外伝・役小角 夜叉と行者/黒須紀一郎

20110315

ほんのちょっと前、停電が復旧した。
私の地域の名前が3つのグループに載っており、実際はどのグループに属するのか停電になってみないとわからず、昨日は一日そのために振り回され、結局は停電が無かった。
今日は停電があり、これでやっと属するグループがはっきりした(苦笑)
やはり夜の停電というのはつらい。
だが、こちらはちゃんと自分の家で毛布にくるまっていたわけだが、電気の通じない被災地の方のご苦労はいかばかりか、大変な辛さだと思う。


この間、「役小角/黒須紀一郎」について書いた。
http://tamtom.blog44.fc2.com/blog-entry-611.html

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続いて、この本を読んだが、とても面白かったので紹介しておきます。
この本は持統天皇(女帝)に焦点を絞って、小角との関わりを書いている。

持統天皇は「永遠」にこだわり、「永遠の命」を求めて小角に教えを乞う。
そのために、吉野に行宮を営み、その近く象山に持統天皇と小角二人だけで会うための社殿を用意する。
持統天皇の吉野行きは実に32回を数えた。
小角は「胎息法」、「仙薬」について教え、持統天皇の健康をむしばむ、持統天皇に棲みついている「夜叉」を明らかにして、それを安らげる。
夜叉は、鵜野讃良皇女(のちの持統天皇)の母親「遠智娘」であった。
それまで天皇の住まいである「宮」は一代かぎりのものであったが、「永遠の命」の一つの答えとして持統天皇は初めて永遠の都「藤原京」を作った。
それは、結果としてそんなに長く続かなかったが「平城京」、「平安京」とその考えは受け継がれていった。


鵜野讃良皇女(のちの持統天皇)からの視点で、この本に出てくる事件を列挙してみよう。

○大事をなすのに助けになるからと、中臣鎌子連の奨めで、中大兄皇子は、蘇我倉山田麻呂(石川麻呂)の長女を召して妃としようとする。(石川麻呂は鵜野皇女の祖父である)
○ところがその長女は「身狭臣(蘇我日向)」に盗まれてしまう。
○憂え恐縮している倉山田麻呂のために、次女「遠智娘」が自ら進んで中大兄皇子に嫁ぐ。
○「遠智娘」は「鵜野讃良皇女」を生む。
○乙巳の変(大化の改新)が起こる。蘇我入鹿を大極殿に呼び出した中大兄皇子は、中臣鎌子や倉山田石川麻呂らと共謀して、これを惨殺した。この変事を聞いた父の蘇我蝦夷は、甘橿丘にあった宮殿に自ら火を放って焼死した。
○大化五年、蘇我日向が、右大臣倉山田石川麻呂に謀反の疑いがあると訴えた。石川麻呂は飛鳥の山田寺に逃がれるが、中大兄の罠と知った石川麻呂は、妻子ら八人と共に首を括って死ぬ。
○石川麻呂が無実なことを証明する文書がみつかり、蘇我日向は筑紫大宰として左遷される。
○遠智娘は中大兄を恨み、それが鵜野皇女の潜在意識となる。

○鵜野皇女は弟王子(大海人皇子)に嫁ぐが、なんと中大兄の娘4人が同じ日に弟王子に嫁ぐという異常なことであった。(他の三人は大田王女、新田部王女、大江王女)
しかも、それは弟王子の嬪であった「額田王女」を中大兄が嬪として貰い受ける身代わりであった。
○天智天皇失踪
○壬申の乱で、弟王子(大海人皇子)は大友皇子(弘文天皇)に大勝し、大友皇子は自ら首をくくって死ぬ。鵜野皇女は弟王子(大海人皇子)と常に行動し、鵜野皇女のほうが勇ましいようであった。
○天武天皇(大海人皇子)没す
○皇后(鵜野皇女)は高市王子に大津皇子を謀反の疑いありと討たせる。
○草壁王子は、日嗣王子(後継者)とされたが3年後没す。
○皇后(鵜野皇女)が「持統天皇」として即位する。
○持統天皇が退位し、孫の軽皇子が「文武天皇」として即位する。


いままで、蘇我一族は中大兄皇子によって滅ぼされたと思っていた。
蘇我蝦夷・入鹿親子は乙巳の変(大化の改新)で討たれ、蘇我赤兄は中大兄によって、有馬王子謀殺事件に加担させられ、壬申の乱で島流しの刑に処せられた。

しかし、蘇我の血は遠智娘から持統天皇によって天皇の血筋に引き継がれたし、一方で蘇我の血は「藤原不比等」の嫡妻「娼子」にも引き継がれ、その三人の子から現代へと続く巨大な「藤原の血脈」となるのである。
天皇家と不可分の関わりを保ち続けながら、今も大河となって流れ続けている。
その表を掲げておく。
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持統天皇が、日本ではじめての都「藤原京」を作るためには、巨大な財力を必要とした。
本書では、山の民の巨大な財産である「丹砂」を、伊勢で算出する分だけを小角が持統に分けてあげたためであるとしている。

この本で持統天皇がクローズアップされ、あの時代の複雑に錯綜する「歴史の綾」がとても面白かった。

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コメント

No title

四季歩さん、こんにちわ

この辺りの話と言うか歴史というか、ともかく、血族結婚的なものが多いですね。この辺りは歴史書に書かれているのでそれを動かす訳には行きませんが、それ以外にことは、著者が色々な解釈と言うか創作と言うか、それを行うって、うまく整合性を取るのが著者の力量だと思っています。


matsumoさん

このころの話は、もともと大変ドラマ性が
高いので、以前から関心があります。

今回は主として「役小角」についての事実関係
と彼にまつわる話がかなり収穫あったので
良かったですね。
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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