敬愛なるベートーヴェン

20101228

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2006年のアメリカ・ハンガリー合作の映画。
交響曲第9番の誕生を背景にルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンと写譜師の女性アンナ(架空の人物)の交流を描く。

キャスト
エド・ハリス(ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)
ダイアン・クルーガー(アンナ・ホルツ)
マシュー・グッド(マルティン・バウアー)
ラルフ・ライアック(ヴェンツェル・シュレンマー)
ジョー・アンダーソン(カール・ヴァン・ベートーヴェン)
ビル・スチュワート(ルディー)
監督:アニエスカ・ホランド

本編中指揮をするシーンはクリストファー・ホグウッドが監修を務めた。日本で公開される字幕スーパー版では、指揮者の佐渡裕とベートーヴェン研究の第一人者である平野昭が監修を行っている。

アンナ・ホルツは架空の女性だが、ベートーヴェン晩年の作品を写譜した人物の中にはカール・ホルツという似た名前の男性が実在した。ベートーヴェンのお気に入りだった写譜師のヴェンツェル・シュレンマー(1823年没)には妻がいて、やはり写譜を手伝っていた。もうひとり、『第九』の写譜を行ったヴェンツェル・ランプルもアンナのモデルになった。


あらすじ:
音楽学校に通う学生アンナ(ダイアン・クルーガー)は、作曲家ベートーヴェン(エド・ハリス)が楽譜を清書するコピストを務めることになった。4日後に「第九」の初演だという。
ベートーヴェンを尊敬するアンナは彼の粗暴な振る舞いに驚くが、一方のベートーヴェンはアンナが優れた才能の持ち主であることを見抜き、徐々に彼女に信頼を置くようになっていく。


「女性が一人前の仕事をできるはずがない」と思い込むベートーヴェンから写し間違いを指摘されたアンナが、「ここを長調にするはずないから、短調に修正した」と天才作曲家を言い負かせるシーンなど、冒頭から見所は尽きない。ベートーヴェンを敬愛するアンナと、彼女を認めることによって新たな世界を手に入れる作曲家。

この映画は、ベートーヴェンの晩年に焦点をあて、史実に基づきながらも、今なお謎とされる3人目のコピストを女性として、“歴史に隠されたもう1つの物語”として描かれる。
「第九」が生み出された背景には、いったいどんなドラマが存在したのであろうか?
音楽史上、最大のミステリーに本作は、53歳の孤独なマエストロと23歳の若き作曲家志望の女性が、音楽を創作していく過程で、師弟愛を超越した魂の絆で結ばれていく姿を、濃密に、ウィーンの街を舞台に描いている。

アンナ・ホルツは、ベートーヴェンが心で聞いた音楽を、世界に伝える役目を担ったコピスト(写譜師)。譜面を書き写すだけではなく、修正が加えられるほどベートーヴェンの音楽を深く理解している彼女は、ベートーヴェンの作曲活動に欠かせない右腕になると同時に、彼の孤独を癒し、魂を浄化する天使の役割をも果たすことになる。その一方、女性作曲家を認めない時代に、婚約者との愛に生きるか、音楽家として生きるか、人生の選択を迫られるアンナ。クルーガーは、気品と凛々しさをたたえて熱演、清々しく、毅然とした美しさで魅了する。

とりわけ惹きこまれたのは、耳の聴こえないべ一トーヴェンの指揮のもと「第九」が初演されるシーンだ。
耳の不自由さで不安と恐怖を抱え、逃げ出そうとするベートーヴェンを励まして指揮台に上らせると、彼から見える位置に座り、テンポと入りの合図を送るアンナ。
彼女の指先から繰り出されるリズムが、ベートーヴェンの指先に伝わり、ひとつに溶け合ってオーケストラに音楽を奏でさせていく。それが<愛の交歓>に感じられるほど。
このシーンにはシビれた。
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あと良かったなあと思うシーンは、アンナがベートヴェンの部屋に行くと、隣の主婦が「いま彼は散歩に行ってるよ。おかげで静かなもんさ」とアンナに話しかける。
アンナが「息が、つまるでしょう」と云うと、
主婦は「そりゃ、うるさいさ。だけど、誰よりも、初演よりも早く、名曲を耳にできるんだからね」と自慢そうに云う。
宮廷向けでなく、庶民向けの音楽を目指したベートーヴェンにとっては、なんとも嬉しい言葉だ。
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コメント

No title

四季歩さん、こんにちわ

ダイアン・クルーガーが好きな私は、映画館でこの映画を観ました。勿論、その後、DVDを入手しましたし。この映画で良かったのは、全編、弦楽四重奏曲第13番・第15番・第9番等が流れることで、素晴らしい効果を上げていたと思います。全体から言えば傑作だと思います。

一方、気になったのは、第九の初演場面で、これは歴史的にハッキリしているのに、全く無視していることです。すなわち、歴史では、ベートーベンは指揮台に立っていたのですが、実際に指揮をしていたのは舞台脇にいた別な人であった訳です。これを映画では、奈落からクルーガーが棒を振って、それをベートーベンが真似ると言うやり方な訳ですので、非常な違和感でした。ただし、胸が丸見えのクルーガーはセクシーで良かったですが(笑)

なお、演奏楽器ですが、オケも弦楽四重奏団もピアノも現代楽器によるもので、折角だったら、これらは古楽器でやって欲しかったです。

ベートーヴェン

こんばんは。

やはりこの時期にはベートーヴェンというか第九ですよね。
自分はこの映画を観てはいませんが、とても観たくなりますね。
ご紹介ありがとうございました。

「敬愛なるベートーヴェン」

いい映画でしたね。過去記事を探したら、2007年の正月に、スクリーンで観ていました。もう一度、劇場で観たい作品ですが、DVD も出ているのですね。「大フーガ」は、今度の山形弦楽四重奏団の定期演奏会で取り上げられ、実演で聴ける予定、楽しみです。

コメントありがとうございます

matsumoさん
おお、ダイアン・クルーガーが好きなんですか。
私はこの映画を見て好きになりました。

「第九」の初演の場面、史実とは違うかも知れませんが、
あの場面、凄かったですね。
なんだか、エロスの神が舞い降りたみたいで。

ハルくんさん
この映画、お勧めです。
「第九」は、聴きこんできて、あと一つで聴きおさめですね。
明日アップします。

narkejpさん
この映画、いいですよね。
「大フーガ」、聴けるんですね。
いいなあ。
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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