温泉神社(延喜式内社)/栃木県那須郡

20131027

25日(金)に、台風の影響で雨が降るなか、歴史クラブの行事「式内社めぐり」下野国の二回目に行ってきました。
この日最初に訪れたのが当社です。
「温泉神社」という名前に最初馴染めなかったのですが、調べてみると式内社だけで、全国で10社温泉にちなむ神社があるんですね。

「温泉神社」という名前の式内社:
・温泉神社(福島県いわき市・いわき湯本温泉) - 祭神:大己貴命・事代主命・少彦名命。
・那須温泉神社(栃木県那須郡那須町・那須温泉郷) - 今回訪問の神社
・湯泉神社(兵庫県神戸市北区・有馬温泉) - 「温泉神社」と表記されることもある。祭神:大己貴命・少彦名命・熊野久須美命。

「温泉に関する式内社」
・温泉石神社(宮城県大崎市・鳴子温泉) - 祭神:大己貴命・少彦名命。
・由豆佐売神社(山形県鶴岡市・湯田川温泉) - 祭神:溝樴姫命・大己貴命・少彦名命。
・湯前神社(静岡県熱海市・熱海温泉) - 祭神:少彦名命。
・御湯神社(鳥取県岩美郡岩美町・岩井温泉)- 祭神:大己貴命・八上姫命・御井神・猿田彦命。
・玉作湯神社(島根県松江市・玉造温泉) - 祭神:櫛明玉神・大名持神・少毘古那神。
・湯神社(愛媛県松山市・道後温泉) - 祭神:大己貴命・少彦名命。
・火男火売神社(ほのおほのめじんじゃ大分県別府市・鉄輪温泉) - 祭神:火之加具土命、火焼速女命。

日本は火山帯が縦横に走り、各地に温泉があります。温泉は、湯神・温泉神として古来より崇敬の対象となってきました。その神を祀るのが湯神社・温泉神社です。古代に発見された温泉の多くは、大己貴神(大国主)と少彦名神が発見したと伝えられ、温泉神社の祭神である温泉神にはこの二神が充てられていることが多い。
大己貴神(大国主)と少彦名神は、医療・医薬・温泉の神とされている。

考えてみると、昔、医者にも診てもらえず、薬もろくになかった時代、庶民にとっては温泉ほどありがたいものは無かったことでしょう。このような有難いものをもたらしてくれたのは神だと思うのは自然なことだったと思います。

社号標
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一の鳥居は八幡鳥居でした。
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創立は、第三十四代舒明天皇の御代(六三〇年)狩野三郎行広、矢傷の白鹿 を追って山中に迷い込み神の御教により温泉を発見し神社を創建、 温泉の神を祀り崇敬の誠を尽くした。狩野三郎行広は後年那須温泉 開発の祖として見立神社祭神として祀られている。

由緒:
・上代より当温泉神社の霊験は国内に名高く 聖武天皇の天平十年(七三八年)には都より貴人が那須に湯治に下った事が載せられている。従って神位次第に高まり清和貞観十一年 (八六四年)には従四位勲五等が贈られている。
・文治元年(一一八五年)那須余一宗隆、源平合戦屋島の戦に温泉神社を祈願し見事扇の的を射、名声を轟かせ後一門を挙げて厚く崇敬 した。
・建久四年(一一九三年)源頼朝那須野原巻狩の折小山朝政の射止めし九岐大鹿を奉納。
・元禄二年(一六八九年)俳人松尾芭蕉「奥の細道」をたどる途中温泉神社に参詣、那須余一奉納の鏑矢等宝物を拝観、殺生石見物等が曽良の随行日記に載せられている。
このときの芭蕉の句 「石の香や 夏草あかく 露あつし」
・大正十三年(一九二二年)摂政宮殿下(昭和天皇)の行啓を仰ぎ那 須五葉松のお手植えを頂く。大正十一年(一九二〇年)久邇宮良子 女王殿下御参拝、那須五葉松のお手植えを頂く。

特に、源平合戦において那須余一宗隆が屋島の戦いで扇の的を射る際に当社に祈願し、見事余一名声を挙げて後、那須氏の崇敬をうけ領民こぞって温泉神社を勧請し奉り、現在那須郡内には、八十数社の温泉神社又は湯泉神社が祀られているとのことです。

ここで、那須余一が弓を射る前に祈願した『南無八幡大菩薩』は記憶にあったのですが、果たして温泉神社に祈願したのか?
その名場面を吉川英治全集「新・平家物語(5)」 浮巣の巻 を読み返してみました。
吉川英治はこう書いていました。
 なんとはなく、余一の胸に「今だ」という直感が走った。
――とともに、何か、吹きぬかれたような、すがすがしさとともに、身のうちから、『南無八幡大菩薩』
と、自然に口へ出、つづいて、『年々、奉射し奉りたる香取の神、もし今もって、迷悟を抜けぬわが弓ならば、矢を海中へ折り捨てて余一宗高に死を降し給え。またもし、少年の日より、年毎の奉射を怠らざるの効い、今日にあらしめ給うなれば、あの扇の首真ん中に、余一の矢を射中(いあ)てさせ給え。  ――あわれ、ふるさとの那須ノ湯泉大明神、亡き父上や母たちも護りてよ』

