勢夜陀多良比売(せやたたらひめ)・玉櫛媛(たまくしひめ)・三嶋溝樴姫(みしまのみぞくいひめ)

20170730

記紀に登場し、神武天皇の后の母神である。

『古事記』では勢夜陀多良比売(:せやたたらひめ)、『日本書紀』では玉櫛媛(:たまくしひめ)
また、三嶋溝樴姫(みしまのみぞくいひめ)、溝咋比賣命(みぞくいひめのみこと)とよばれることもある。

この神には、奈良県桜井市の「狹井神社(狹井坐大神荒魂神社)」で参拝した。

『古事記』の「神武天皇」の巻、「伊須気余理比売」の段に登場する。
(現代語訳)
さて、神倭伊波礼毘古命(神武天皇)が日向におられたときに、阿多の小𣘺君の妹の阿比良比売という名
の女性と結婚してお生みになった子に、多芸志美美命と岐須美美命の二柱がおられた。
けれどもさらに皇后とする少女をさがし求められたとき、大久米命が申すには、「ここによい少女がおります。この少女を神の御子と伝えています。神の御子というわけは、三島の湟咋(みぞくい)の娘に、勢夜陀多良比売(せやたたらひめ)という名の容姿の美しい少女がありました。それで三輪の大物主神が、この少女を見て気に入って、その少女が大便をするとき、丹塗の矢と化して、その大便をする厠の溝を流れ下って、その少女の陰部を突きました。そこでその少女が驚いて、走り回りあわてふためきました。そしてその矢を持って来て、床のそばに置きますと、矢はたちまちりっぱな男性に変わって、やがてその少女と結婚して生んだ子の名を、富登多多良伊須須岐比売(ほとたたらいすすきひめ)命といい、またの名を比売多多良伊須気余理比売(ひめたたらいすけよりひめ)といいます。
これはその「ほと」ということばをきらって、後に改めた名である。こういうわけで神の御子と申すのです」と申し上げた。
(以下略)

富登多多良伊須須岐比売の「富登」は、勢夜陀多良比売が丹塗矢と化した大物主神に陰(ホト)を突かれたことによる。 神の矢が女陰に立ったので、あわてたという意味らしい。

『日本書紀』では、 ある人が「事代主の神、三島溝橛耳(みしまみぞくいみみ)神の娘・玉櫛媛に共ひて生める児、 号を媛蹈鞴五十鈴媛命と日ふ。 こは国色秀ぐれたる者なり」と勧め、神武天皇の王妃としたとある。

三嶋湟咋:
『古事記』や『日本書紀』などに言及される神。
『古事記』では三嶋湟咋、『日本書紀』では「三嶋溝橛耳神(みしまみぞくいみみのかみ)」、『先代旧事本紀』では「三嶋溝杭(みしまみぞくい)」、「三嶋溝橛神(みしまみぞくいのかみ)」、『新撰姓氏録』では「三嶋溝杭耳(みしまみぞくいみみ)」と表記される。
勢夜陀多良比売=三嶋溝樴姫の親神であり、姫蹈鞴五十鈴姫命の祖父にあたる。
神名の「三嶋」とは、摂津国(今の大阪府と兵庫県との間)にあった地名で、またこの地にいた賀茂氏に類するとされる三嶋氏を指すと考えられる。
また「ミゾクイ」は水田への引水のための杭のこと、あるいはそういった引水に関わる者のことと思われる。
大阪府茨木市五十鈴町にある式内社「溝咋神社(みぞくいじんじゃ)」に祀られている。

子孫であるが、『旧事本紀』の記載によると 一男一女を儲けた。
第1子:天日方奇日方命(あめのひかたくしひかたのみこと)
別名:櫛甕玉(くしみかたま)、櫛御方命(くしみかたまのみこと)といい、食国政申大夫(おすくにまつりごともうすまえつきみ)に任じられている。古事記では父は、大国主とされていて須佐之男命の六世の孫。子孫に大田田根子〈おおたたねこ〉がいる。
第2子:韛五十鈴姫命(たたらいすずひめのみこと)
神武天皇の皇后になり、神渟名河耳天皇(かむぬなかわみみ:綏靖天皇)と彦八井耳命(ひこやいみみのみこと)のふたりの皇子を産んだ。綏靖天皇は、韛五十鈴姫命の異母姉妹、五十鈴依姫命と結婚し皇子をひとり産んだ。この皇子が磯城津彦玉手看天皇(しきつひこたまてみ:安寧天皇)である。

その他山城国風土記 によると、賀茂別雷命も子供とされている。

ここで、「みみ」、「たたら」が名前に入っている神名が多いことについて、谷川健一氏の「青銅の神の足跡」で説明されていることについて紹介しておく。
「みみ」とは、南方からの大きな耳輪をさげている種族のことを示す。縄文遺跡から発掘されたもののなかに、けっこう精緻につくられた耳輪が各所にみられる。
神武帝は九州から東征するが、皇妃を選ぶときにも摂津三島のミゾクイミミの孫娘と縁組を結ぶ。
三島では、古代の農耕のための水田の整頓、そのための鉄器の使用のあとが見える。
そして何よりも、摂津三島は銅鐸の熔笵(ようはん:鋳型の考古学上の呼称)が多量に出土した土地である。
「たたら」は、言うまでもなく「炉に空気を送り込むのに使われる鞴(ふいご)」のことである。
「みみ」に示される南方からの種族は、農耕技術だけでなく、製鉄・青銅の技術も備えていたことがわかる。



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