葉桜の季節に君を想うということ

20100521

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私が葉桜に見とれたのは、そんなに多くない。
その中でいちばん良いなと記憶しているのは、京都天龍寺のである。
その年の「そうだ京都に行こう」のCMにこの寺の桜が取り上げられ、ちょうど京都に出張した折についでにここに見に行った。
この寺には有名な枝垂れ桜があり、夢想国師作庭のお庭も見事で、それらを見終わって仕上げに講堂の天井に描かれた加山又造の「八方睨みの龍」を見て出てきたとき、ふと見上げた桜が葉桜だった。
それが綺麗だったので、しばし見とれた。
駐車場と講堂の境にポツンと立つ桜は、あまり人に見向きもされない位置だったが、この桜がいまだに目に焼きついている。

この本であるが、何よりタイトルである。この本が出たときいまさら「青春小説」でもあるまいに、と思いながらタイトルに惹かれて購入したのを覚えている。

私は子供のころから「本の虫」で、いつも読みかけの本がないと我慢できないほどだから、いままでどれだけ本を読んだかわからない。
そのなかで、いちばん驚いたのがこの本かもしれない。
その「どんでん返し」にはひっくり返った。やられたと思った。

今年、作者の歌野晶午さんが本格ミステリ大賞を受賞したが、2度目受賞は史上初ということらしい。
それで、この本を読み返してみた。
「どんでん返し」の部分を抜きにしても、やはり面白かった。

私は、大学を卒業して働き始めたその年に、街頭セールスでつかまって、給料の6ケ月分くらいの外国の辞書をまんまと売りつけられたことがあり、この「高い授業料」のおかげで、その後は「詐欺商法」には一切引っかからずにきている。
この本は、そういう「詐欺商法」の話がメインとなっている。
引きずり込もうとする客を、説明会に連れ込んだら途中で返さないようにするテクニックとか、人の心理をよく研究したもので、とても読んでいて面白い。
けっこう分厚い本だが、読みやすい文体とストーリーで、スラスラと読んでいける。

やはりミステリーは、ずんずん読み進んでいけないといけない。
それから、この本はあくまでミステリーである。題名からして、また中でも桜を人生に例えているようではあるが,桜と人生観ということでは、私は「西行」を薦める。
この本ではミステリーのトリックを楽しんでほしい。

この本は賞を総なめにしている。
第57回日本推理作家協会賞受賞
第4回本格ミステリ大賞受賞
このミステリーがすごい! 2004年版第1位
本格ミステリベスト10  2004年版第1位
週刊文春 推理小説ベスト10  2003年度第2位

あらすじ :
いつものようにフィットネスクラブで汗を流していた成瀬将虎は、ある日後輩のキヨシから、彼が密かに想いを寄せる愛子の相談に乗ってほしいと頼まれる。
久高愛子は、轢き逃げに遭い亡くなった身内が悪徳商法業者・蓬莱倶楽部によって保険金詐欺に巻き込まれていた証拠を掴んで欲しい、家柄の手前警察には相談しにくいと依頼してきた。
同じ時期、将虎は地下鉄に飛び込もうとした麻宮さくらという女性を助ける。それがきっかけとなり、以後何度かデートを重ねる仲になる。
将虎の恋の行方と、保険金詐欺事件の真相究明、2つの出来事が交錯する。

登場人物:
成瀬 将虎(なるせ まさとら)
通称・トラ。自称・何でも屋ならぬ、何でもやってやろう屋。2歳年下の妹・綾乃と二人暮らし。探偵事務所に勤めていたこともあるが、半人前になる前に辞めてしまった。しかし、元探偵とキヨシに見栄を張ったために愛子から依頼を受けることとなる。
麻宮 さくら(あさみや さくら)
人生に悲観し、地下鉄に飛び込もうとしたが、将虎に助けられる。
芹澤 清(せりざわ きよし)
将虎の出身高校の後輩。同じフィットネスクラブに通う久高愛子に想いを寄せている。
久高 愛子(くだか あいこ)
白金台の高級住宅街に住む。聖心女子学院に初等科から通っていたお嬢様。
蓬莱倶楽部(ほうらいくらぶ)
悪徳商法詐欺集団。ただの水を1本2万円で売ったり、100万円する布団を売りつける。
古屋 節子(ふるや せつこ)
主婦。何でも買ってしまう癖が直らず、蓬莱倶楽部にカモにされる。借金返済のために倶楽部の犬となり、言うままに行動する。
安藤 士郎(あんどう しろう)
将虎の友人。将虎は安(やす)さんと呼ぶ。将虎が講師を務めるパソコン教室で生徒として出会った。離婚した妻の子の写真を撮ってきてほしいと将虎に頼む。

作者の歌野晶午さんについて:
高校時代は漫画研究部に所属。大学卒業後、編集プロダクションで働く傍ら、小説を執筆する。島田荘司のエッセイを参考に島田宅を訪れ、それをきっかけに島田の推薦により1988年に『長い家の殺人』でデビュー。以後、『白い家の殺人』『動く家の殺人』の家シリーズなどの名探偵・信濃譲二の活躍を描くシリーズと、『ガラス張りの誘拐』『死体を買う男』などのノンシリーズものの執筆を行う。
1992年の『さらわれたい女』以後、一時作品の発表がとだえるが、1995年『ROMMY』で復活。以後、1年に1〜2冊のペースで新作を発表し続ける。2003年に発表した『葉桜の季節に君を想うということ』は、2004年のこのミステリーがすごい!、本格ミステリ・ベスト10の各1位に選ばれ、第57回日本推理作家協会賞と、第4回本格ミステリ大賞を受賞し、高い評価を得た。
2010年、『密室殺人ゲーム2.0』で第10回本格ミステリ大賞を受賞。2度目受賞は史上初。


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コメント

お久しぶりです☆

葉桜の季節に君を想うということ
ですか…
はじめて聞きました=3
今度があったら
読んでみます☆

モアイさん

コメントありがとう。
うれしいなあ。

ちょっと心配してたんですが、まずまず
更新もされてるようでよかった。

また楽しい日常を教えてください。
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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