確かに当社に祈願していましたね。

参道が長く続きます。
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途中、「さざれ石」が
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二の鳥居の前に、旧い社号標が
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二の鳥居
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注連縄が真ん中で結ばれています。
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社額
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少し進むと右手に「見立神社」があります。
祭神は天児屋根命、狩野三郎行広(温泉発見の功により合祀)
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石段を上がると三の鳥居
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その横に御神木のミズナラがありました。樹齢800年。
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少し進むと、左手に境内社が三社並んでいました。
右から琴平神社(御祭神:大物主命)、神明宮(御祭神:大日霊命(おおひるめのみこと)=天照大神の別名)、山神社(御祭神:大山祇命)
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長い参道でしたが、やっと社殿が見えてきました。
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社殿に上がる石段の手前左に、芭蕉の句碑がありました。
「湯をむすぶ 誓いも同じ 石清水」
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狛犬
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樹齢800年の「那須の五葉松」
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拝殿
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本殿
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祭神は、大己貴命 (おおなむちのみこと)、少彦名命 (すくなひこなのみこと)
相殿神は誉田別命 (ほんだわけのみこと)=応神天皇です。

神紋は、拝殿扉と賽銭箱は「右三つ巴」でした。
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が、『栃木県神社誌』には「卍紋」とあるそうです。
本殿の屋根に、中央に卍紋、左に巴、そして右に「柊輪沢瀉」の三つが並んでおり、この三つが神紋でしょう。
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九尾稲荷
後述の殺生石にちなむお稲荷さんですね。
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境内の外れから、「殺生石園地」が見えます。
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そこに向かって降りていく小道が「あじさいの道」だそうですが、この季節に少し咲いていたのに驚きました。
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芭蕉の句にちなむ「石の香橋」を渡ると殺生石です。
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殺生石の由来:
昔中国や印度で美しい女性に化けて世を乱し悪行を重ねていた白面金毛九尾の狐が今から八百年程前の鳥羽天皇の御世に日本に渡来しました。この妖狐は「玉藻の前」と名乗って朝廷に仕え日本の国を亡ぼそうとしましたが、時の陰陽師阿部泰成にその正体を見破られて那須野ヶ原へと逃れて来ました。
 その後も妖狐は領民や旅人に危害を加えましたので朝廷では三浦介、上総介の両名に命 じ遂にこれを退治してしまいました。ところが妖狐は毒石となり毒気を放って人 畜に害を与えましたのでこれを「殺生石」と 呼んで近寄ることを禁じていましたが、会津 示現寺の開祖源翁和尚が石にこもる妖狐のう らみを封じましたのでようやく毒気も少なく なったと語り伝えられています。
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殺生石の近くには、色々な碑が立っていますが、まずは芭蕉の句碑
「石の香や 夏草あかく 露あつし」
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昭和五十五年国立劇場十二月歌舞伎公演「玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)」の上演記念参拝之碑
当時出演された歌舞伎役者の名前が刻まれています。
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千体地蔵
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湯の花採取場
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作業をしている人が居て、聞いたら毒ガスが出ているので定期的に測定しているのだそうです。
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「盲蛇石」があります。
その由来:
 昔、五左ェ門という湯守が長くきびしい冬を越すために山に薪を採りに行きました。その帰り道、五左ェ門がこの殺生河原で一休みしていると、2 メートルを越える大きな蛇に出会いました。大きな蛇の目は白く濁り盲の蛇でした。かわいそうに 思った五左ェ門は、これでは冬を越せないだろうと蛇のためにススキと小枝で小屋を作ってあげま した。
 次の年、蛇のことを忘れなかった五左ェ門は、 湯殿開きの日に小屋に来て蛇をさがしました。しかし、蛇の姿はどこにもなく、かわりにキラキラと輝く湯の花がありました。盲蛇に対する暖かい気持が神に通じ、湯の花のつくり方を教えてくれ たのでした。その後、湯の花のつくり方は村中に広まり、村人は盲蛇に対する感謝の気持を忘れず、蛇の首に似たこの石を盲蛇石と名付け大切にしたのだそう です。
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賽の河原
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「史跡 殺生石」の看板
私たちは温泉神社から、いちばん奥に入り下ってきましたが、温泉神社に行かず直接「殺生石」を見に来た場合は、ここから入ることになります。
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いままでの神社巡拝リストは下記をクリック
http://www.lares.dti.ne.jp/~taka-ino/jinjyajyunpai.html


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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

おっ、台風が来ると騒いでいた金曜日に那須まで出かけられたのですか! 私は観念して1日中、家にいて、LPレコードのWAVEファイル化に勤しんでいました。

さて、温泉神社って初めて聞きましたが、なるほど、那須の殺生石のそばにあるのですか。長い参道、幾つもある鳥居、結構、大きく立派な神社のようですね。

千体地蔵、風車が無いので水子地蔵ではなく、賽の河原に出てくるお地蔵さんなのでしょうね。荒涼としているので、賽の河原にみたてたのではと思いました。

そう言えば、別な話ですが、諏訪市の「諏訪大社下社秋宮」には、龍の口から温泉が出てくる手水場?があったのを思い出しました。こういうのがあると、完全に「温泉神社」と言う感じがします。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
私も、かなり昔になりますが、殺生石を見たことが
ありますが、すぐ近くの温泉神社は知りませんでした。
今回のことで、現代の温泉の姿しか頭にありませんでしたが、
昔は、さぞありがたい存在だったのだろうと、
見直しました。
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とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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