蚕神(かいこがみ)・蚕影神(こかげかみ)/日本の神々の話

20161128

狭山市では、亀井神社境内社、広瀬富士浅間宮の養蚕神社、長野県丸子の依田神社境内社、前橋・総社神社境内石碑で参拝している。
養蚕の守護神。各地で蚕影明神とか「おしらさま」などでも信仰対象とされる。

狭山市での蚕神(かいこがみ)は下奥富の亀井神社境内にあり、文政13年(1830)に造られたもの。家屋形の石祠せきしには「蚕影山大権現」と刻まれ、左側面には「願主講中」とあります。
ここでいう講中とは、養蚕が主に女性の手で行われていたことを考えると、女性を中心とした「おしら講」ではないかと思われる。
なお、蚕影山は茨城県つくば市所在の蚕影神社のことで、古くから養蚕の神として信仰されています。
この社に伝わる縁起は興味深い。
養蚕および蚕神の起源を説く金色姫の物語が中世末から近世にかけて語られていた。御伽草子《戒言(かひこ)》もその一つである。

金色姫伝説:
天竺に舞台が及ぶ壮大な伝説で、「日本一社蚕影神社御神徳記」のほか、上垣守国が享和2年(1802年)に著した「養蚕秘録」、伊藤智夫の「絹1 ものと人間の文化史」等の養蚕書に紹介がある。
(概略)
欽明天皇御代(539-571年)、北天竺の旧仲国の霖夷大王と光契夫人の間に金色皇后(金色姫)という娘がいた。夫人は病で亡くなり、王は後妻となる后を迎えたが、后は金色姫を疎み、王の目を盗んで、姫暗殺の奸計を巡らせた。
第一に、獅子王という獣が巣食う師子吼山に捨てさせたが、獅子王は金色姫を襲うことなく丁重に宮殿に送り届けた。
第二に、鷲、鷹、熊などが巣食う辺境の鷹群山に捨てさせたが、鷹狩のために派遣された宮殿関係者が発見した。
第三に、海眼山という不毛の孤島に流させたが、漂着した漁師に保護された。
第四に、清涼殿の小庭に埋めさせたが、約100日も経った頃、地中から光が差したので、王が掘らせたところ、金色姫がやつれた姿で救い出された。事情を知り、姫の行く末を案じた王は桑で作った靭(うつぼ)船に姫を乗せ、海に流した。この船は常陸国の豊浦湊に漂着した。
豊浦湊に住む漁師、権太夫夫婦が金色姫を救い面倒を見たが、姫は空しく病に倒れた。ある夜、夫婦の夢枕に姫が立ったので、唐櫃を開いたところ、亡骸はなく無数の虫が動いていた。金色姫が靭船で流れてきたことから、桑の葉を与えたところ、虫は喜んで食べ、次第に成長した。ある時、虫は桑を食べず、頭を上げてわなわなと震え出した。夫婦が心配していると姫が再び夢枕に立ち、この休みは継母から受けた受難の表れだと告げた。「獅子の休、鷹の休、船の休、庭の休を経て、靭船の中で繭を作ることを覚えた」という。姫が告げた通り、虫はしばらくして繭を作った。
夫婦は筑波山の「影道(ほんどう)仙人」(蚕影道仙人とも)に繭から綿糸を紡ぐ技術を教わった。さらに筑波に飛来された欽明天皇の皇女各谷姫(かぐや)に神衣を織る技術を教わった。これが我が国における養蚕と機織の始まりという。
養蚕と機織を営んだ夫婦は、靭船が辿り着いた豊浦に御殿を建立、金色姫を中心に、左右に富士と筑波の神を祀った。

おしら様は、日本の東北地方で信仰されている家の神であり、一般には蚕の神、農業の神、馬の神とされる。茨城県などでも伝承されるが、特に青森県・岩手県で濃厚にのこり、宮城県北部にも密に分布する。
ご神体を桑の木で作るので、蚕の神様であることは間違いない。

これは、埼玉県秩父郡長瀞町井戸の岩根神社にある「蚕神様」である。
蛾になった蚕の冠を被り、右手に繭、左手に桑の枝を持つ。
161128kaiko01.jpg


それから、調べていて面白いものが見つかった。
「狛猫」である。
かって養蚕は、比較的短期間に現金収入の得られる副業として、日本全国の農家で盛んに行われていた。
ところがネズミは、蚕の卵、幼虫、蛹(繭玉)、いずれ構わず食べてしまう。
たった一晩で、大きな損害となってしまう。
養蚕農家はネズミの被害を恐れて、ネズミの天敵の猫を飼ったりして防御に努めた。加えて、養蚕農家は、神社などに参拝して、蚕神に祈り、「蚕病、鼠除けのお札」や「猫絵」「猫石」などを頂いたりして、豊蚕と養蚕守護を願った例がある。
京都府京丹後市峰山町字泉、金毘羅神社内には「狛猫」がある。
161128kaiko02.jpg



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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

駒猫ですか、ううん、まだ、観たことがありません。ただし、駒兎は大津市の「三井寺」近くの「三尾神社」で観たことがあります。

なるほど、養蚕がネズミで脅かされると言うこと、初めて知りました。確かにそうですね。

それにしても、金色姫伝説の中の王、どうしようもない輩ですね。まずは、自分の子供を守るのが先決だと思いますが、后を恐れて、子供を海に流してしまうとは。

matsumo さん

コメントありがとうございます。
狛兎は、浦和にある式内社「調(つき)神社」にあります。
ここには、けっこう色々なところに兎がいます(笑)

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四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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