塞の神(さいのかみ)/日本の神々の話

20150109

塞の神のサイは、幸・妻・障・斎・歳・性などいろいろな字が当てられている。村境に祀られ、悪疫悪神の侵入を防ぐ神である。また、性病・出産・良縁・妊娠などを祈る神でもある。また日本古来からある原始神の一つでもあり、防障神・生産神でもあったし、子安神でもあるという複雑な信仰を持っている。

「日本の神様読み解き事典」の著者川口謙二氏によれば、塞の神と「道祖神」は分けて考えた方が良い、としているので、道祖神については別途述べることにします。

村境に祀られ、悪疫悪神の侵入を防ぐ神ということで、「塞の神信仰」ということで最初に挙げたいのは狭山市の式内社廣瀬神社の「道饗祭(みちあえのまつり)」です。
私がこの神事について知ったのは、SSCC歴史講座の研究コース在籍のとき一緒だった、高橋義憲さんが卒業論文「神事と社殿の装飾」で廣瀬神社の神事として紹介していたからです。
道饗祭は地域に禍をなす、魑魅や妖物と食を饗して、しばらくの間、静かにして頂くもので、八衢比古命・八衢比売命・久那斗命の三神に祭りをお願いする神事です。外部からの悪疫や妖物の侵入阻止・退散が目的です。
廣瀬神社秋季例大祭は初日が三神による道饗祭で、二日目は主祭神である「若宇迦能売命」の「神輿渡御」が行われる。
道饗祭の際に「延喜式内廣瀬神社 道饗祭」のお札を細竹の上部を裂きはさみ、これを地上1.5メートル程の高さに立て、外部からの魑魅や妖物や悪疫の侵入を塞ぐ。お札の場所は八ケ所で、広瀬に入ってくる道の境に立てられる。
現在は新しい道が出来て、もっと道は増えています。このお札が立てられる道が古くからの道と云うこともできます。

塞の神が日本の文献に出てくる一番古いものは、『古事記』上巻の、伊弊再尊が火の神を産み、死んで黄泉の国へ逝かれたのを、夫の伊弊諾尊が会いたさに後を追い、死体に驚き逃げ帰るという黄泉比良坂の条である。このなかに、「道返之大神(ちがへしのおおかみ)」とあるが、これは塞の神信仰であり、大石をもって象徴されている。

 寛政七年(一七九五)刊の『東遊記』(積商裕著)巻三に、次のような記述がある。
「出羽国渥美の駅のあたり、街道の両方に、岩の誓えたる所には、幾所ともなく必ず岩より岩にしめ縄を張り、其のしめ縄のもとに木にて細工、よく陰茎の形を作り、道の方へ向けて出しあり、其の陰茎甚だ大にして、長さ七八尺ばかり、ふとさ三四尺周りも有るべし。あまりけしからぬもの故、所の人に尋ぬれば、是は往古より至し来れる事にて、さいの神と名付けて、毎年正月十五日に新しく作り改むることなり。所の神の事なれば、中々粗略にはせず、たとひ御巡見使又は御目附等の通行の節も此のままにて、若きものの戯れなどにあらずと云ふ。また其のしめ縄に紙を結びて多く付けたり。是はいかなる故と問へば、これは此のあたりの女、よき男を祈りてひそかに紙を結ぶ事なりと云ふ。誠に辺国古風の事なり。京都の今出川の上にある所の幸の神といふは、いかなる神にてましますにや。すべて田舎には色々の名は替りあれども、陰茎の形の石、陰門の形の石を神体として、所の氏神杯にいはひ祭りて、たふとびかしづく所多し。日本の古風にや、神代の巻にもいふ所、或は鶉鶴の古事杯ふるくいひ伝ふる事多ければ、神道の秘事にはかかる事有るべしとぞおもふ」とある。

私は長野県で生まれ育ったので、賽ノ神としての道祖神に子供の時から慣れ親しんできた。その道祖神が群馬県でも当たり前のように必ず村の外れあたりに見受けられるが、埼玉県ではガクンと少なくなる。そして狭山市にはまったく見られない。
では、賽ノ神として村の外れには何を祀ったのだろうか。庚申塔、馬頭観音、月待供養塔・・・・
地方によっては、道祖神と一緒に必ず庚申塔や月待供養塔があるところがあるそうなので。
それともそういう信仰が無かったのか。
これについては、関心を持って見ているが、私はまだきちんと研究が出来ていない。



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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

道祖神は知っていますが、塞の神と言うのは初めて知りました。確かに、昔は疫病、すなわち、天然痘とかコレラとかが流行れば、村に入ってこないようにする必要がありますよね。そうしないと、村が全滅してしまいますし。

matsumo さん

コメントありがとうございます。
調べてみると、ちゃんと「賽ノ神」と刻んだ石碑を
立てている地域もありますね。
私が育ったところは「道祖神」でしたが。
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Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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