足名椎命・手名椎命/日本の神々の話

20150620

川越氷川神社の祭神です。
氷川神社なので、当然主祭神は素盞鳴尊ですが、加えて脚摩乳命(あしなづちのみこと)と 手摩乳命(てなづちのみこと)。さらにその娘であり、素盞鳴尊の妃神である奇稲田姫命。そして、素盞鳴尊と奇稲田姫命のご子孫の大己貴命(おおなむちのみこと)の五柱の神様が祭神となっています。

『古事記』では「足名椎命」・「手名椎命」と表記、『日本書紀』では「脚摩乳尊」・「手摩乳尊」と表記する。

『古事記』の記述で、「天照大御神と須佐之男命」の巻の「八俣の大蛇」を、長いですが<読みくだし文>でみましょう。
「かれ避追(やら)はえて、出雲国の肥の河上、名は鳥髪といふ地に降りましき。この時、箸その河より流れ下りき。ここに須佐之男命、人その河上にありと以為(おも)ほして、尋ね覓ぎ上り往きたまへば、老夫と老女と二人ありて、童女を中に置きて泣けり。ここに「汝は誰ぞ」と問ひたまひき。かれ、その老夫答へ言さく、「僕は国つ神大山津見神の子なり。僕が名は足名椎と謂ひ、妻が名は手名椎と謂ひ、女が名は櫛名田比売と謂ふ」とまをしき。
 また「汝の哭く由は何ぞ」と問ひたまへば、答へ白さく、「我が女は本より八稚女ありしを、この高志の八俣のをろち年ごとに来て喫へり。今そが来べき時なるが故に泣く」とまをしき。ここに「その形は如何に」と問ひたまへば、答へて白さく、「その目は赤かがちの如くして、身一つに八頭八尾あり。またその身に蘿と檜・椙と生ひ、その長(たけ)は谿八谷・峡八尾に度りて、その腹を見れば悉に常に血に爛れたり」とまをしき。 ここに赤かがちと謂へるは、今の酸醤(ほおずき)なり。
ここに速須佐之男命、その老夫に詔りたまはく、「この汝の女は、吾に奉らむや」とのりたまへば、「恐し。また御名を覚らず」と答へ白しき。ここに答へて詔りたまはく、「吾は天照大御神のいろせなり。かれ、今天より降りましぬ」とのりたまひき。ここに足名椎・手名椎白さく、「然坐さば恐し。立奉らむ」とまをしき。ここに速須佐之男命、すなはちゆつ爪櫛にその童女を取り成して、御みづらに刺して、その足名椎.手名椎神に告りたまはく、「汝等八塩折の酒を醸み、また垣を作り廻し、その垣に八門を作り、門ごとに八さずきを結ひ、そのさずきごとに酒船を置きて、船ごとにその八塩折の酒を盛りて待て」とのりたまひき。
かれ、告りたまひし随(まにま)に、かく設け備へて待ちし時、その八俣のをろちまことに言の如来つ。すなわち船ごとに己が頭を垂れ入れて、その酒を飲みき。ここに飲み酔ひて留まり伏し寝ねき。ここに速須佐之男命、その佩かせる十拳剣を抜きて、その蛇(をろち)を切りはふりたまひしかば、肥河血に変りて流れき。かれ、その中の尾を切りたまひし時、御刀の刃毀(か)けき。ここに恠(あや)しと思ほして、御刀の前もちて刺し割きて見たまへば、都牟羽の太刀あり。かれ、この大刀を取り、異しき物と思ほして、天照大御神に白し上げたまひき。こは草なぎの大刀なり。
 かれ、ここをもちてその速須佐之男命、宮造るべき地を出雲国に求(ま)ぎたまひき。ここに須賀の地に到りまして詔りたまはく、「吾ここに釆て、我が御心すがすがし」とのりたまひて、そこに宮を作りて坐しき。かれ、そこは今に須賀といふ。この大神、初め須賀宮を作りたまひし時、そこより雲立ち騰りき。ここに御歌を作(よ)みたまひき。その歌に白はく、
    八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を (一)
 ここにその足名椎を喚びて、「汝はわが宮の首に任けむ」と告りたまひ、また名を負せて稲田宮主須賀八耳神と号(なづ)けたまひき。」

要約すると、アシナヅチはオオヤマツミの子で、出雲国の肥の川の上流に住んでいた。8人の娘(八稚女)がいたが、毎年ヤマタノオロチがやって来て娘を食べてしまい、スサノオが二神の元にやって来た時には、最後に残った末娘のクシナダヒメを食いにオロチがやって来る前だった。二神はスサノオがオロチを退治する代わりにクシナダヒメを妻として差し上げることを了承し、オロチ退治の準備を行った。このとき、スサノオによって娘のクシナダヒメは櫛に変えられた。
スサノオが無事オロチを退治し須賀の地に宮殿を建てると、スサノオはアシナヅチを呼び、宮の首長に任じて稲田宮主須賀之八耳神(いなだのみやぬしすがのやつみみのかみ)(『日本書紀』では稲田宮主神)の名を与えた。


2013年3月の東京都民俗芸能大会にて上演された、東都葛西神楽保存会の神楽「八岐大蛇」の写真を載せておきます。
ここでは、アシナヅチは登場するがテナヅチは登場しない。
アシナヅチ
150620tena01.jpg


スサノオ
150620tena02.jpg


スサノオ、アシナヅチ、クシナダヒメ
150620tena03.jpg


酒を用意するテナヅチ
150620tena04.jpg


オロチ
150620tena05.jpg


スサノオとオロチの闘い
150620tena06.jpg


草なぎの剣を手にするクシナダヒメ
150620tena07.jpg



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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

ううん、オロチを退治したスサノオを祭るのはわるのですが、7人の娘をオロチに食われ、最後の娘をスサノオの妃にしただけの夫婦を何で祭るのでしょうね。御利益は勿論、祟りもある感じはしないのですが。あるいは、妃の親と言うことだけで、祭ると言うことなのでしょうか。ううん、私には納得しがたい話ですね。

No title

ううん、よく考えてみると、藤原氏のように外戚で偉くなるのかもしれませんね。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
記紀神話に載っていない神もたくさんあるので、
載っているだけでも、何らかの意味があると
思います。
「手足の働き」を祀る神かもしれませんね。
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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