芳しくなく、「美しい部分が多々あるものの、全体として冗長である」という評価が多かった。初演後の1905年にブラームスのヴァイオリン協奏曲を初めて聴いたシベリウスは、自らの協奏曲よりもさらに徹底してシンフォニックなこの作品に衝撃を受け、本作を現在我々が耳にする形に改訂したのだった。それは独奏楽器の名技性を抑えて構成を緊密化、凝縮し、より交響的な響きを追求したオーケストレーションへと変更したものである。改訂稿の完成後シベリウスは初稿の演奏を禁止したが、遺族の許可の下、レオニダス・カヴァコスの独奏、オスモ・ヴァンスカ指揮のラハティ交響楽団により行われた録音がある。

第1楽章出だしのヴァイオリンソロ、蚊の泣くような非常にか細い音だ。いかにも神秘的な開始です。
やがてオーケストラも主題の旋律に加わりますが、荒涼とした感じです。
オケはヴァイオリンを殺さぬようにかなり抑えた音、弱音で奏しますが、やがて爆発的に凄い強音で迫ります。
その差が非常に大きい。その強い盛り上がりが静まると、ヴァイオリンのカデンツァに。
この始まりで思わず身震いします。シベリウスが型破りに楽章の中間にカデンツァを置いたのもすばらしいですね。
第一楽章は、それまでの協奏曲と感じが違い斬新な感じがして、とても好きですね。

第2楽章冒頭、哀切極まりない木管から入り、ヴァイオリンが息の長い旋律を、表情を込めてたっぷりと弾いていきます。穏やかさのみで推移するのではなしに、時折かなり険しい感じの曲調もあります。

第3楽章は、ヴァイオリンが勇壮とも軽快ともとれる趣で荒野を駆け巡ります。特徴あるリズムに乗ってます。 そして、粗野とも言えそうな烈しさを加えながら終盤へと突っ走ります。終わり近くで超高音のフレーズがあって、ここも見事にみずみずしい音で通り過ぎると、いよいよ独創的なコーダで終わります。

この曲に関しては、まだ3つの音源を持っているだけです。

130816sibelius01.jpg
ヴァイオリン/ヒラリー・ハーン
指揮:エサ=ペッカ・サロネン
管弦楽:スウェーデン放送交響楽団
録音:2007年3月 ストックホルム

「レコード芸術」誌のゴールデンディスクに選ばれている。
ヒラリー・ハーンは、1979年アメリカ生まれ。ブラームスのヴァイオリン協奏曲の録音により、グラミー賞を受賞。
彼女の音は、水の流れのごとく、流れるような清冽な澄んだ音が特徴。
録音的には、オケの音が抑え目で、ソリストのかなでる繊細で美しい旋律が冴えわたる感じ。


130816sibelius02.jpg
ヴァイオリン:神尾真由子
指揮:イルジー・ピエロフラーヴェク
管弦楽:BBC交響楽団
2010年5月12日 NHKホール(テレビ放送を録画)

神尾 真由子は、大阪府豊中市出身。
2007年6月に第13回チャイコフスキー国際コンクールヴァイオリン部門で優勝(ヴァイオリン部門での日本人の優勝は1990年の諏訪内晶子以来2人目)。
少々感情的に入れ込みすぎているような気もしますが、中々力強い演奏です。映像つきなので、彼女の感情移入がとてもよくわかります。
BBC交響楽団とビエロフラーヴェク氏の音も、とても素晴らしいです。


130816sibelius03.jpg
ヴァイオリン:ペッカ・クーシスト
指揮:レイフ・セーゲルスタム
管弦楽:ヘルシンキ・フィルハーモニック管弦楽団
シベリウス/セーゲルスタム全集に収容

クーシストは1995年、19歳にして母国のシベリウス・コンクールに優勝して、その翌年にこのCDを録音しました。すぐにベストセラーになったそうです
ペッカの演奏は、多くのヴァイオリニストが陥るメカニズム誇示への誘惑を拒否。共感にみち、シベリウスの音楽の美しさと力強さをバランスよく表現した演奏です。
音に艶がありますね。
セーゲルスタム/ヘルシンキ・フィルの演奏も非常に美しく、時には荒々しくと正に理想的で、あらゆる中でベストのオーケストラ伴奏と言えます。


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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

以前も書いたような気がしますが、この曲は好きな曲の1つです。そして、最も好きな録音はLPですは「スピロヴァスキー(vn)、ハイニカイン指揮」のものです。

CD時代になってからは、上記のハーン(vn)のものや、1903/4年版の録音(カバコス(vn)、ファンシャク指揮)等も入手していますが、最も面白いものは「ゾネンバーグ(vn)、トーマス指揮」だと思っています。

ちなみに、ヘルシンキでシベリウスのヴァイオリン協奏曲を演奏した後,それを聴いて感激したシベリウスが彼女と面会して「私のヴァイオリン協奏曲の最高の解釈者」と褒め称えたと言われている「カミラ・ヴィックス」による録音が私のホームページにupしてありますので、ご興味があればお聴き下さい。
http://www.geocities.jp/matsumo22000/sound201/page99ak.htm

でましたね。クーシスト!

クーシストのヴァイオリン協奏曲を聴くのをずーっと我慢してます^^と言いますのも秋か冬に聴きたいと思っているので耐えているところです。セーゲルスタムのシベリウスの全集を買ったはいいのですが、6番7番が難解で困ってます(汗)そして、そうこうしているうちに弦楽四重奏曲にハマってしまいました。

コメントありがとうございます

matsumoさん
ありがとうございます。
貴重な音源もお持ちですね。
当のシベリウスに絶賛された人の音源が聴けるなんて、
素晴らしいです。

kurtさん
やはりセーゲルスタムの全集ですか。
嬉しいです。
彼のは、ほんとに北欧の香りがして好きです。
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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