天地明察/その二・算術絵馬/渋谷・金王八幡

20110331

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昨日、目黒に用事があったので、早めに出て渋谷の「金王八幡」に寄った。
第一の目的は「金王桜」を今年撮りたいと思っていたので、まだ早いと思ったが満開の時期の見当をつけるため。
第二の目的は「算術絵馬」がはたしてあるのかどうか?

この本に関して、一つ記事を書いているが、「算術絵馬」の確認は後回しにして、川越にも「算額」が多いのに驚いて、それについて書いた。
http://tamtom.blog44.fc2.com/blog-entry-406.html


渋谷「金王八幡」の「算術絵馬」についてのくだりを、あらまし書いておく。
この本の主人公は「碁打ち衆」の一人「安井算哲」。「碁打ち衆」というのは将軍の前で「上覧碁」を打ったり、大名の碁の相手をする役目であり、常に本因坊家と覇を争っている安井家の総帥が「安井算哲」。
父親が急死したため、後を継いで総帥となったが、まだ若干22歳。
しかし、既に定石を打つのみの仕事に飽きてしまっている彼が夢中になっているのが「算術」。

物語の冒頭、江戸での定宿にしている会津藩屋敷から早朝籠を飛ばして行く先は、渋谷宮益坂にある金王八幡。
そこにある「算術絵馬」を見るためだ。
誰かが算術の問題を絵馬に書いて吊るしておく。
それを誰かが解く。
その答えが合っていれば「明察」と出題者が書き込んで一件落着。
答えが間違っていれば「惜しくも」とか「誤謬なり」となる。
当時は、「学問所」とか「学問寺」はあったが、開かれた場所では無いし、もちろん今のように「学会」とか専門誌が発行されているわけではない。
それでも武士だけではなく町人・農民でも必要から「算術」を勉強し、ひいては研究する熱心な人たちが当然ながら居た。
最初はある問題を極めたときに、感謝の気持ちから神社に「算額」や「算術絵馬」を奉納した。
それが発展して、絵馬に考案した問題を書く、誰かが回答する。といった交流の場ができたらしい。

さて安井算哲、または自分で考えた名前「渋川春海」が金王八幡に着くと、絵馬の一角に「算術絵馬」がある。
それを書き写すうち、問題に熱中して刀を絵馬の下に放り出し、地面に算盤を広げて算木で問題を解きだした。
そこに「娘」がやってきて、掃除の邪魔だと箒で春海を追い立てる。
春海はきれいな娘に一瞬見とれるが、その娘とちょっと言い争いをしているうち、娘から「もう登城の時間では」とやんわりたしなめられる。
春海は、自由になる時間は登城前の時間だけなので、早朝に江戸城近くから駕籠を飛ばしてやってきていたのである。
あわてて、春海は待たせてあった駕籠に乗って出た瞬間、刀を忘れたことに気づいて大慌てで絵馬のところに戻った。
娘は、刀を忘れるなんて、とあきれた顔をして春海を見ている。
春海は、そのとき何気なく「算術絵馬」を見て仰天する。
春海が苦心して解こうとしていた問題に答えが書き込まれているではないか。誰かが春海と入れ違いに来て答えを書き込んでいったのだ。
未回答だった絵馬、その数7つ。そのすべてに回答がされていた。
あわくった春海が娘に尋ねると、「一瞥即解」であったと。
そんなすごい人物が居るのかと、呆然とする春海。

そのすごい人物とは、それから春海の良きライバルになるのだが、「関 孝和」であった。
この名前は「和算」の偉人として、私でも知っていた人物。
このときの娘は、その後すぐに「算術塾」で再開し、春海をよく助けていく。
「渋川春海」は、算術を基礎として、すごい事業に取り組むのだが、それはこの本を読んでいただければわかる。

金王八幡は、行ってみたらすごく由緒のあるお宮でした。「渋谷」の地名のもとにもなっていて、「渋谷金王丸」についても驚きました。
この辺の話は、「金王桜」をアップするときに書きましょう。
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さて、金王八幡の絵馬掛けの場所に行って眺めました。
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ありましたね(嬉)
前から、このようにあったのか、それともこの本の影響で置かれるようになったのか・・・・・・
そのへんのところは、聞き忘れたので、こんど金王八幡に行ったときに聞いてみよう。
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かかっていた「算術絵馬」は全部撮ってきたので、紹介しておきます。
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「3」と「7(8)」の暗号「三津寺・御津八幡」の謎 :yatsutsunooのブログ

今回のブログネタは本来なら「衝撃の新事実発見?!.河内・摂津国の渡来氏系の史跡たち」の項目に投稿すべきでしたがすでに長文になってしまっているので新たに新規投稿の形で述べさせて頂く事をご容赦ください。

コメント

No title

四季歩さん、こんにちわ

渋谷の金王八幡って、名前は知ってましたが、行ったことはありません。と言うのは、私にとって、渋谷って映画を観に行く所で、あのあたり、映画館がないからです。

それにしても、金王桜、算術絵馬等、知らないことを教えていただき、有り難うございました。

算術絵馬

こんにちは。

昨年「天地明察」を読みました。
著者初の歴史小説でしたっけ?
中身のしっかりつまったなかなかの名作だったと思います。

「算術絵馬」の写真を拝見して、本の中のいくつかの場面を思い出しました。

コメントありがとうございます

昨夜放送した「ぶらタモリ」で、金王八幡が
出てきて吃驚しました。
嬉しかったですね。

matsumoさん
渋谷は、映画だけですか(笑)
私は、渋谷で1年暮らしたことがあるので、
いろいろと懐かしいところが多いです。

よんさん
「天地明察」、いい本ですよね。
何度も読みかえしています。
いろいろな点で、惹かれることが多いです。
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四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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