第六天(だいろくてん)/日本の神々の話

20150407

元々は神仏習合の時代に第六天魔王(他化自在天)を祀る神社として創建されたものであるが、明治の神仏分離の際、多くの第六天神社が存続を図るため、その社名から神世七代における第六代のオモダル・アヤカシコネ(面足命・惶根命)に祭神を変更したことが、ややこしい事になっている。

そもそも第六天とは仏教における天のうち、欲界の六欲天の最高位(下から第六位)にある他化自在天をいう。『大智度論』巻9いわく「此の天は他の所化を奪いて自ら娯楽す、故に他化自在と言う。」と、他の者の教化を奪い取る天としている。 また『起世経』巻1いわく「他化天の上、梵身天の下、其の中間に摩羅波旬・諸天の宮殿有り。」とし、他化自在天と梵衆天の中間に天魔が住んでいるとする。また『過去現在因果経』巻3には「第六天魔王」が登場し、「自在天王」と称している。 これらを踏まえ、『仏祖統紀』巻2いわく「諸経に云う、魔波旬六欲の頂に在りて別に宮殿有り。今因果経すなわち自在天王を指す。是の如くなれば則ち第六天に当たる。」とし、他化自在天=天魔であると考察している。
第六天神社(だいろくてんじんしゃ)は、関東地方(旧武蔵国)を中心としてその周辺に存在する神社。なお、神社によっては第六天を「大六天」と表記する場合もある。

『日本民俗学 No.127』によると、『新編武蔵国風土記稿』より三百二十余社、『新編相模国風土記稿』より百四十余社、『増訂・豆州志稿』より四十余社の「第六天神社」を確認できたとあるように江戸時代末までは関東を中心に多く存在した。
前述の神仏分離によって改称あるいは他の神社に合祀や相殿、末社となり、祠のようなものも数えれば現在でも三百余社あるものの、宗教法人格を持つような独立神社としては珍しい存在となっている。なお、現在では東京都と千葉県の県境近辺に多く所在しており、神奈川県内において神社庁下の独立神社は二社に留まる。また、千葉県香取市の山倉大神は前述の神仏分離まで大六天王(第六天魔王と同一)を祀っており(現在では近距離に所在する真言宗山倉山観福寺に遷座)、大六天王社の総社とされていた。

一方、第六天神社が所在する分布にも大きな特徴があり、東日本において関東の旧武蔵国を中心に旧相模国、旧伊豆国などに存在するが、西日本では皆無となっている。これは神奈川県神社庁の 『かながわの神社ガイドブック』(1997年、かなしん出版)によると、戦国時代の覇者である織田信長が篤く信奉していたとされることから、天下統一の跡を継いだ豊臣秀吉が第六天の神威(しんい)を恐れ、拠点としていた西日本の第六天神社を尽く廃社したためという。
なお、信長が信奉し自ら「第六天魔王」と名乗っていたとされるのは、イエズス会宣教師ルイス・フロイスの書簡の中で紹介されている、武田信玄と信長が書状のやり取りをした際の話からきており、それによると「信玄がテンダイノザス・シャモン・シンゲン(天台座主沙門信玄)と署名したのに対して、信長は仏教に反対する悪魔の王、ドイロクテンノ・マオウ・ノブナガ(第六天魔王信長)と署名して返した」とされるが、実際に自ら名乗っていたという文献などは他に存在しない。

この他、祭神については前述の第六天魔王から神世七代第六代の神に変更されたケース以外に以下の例がある。
・東京都墨田区押上や葛飾区西亀有の高木神社(旧称:第六天社)のように高木の神(タカミムスビ:日本書紀では高皇産霊神、古事記では高御産巣日神)を祭神としている場合
・宮城県名取市の第六天神社のようにそもそも第六天魔王とは関係がなく天神を祀っている神社もある。
・埼玉県飯能市の大六天神社では第六天魔王は天狗であるとされる。
・さいたま市岩槻区にある武蔵第六天神社でも御使役の天狗様や社殿に宿る大天狗・烏天狗など天狗と関連付けられている。


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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

なるほど、第六天と言うのはそう言う意味だったのですか。

実は、台東区蔵前に「第六天榊神社」と言うのがあり、普通、「第六天社」と呼ばれています。ここ、夏祭りが盛んで、本社の神輿は千貫神輿と呼ばれる非常に大きなものです。ここの祭りはすぐそばの幾つかの神社と同じ日ですので、方々の神輿を同じ日に見ることができます。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
第六天社は関東に多いようですから、
色々なところにありますね。
私も、祭りのほうにかなり力が
入っていますから、きっとどこかで
ご一緒になることでしょう。
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Author:四季歩
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写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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