さわり/佐宮圭

20131124

131124sawari.jpg


「さわり」というのは琵琶独特の音色で、「弦が振動しながら楽器の一部に微かに触れることで生まれる、複雑で深みのある音」だそうです。

琵琶の音は好きで、上原まりさんの「平家物語」のCDは持っていた。しかし琵琶を聴く機会がほとんど無いし、音楽はクラシックに軸足が乗っているので、琵琶はそんなには聴いていなかった。
それでも、毎年5月の「寄居北条まつり」に行くのは、特設舞台で琵琶の口演があるから、それが楽しみとなっている。

クラシックの世界で、琵琶がからんだ有名な演奏がある。
ニューヨーク・フィルハーモニック125周年記念委嘱作品として、武満徹が『ノヴェンバー・ステップス』を作曲し、1967年11月9日、ニューヨーク・リンカーン・センターにおいて、鶴田錦史と横山勝也のソロ、小澤征爾指揮ニューヨーク・フィルハーモニックにより初演された。
これは大成功で、海外での公演は200回以上に及んだという。
もちろん、小澤征爾大好きの私は、この曲の演奏にまつわるエピソードなどは、ずいぶんと知っているつもりでいた。
ニューヨーク・リンカーン・センターでの初演の映像も見ている。

しかし、朝日新聞に載ったこの本の紹介記事で、初めて知ったのである。
あの時、紋付き袴姿で琵琶を演奏している「鶴田錦史」は実は女性なのだと。

それでこの本に関心を持ち、切り抜いたはいいけれど、どこかにはさまってしまっていて、又それが出てきたので、取り寄せて読んだ。

この本は鶴田流を作った人、鶴田錦史のノンフィクションです。
7歳で琵琶を習い始めて、12歳で早くも師匠となり、13歳でレコードを出すほどの早熟な少女スター。
その時代は、ものすごい琵琶の人気が高かったようです。
演奏会は超満員で、琵琶を習いたがる人も多くて、師匠としての収入もすごかったようだ。

20代後半に、夫の裏切りを機に彼女は音楽を捨て、子供も捨てて、「男装」で実業界に身を投じ、大きな成功を納めます。生涯「男装」を貫きました。

40台半ばで武満徹と出会って、再び琵琶を手にしたあとは、琵琶の再興に尽力します。

彼女と対照的に、生まれが良くて、美人のために、超人気女流琵琶演奏家として幼い時から華やかな舞台に君臨し、しかしながら琵琶人気の凋落で、最後は借金生活。しかし琵琶一筋を貫いた水藤錦穣も登場します。

鶴田錦史の数奇な人生に驚きながら読み進み、琵琶自体の話や、琵琶の世界の歴史を、ひいては琵琶というもを世界に知ってもらうための彼女の努力を知りました。
武満徹が求める音を実現するために琵琶を改造してしまうとか、琵琶の改良もずいぶんとしています。

この本で、ずいぶんと琵琶に対する関心が深まりました。



スポンサーサイト

コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

琵琶ですか、源氏物語絵巻の中で、確か、薫が弾いている場面がありますね。また、源氏物語を読むと、明石の君が琵琶の名手で、若菜の巻の女楽の場面で、琴の琴は正妻の三の宮、和琴が紫の上、箏が娘の明石の君、そして、琵琶を明石の君が弾くことになっています。ほかに、朧月夜の君が琵琶を弾いている場面がありますし。上記4つの楽器の中では、琴の琴の位が最も高いですが、別に、琵琶の位が低いと言う訳ではないようです。

そう言えば、正倉院の宝物の中に、螺鈿細工の素晴らしい琵琶がありましたね。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
私は雅楽が好きで、機会があると聴きに行ったりしますが、
雅楽の楽器の中に琵琶が入っているので、
それなりの位はあると思います。

琵琶という楽器は、本当に美しい楽器だと思います。
そして弾いて出てくる音が、またいいですね。
非公開コメント
プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード

Pagetop