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ワクムスビ(和久産巣日神、稚産霊)/日本の神々の話

20200724

『古事記』では和久産巣日神、『日本書紀』では稚産霊と表記される。
神名の「ワク」は若々しい、「ムスビ」は生成の意味であり、穀物の生育を司る神である。
『古事記』では食物神のトヨウケヒメ(豊受比売神)を生み、『日本書紀』ではその体から蚕と五穀が生じている。
『古事記』では神産みの段に登場する。イザナミ(伊邪那美命)が火の神・カグツチ(火之迦具土神)を生んで火傷をし、病に伏せる。その尿(ゆまり)から、水の神・ミズハノメ(弥都波能売神)が生まれ、次にワクムスビが生まれたとしている。食物(ウケ)の神である、トヨウケヒメを娘とする。
『日本書紀』では第二の一書に登場する。イザナミが火の神・カグツチを生んで死ぬ間際に、土の神・ハニヤマヒメ(埴山姫)と水の神・ミズハノメを生む。そこでカグツチがハニヤマヒメを娶り、ワクムスビが生まれたとしている。そして、この神の頭の上に蚕と桑が生じ、臍(へそ)の中に五穀が生じたとしている。

『古事記』
「伊邪那岐命と伊邪那美命」の巻、「二神の神生み」の段
(現代語訳)
 イザナキ・イザナミニ神は、国を生み終えて、さらに神を生み出した。そして生んだ神の名は、オホコトオシヲノ神、次にイハツチピコノ神を生み、次にイハスヒメノ神を生み、次にオホトヒワケノ神を生み、次にアメノフキヲノ神を生み、次にオホヤピコノ神を生み、次にカザモツワケノオシヲノ神を生み、次に海の神の、名はオホワタツミノ神を生み、次に水戸の神の、名はハヤアキツヒコノ神、次に女神のハヤアキツヒメノ神を生んだ。 オホコトオシヲノ神からアキッヒメノ神まで合わせて十神。
(途中略)
 次に生んだ神の名は、トリノイハクスフネノ神で、またの名はアメノトリフネという。次にオホゲツヒメノ神を生んだ。次にヒノヤギハヤヲノ神を生んだ。またの名はヒノカガピコノ神といい、またの名はヒノカグツチノ神という。この子を生んだために、イザナミノ命は、陰部が焼けて病の床に臥された。そのときの嘔吐から成った神の名は、カナヤマピコノ神とカナヤマビメノ神である。
 次に糞から成った神の名は、ハニヤスピコノ神とハニヤスビメノ神である。次に尿から成った神の名は、ミツハノメノ神とワクムスヒノ神である。このワクムスヒノ神の子は、トヨウケビメノ神という。そしてイザナミノ神は、火の神を生んだのが原因で、ついにお亡くなりになった。 

これは、『古事記』のオオゲツヒメ(大気都比売)や、『日本書紀』第十一の一書のウケモチ(保食神)のような、食物起源の神話となっている。しかし、この2柱の神の場合は、殺された死体から穀物が生じているのに対し、ワクムスビの場合は殺される話を伴なっていない。このため、かつてはワクムスビの単純な形が古いとされていたが、現在は、「ハイヌウェレ型神話」が簡略化され、結末の部分だけが残されたものといわれている。
五穀・養蚕の神として信仰されており、他の食物の神と一緒に祀られることが多い。

※ハイヌウェレ型神話とは (Wikipedia)
世界各地に見られる食物起源神話の型式の一つで、殺された神の死体から作物が生まれたとするものである。その名前は、ドイツの民俗学者であるアードルフ・イェンゼン(英語版)が、その典型例としたインドネシア・セラム島のヴェマーレ族(英語版)の神話に登場する女神の名前から命名したものである。
日本神話のオオゲツヒメや保食神(ウケモチ)・ワクムスビにもハイヌウェレ型の説話が見られ(日本神話における食物起源神話を参照)、東南アジアやオセアニアから伝わったものと考えられる。しかし、日本神話においては、発生したのは宝物や芋類ではなく五穀である。よって、日本神話に挿入されたのは、東南アジアから一旦中国南方部を経由して日本に伝わった話ではないかと考えられている。

和久産巣日神は、愛宕神社(京都市)、竹駒神社(宮城県)、安積国造神社(福島県)、麻賀多神社 (千葉県)などで祀られている。
私は、東京都・王子稲荷神社、千葉県・麻賀多神社、福岡県・宗像大社末社・室貴若宮神社、埼玉県上里町・天神社の祭神としてお参りした。


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