ブラームス/ピアノ協奏曲 第1番ニ短調作品15

20140220

ブラームスの初期の代表的作品の一つで、最初に作曲された協奏曲。
完成当時は評価が芳しくなかった。ハノーファー初演は一応成功したものの、5日後のライプツィヒ初演が行われたとき、聴衆は退屈のあまりに非難の野次を飛ばしたという。ブラームスはヨアヒムに宛てて「僕はただわが道を行くだけです」と書き送ったが、悲しげに「それにつけても野次の多さよ!」と付け加えている。

ブラームスは最初からピアノ協奏曲を書こうとしたわけではなく、紆余曲折を経て完成している。
元々は1854年3月に3楽章構成の『2台のピアノのためのソナタ』として書き上げられたものが原型である。

初期の短調による室内楽曲と同じように、懊悩と煩悶、激情といった、後年のブラームス作品には見られない表情が顕著である。ことこの曲については作曲時期にブラームスが内面の危機を抱えていた事が大きい。1856年に恩人ローベルト・シューマンが他界し、残された私信などから、その頃のブラームスは未亡人となったクララに狂おしいほどの恋愛感情を抱いていた可能性が高いことが分かっている。

また、初演当時まだ25歳という若さもあってか、冒険的な要素も多い。例えば伝統的な協奏ソナタの主題提示と異なり、第1楽章の第2主題はピアノにより提示されることや、19世紀のヴィルトゥオーゾによる協奏曲のように、オーケストラを独奏楽器の単なる伴奏として扱うのではなく、独奏楽器と効果的に対話させてシンフォニックな融合を目指したことなどが挙げられる。ただしブラームスの努力は本作では完全には実現されず、かなり後の《ヴァイオリン協奏曲》や《ピアノ協奏曲 第2番》において具現化された。

初期作品ならではの情熱的な表現をはじめとする、管弦楽法の未熟度などの欠点を補って余りある魅力に加え、作曲様式においては(クララ・シューマンなどのアドバイスも相俟って)非常に練れた作品であり、時が経つにつれて作品の評価も高まっていった。現在ではその壮大な古典主義的な構想や、見栄えのするピアノの超絶技巧、初期作品ならではの情熱的で気魄に富んだ表現などから、ブラームスの初期の代表作として認知されている。

まず、冒頭の爆発するようなオーケストラの総奏で、この演奏がなみなみならぬものであることが分かります。
冒頭から4分くらいはオケが鳴るばかりでピアノが全然出てこないのだが、それがフェードアウトした後に提示される第2主題(ピアノソロの入り)のメロディの美しさと言ったら。
ちょっと鳥肌が立ちます。

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ピアノ:エミール・ギレリス
指揮:オイゲン・ヨッフム
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管絃楽団
録音:1972年6月 ベルリン

「鋼鉄のピアニスト」といわれたギレリスの鋭いタッチは、ブラームスの、若き日の苦悩の時代に書かれたこの作品にぴったりの厳しさをもっている。
そしてヨッフムの老練な指揮ぶりで、ベルリン・フィルを存分に鳴らしながら、これぞブラームスだ!といった重厚な響きをつくりあげている。歌うところはつや消しの音色で歌っている。ブラームスにはこの渋さこそ好ましい。
いやゆる「ドイツ的」という底堅さ、渋さ、味わい深さを感じさせる。


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テレビ放送のDVD
ピアノ: エリーザベト・レオンスカヤ
指揮: ホルスト・シュタイン
管弦楽:バンベルク交響楽団
1990.4.28 サントリーホール

これは、NHKで「思い出の名演奏」として前年亡くなった名指揮者、ホルスト・シュタインのバンベルク交響楽団との来日公演の模様を放送したものです。
ですから、私にとってもホルスト・シュタインの追悼盤といったところです。
(ただし、上の2枚の写真はこの演奏時の写真ではなく他のときの写真です。)
レオンスカヤのロマンティックなブラームスがすばらしい。
さすがにホルスト・シュタインの指揮です。歌心に満たされて、美しい演奏。
バンベルク交響楽団も渋いけど明るい音色を活かして、暖かみの感じられる響きです。


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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

「ブラームス:ピアノ協奏曲第1番」ですか。この曲はブラームスが無理と言うか、背伸びして書いているような感じで、第2番は大好きなのですが、この曲は苦手の1つです。

ヨッフムの録音は得意とした「オルフ:カルミナ・ブラーナ」や「ブルックナー:交響曲全集」等を持っていますが、私には遠い存在の指揮者の1人でした。ギレリスはベートーベンのピアノソナタ集を1枚持っているだけだと思います。バンベルク交響楽団は初来日の際、ヨゼフ・カイルベルト指揮でコンサートが開かれたのですが、その時に演奏された「ブラームス:交響曲第4番」が枯淡の境地と言った感じの素晴らしい演奏で、後に、CD化されました。

matsumo さん

コメントありがとうございます。
私も2番のほうが好きなのですが、現在「第1番」で
ずっと回しているので、ご勘弁を。

バンベルク交響楽団の音は、素晴らしいと思っています。

ギレリス盤は第2番で、

第1番はもっぱらゼルキン+セル/クリーヴランド管の演奏による録音で聴いております。この曲、いいですね~。とくに、緩徐楽章がたまりません。無類に好きです。当方の、以前の記事はこんな風でした。
http://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/af78447b649d21abdaa7524930e97ae5

narkejpさん

コメントありがとうございます。
讀みに行ってきましたが、narkejpさんの記事は
いつも素晴らしいですよね。
よくCDの買い出しに行く前に参考にさせて
もらったものでした。
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四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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