経津主神(ふつぬしのかみ)/日本の神々の話

20160429

下総国一之宮・香取神宮の祭神

『日本書紀』のみに登場し、『古事記』には登場しない。 別名、斎主神(いわいぬしのかみ)、伊波比主神(いわいぬしのかみ)。『出雲国風土記』では布都怒志命として登場する。

経津主神は武甕槌神と関係が深いとされ、両神は対で扱われることが多い。有名な例としては、経津主神を祀る香取神宮と、武甕槌神を祀る鹿島神宮とが、利根川を挟んで相対するように位置することがあげられる。また、春日大社では経津主神が建御雷神らとともに祀られている。これは香取神宮・鹿島神宮のある常総地方が中臣氏(藤原氏)の本拠地だったため、両社の祭神を勧請したものである。また、鹽竈神社でも経津主神・建御雷神がシオツチノオジとともに祀られている。

経津主神の正体や神話の中で果たした役割については諸説がある。
神名の「フツ」は刀剣で物が断ち切られる様を表し、刀剣の威力を神格化した神とする説のほか、「フツ」は「フツフツ」と沸き上がり「フルイ起す」フツであるとする説があり、建御雷之男神が出雲の浜で大国主命に国譲りを迫った際波頭に突き立てた剣、神武天皇の東征の際に熊野で神武天皇が正気を失って倒れた時に天照大御神と高木の神の要請で建御雷之男神が高倉下に託して神武天皇に与えた剣の布都御魂(ふつのみたま)の剣を神格化したとする説がある。
なお、『先代旧事本紀』では経津主神の神魂の刀が布都御魂であるとしている。『古事記』では、建御雷之男神の別名が建布都神(たけふつのかみ)または豊布都神(とよふつのかみ)であるとし、建御雷之男神が中心となって葦原中国平定を行うなど、建御雷之男神と経津主神が同じ神であるかのように記載している。

布都御魂を祀る石上神宮が物部氏の武器庫だったとされることから、経津主神も本来は物部氏の祭神だったが、後に擡頭する中臣氏の祭神である建御雷神にその神格が奪われたと考えられている。
『日本書紀』の神産みの第六の一書では、伊弉諾尊が軻遇突智を斬ったとき、十束剣から滴る血が固まって天の安河のほとりの岩群となり、これが経津主神の祖であるとしている。 第七の一書では、軻遇突智の血が天の安河のほとりの岩群を染めたために岩裂神・根裂神が生まれ、その御子の磐筒男神・磐筒女神が経津主神を生んだとしている。

この神に関する伝承は複雑なので、葦原中国平定に関して整理する。
『日本書紀』九段本文で、磐裂根裂の子、磐筒男・磐筒女が生んだ神で、葦原中国平定の為の使いとして選ばれた神。選ばれなかった武甕槌神が、自薦により同伴する。(経津主神が主)
『日本書紀』九段一書(第一)では、武甕槌神・経津主神がともに派遣される。(並立)
『日本書紀』九段一書(第二)では、経津主神・武甕槌神が派遣されるが、天にいる悪神・天津甕星(別名天香香
男を「主」に制圧する神として説明されている。(経津主神が主)
『古語拾遺』では、経津主神・武甕槌神が派遣される。(並立)
『先代旧事本紀』では、経津主神に武甕槌神をそえて派遣される。(経津主神が主)
『古事記』では、建御雷之男神のみの派遣、同行したのは天鳥船神。(建御雷之男神が主)
建御雷之男神の別名を建布都神・豊布都神といい、神武東征の際に、建御雷神が下した剣の名を、佐士布都神・甕布都神・布都御魂という。つまり、建御雷之男神が稲佐の浜で国譲りを迫るときにその上に乗った剣が経津主神、あるいは御魂であると思われる。剣がモノを「フツ」と斬る機能、または剣そのもの。また、布都御魂は石上神宮に祀られているともあり、物部氏との関係も示唆されている。
『出雲國造神賀詞』では、交渉から戻った天菩比命は、再度、御子神・天之夷鳥命をともなって天降り、 荒ぶる神を征服し、「国作之大神」、すなわち大名持神を鎮めたとある。天之夷鳥命に、布都怒主命を副えて派遣される。(天之夷鳥命が主)

※これらのことから、もともと、経津主命が派遣の主体であったが、後に武甕槌命が加えられ、次第に、その主役が交代したと思われる。武甕槌神が中臣氏(藤原氏)の祀る神であり、経津主神は本来は物部氏の祭神であったので、その流れも理解できる。

香取神宮宝物館所蔵の「香取経津主神」画像
160429futunushi.jpg




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