また!?

20110126

今朝の朝日新聞のトップの見出し「田辺三菱また不適切試験」
この製薬会社の子会社が、品質試験をしていない医療機関向けの注射薬を出荷していた、とのことである。

田辺三菱と別の子会社が、昨年4月に薬の承認申請の際に試験データを改ざんして、業務停止処分を受けている。
それが再び、こんな不祥事である。

しかも朝日新聞の別の面の詳細記事のところにこんな記事が載っている。
前回の不祥事を受け、親会社から再発防止の取り組みがあった際に、今回の不祥事を起こした会社の社員が小声でつぶやいた。
「うち、やばいね」
品質管理部の試験担当の男性社員が、「試験をしていないのではないか」との疑いが以前からあったからだ。しかし、「外にばれたらまずい」といった話が大勢を占めていたという。
ある関係者は、同部の社員からこう言われた。「告発とかしないようにね。会社が無くなったら困るじゃん」
「試験をしていないのではないか」との問題が親会社に伝わり、田辺三菱側は調査チームを八足させたが、その報告は「試験は行われていた」とのものだったという。

深刻な状況である。
個人のミスとか問題ではなく、会社全体、グループ全体がおかしい。

私は、ずっと自動車の部品製造メーカーで「品質保証」の仕事をしてきた。
車というのは、「人の命」を乗せて走っている。
部品の引き起こす問題が、人命にかかわるということである。
そう思っていても、やはり問題は生じる。
人は、ミスするし、設備機械もエラーがある。

問題が起こったときの鉄則は、「正確な事実を知る」、「速く処置する」だ。
何か問題が起これば、品質保証部は組織ということがあるから、工場長とか課長とかトップからの説明を受ける。
だが、やはり人間の悲しさ、やはり現場は生産を止めたくない、作り直すというマイナスに通じることを嫌う。
だから「ウソをつく」ではないが、傷を軽く見せるとか、「大した問題ではない」とか、やはり逃げたがるのだ(笑)
肝心なのは「真実はどうか」。
だから、品質保証部も「現場の効き込み」が欠かせない。
普段から現場に通って、通じていれば、現場の作業者がホントの姿を教えてくれる。

速く手を打てれば、トヨタさんとかデンソーさんとか、お客さんメーカーの中で回収できれば傷は浅い。
車として市場に出ていなければ、最終ユーザーの命にかかわるところまで行かない。

それをグズグズしていて、市場に流出してしまい、問題が起こり、それこそ事故の原因にでもなって、市場に出ているもの全部交換して回収という事態にでもなったら、会社はツブレテしまう。

田辺三菱というのは薬を作っている。
「人の病を直す」という原点が忘れ去られているのではないか。
ただ単に、生活の糧を得るための方便で、「何でもいいから、モノ作って金をかせげばいい」になってしまっているのでは。
それが会社の風土になってしまっているのだろうか。
会社が、新聞に書かれているとおりの状態だとしたら、無責任体質だとしたら、なにか問題が生じても、隠す方にだけ力が働くのではないか。

いい加減なものを、作って売っているのではないはず。
薬は、一方では毒にもなる。
なにか、人のミス、装置のエラーでもあって、とんでもない「クスリ」が流出したらどうするのだろうか。
人が亡くなってから、では遅いのである。

「良いものを作って、人様に喜ばれる」モノ作りのプライドが欲しいと思う。


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コメント

実は私も

こんばんは

実は私も少し前まで品質保証課でして、ニュースを見て
ゾッとしました。
製造は納期、コスト、歩留を上げることに躍起になり、
品質を疎かにしがち(品保の目から見るとですが)で
よく言い争うことがありました。
クレームが出たらどれ程、コストがかかるのか、品質を
上げ、cpkを満足することで、どれほど検査費用が下がる
のか、そのために作業標準を守ることが如何に大切かを
口が酸っぱくなるほどいい続けました。

”モノ作りのプライド”自分自身も含め会社全体で持てる
ようになれば、おのずと変わっていくと思うのです。

メタボパパさん

コメントありがとうございます。

私と同じ仕事をされていたなんて、
嬉しいですね。
今は違うお仕事みたいですが、品質保証の考えを
忘れずに、励んでくださいますようお願いします。

やはり仕事には、プライド、バックボーンが
必要だと思います。

頑張ってください。

No title

四季歩さん、こんにちわ

ううん、医薬品製造会社は法律上、GQPを守らなければならず、製造部門の品質管理の責任者は社長より大きな権限を持っている筈なのですが(品質管理上、問題あれば、出荷を禁止できます)。規則でがんじがらめになっている筈なのにこのようなことが起きること自体、社内体制に問題有りですね。そもそも、試験を実施していないのに、何で、品質管理の責任者が出荷OKを出したのか、全くわかりません。

その上、内服薬ならばともかく、血液の中に直接入る注射剤で手抜きとはあまりに酷すぎると思います。品質管理責任者の方、今頃は大変でしょうね。もしかして、薬剤師の資格も取り上げられてしまうかも。

それにしても、このようなことが起こった原因は、おそらく品質管理部門の人数が少なすぎる為だと思います。製造原価を下げるために、必要な人数以下になっているのでしょうね。この辺のこと、人事部や役員達はわからないのでしょうね。

matsumoさん

大変なことですよね。

言われるとおり、やはり会社のモラルは、
トップの姿勢が一番大事です。

私も品質保証の仕事をしていましたが、
社長に「しゃべらせてナンボ」だと思っています。

コスト的なものは、苦しければそれなりに
知恵が出て、なんとかなるものです。

会社のモラルはそういうわけにはいきません。
これは作り上げるのも、維持するのも大変です。

ちょっと気になったので…

通りすがりですが、コメント内容がちょっと気になったので…

matsumoさんのコメントですが、いろいろ間違っています。

まずGQPは医薬品製造販売業者が守るべき省令であって、
医薬品製造業者が守るべきなのはGMP省令です。

製造部門の品質管理の責任者というのもよくわかりませんが、
通常、医薬品製造所は製造部門と品質部門からなり、
製造管理者がそれらを統括しています。

製造管理者の要件として、薬剤師免許がありますが、
品質管理責任者には薬剤師免許は必須ではありません。
おそらく品質管理責任者というのが製造管理者の意味で
書かれているのだとは思いますが…

箒さん

コメントありがとうございます。

私自身は、記事にも書きましたように、
車関係のメーカーなので、医薬品の規格は
わかりません。
眼目は会社の体質が問題だというところだと思います。

matsumoさんにかわって、お礼申し上げます。
正確な情報ありがとうございました。
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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