ミレニアム1「ドラゴン・タトゥーの女」/スティーグ・ラーソン

20110621

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いまは亡き、ダンディーな俳優児玉清さんが教えてくれた本。
児玉さんは、大変な読書家であると知られているが、本の紹介番組の司会もされていた。
その番組の、児玉さん追悼特集を見ていた時、回想シーンの中で「こんな面白い本はなかなか無い」と紹介していたのでメモっておき、この本を読みだした。


あらすじ:
実業家・ヴェンネルストレムの不正を報道した、雑誌『ミレニアム』の発行責任者のミカエル・ブルムクヴィスト。だが、名誉毀損の有罪判決を下され、『ミレニアム』から離れることを決める。それでもミカエルは、ヴェンネルストレムの違法行為を確信していた。

時を同じくして、大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルが、弁護士フルーデを通じて、ミカエルの身元調査を依頼していた。調査を担当したのは、背中にドラゴンのタトゥーを入れた、少年と見紛うような小柄な女性、リスベット・サランデル。

リスベットの調査から、ミカエルを信用に足る人物だと判断したヘンリックは、ミカエルにある仕事を依頼する。それは、36年前に一族が住む島から忽然と姿を消した少女ハリエット・ヴァンゲルの失踪事件の調査だった。ヘンリックは36年経った今も尚この事件に頭を悩まされ続け、一族の誰かがハリエットを殺したのだと信じきっていた。法外な報酬と、事件の謎を解決すれば、ヴェンネルストレムを破滅させることもできる証拠を与えるという条件から、ミカエルは、この如何にも難解そうな依頼を引き受ける。

調査は予想通り難解を極めるが、36年の時を経て、ミカエルは新しい手がかりを発見する。助手が必要となったミカエルにフルーデが紹介したのは、あのリスベットだった。やがて明らかになったのは、恐るべき連続殺人の真相とヴァンゲル家の繋がり、そしてハリエット失踪事件の顛末だった。

ハリエット・ヴァンゲル失踪事件:
1966年9月22日、ヴァンゲル家は夕食会のためにヘーデビー島に集っていた。その日、島と本土を結ぶ橋で大きな事故が発生し、橋は約1日間不通状態であった。その日の夕食会にハリエットは姿を現さなかったが、皆さほど心配しなかった。翌朝、緊急事態に気付き、島中を捜索したが、ハリエットもその遺体も見つかることはなかった。


『ドラゴン・タトゥーの女』は、『ミレニアム』と名付けられた三部作の第一部であり、ジャーナリストであった著者ステイーグ・ラーソンの小説家としてのデビュー作である。二〇〇五年にスウェーデンで刊行されるやいなや、デビュー作とは思えない完成度に驚きが広がった。
『ミレニアム』三部作はこの後、第二部(火遊びをした女)、第三部(爆破された空中楼閣)と続く。
第一部『ドラゴン・タトゥーの女』と第三部はいずれもスカンジナヴィア推理作家協会が北欧五カ国で善かれたミステリの最優秀作に与える「ガラスの鍵」賞を、第一一部はスウェーデン推理作家アカデミ-最優秀賞を受賞している。
さらに、第一部は映画化がされている。

なお、この『ミレニアム』 シリーズ、初めから三部作として構想されたのではなかった。ラーソンはジャーナリストとしての仕事のかたわらシリーズの執筆を始めたが、書くのが楽しくてどんどん進めてしまい、第一部、第二部を書き終えて第三部の執筆に入った時点で初めて出版社に連絡を取った。その時点で第五部までのストーリーができあがっていたという。ところが2004年11月、第三部を書き上げ、第四部の執筆を開始したところで、第一部の発売を待つことなく心筋梗塞で死去。五十歳の若さだった。第四部の原稿が二百ページほどパソコンに残っていると言われている。シリーズはまだ続くはずだったのだ。
惜しい!
実に惜しいよ!


 まず、ミステリとしてどうかというと、スケールがでかい。
しかしミステリーの質としてどうかというと、読みながら私が「犯人は、最初まるで犯人らしからぬ人物だったりするからなあ」とか想像していた選択肢の一つの結末だった。だからさほどでもない。
だが面白かった。登場人物が皆面白い人物で生き生きしている。
特に下巻になってからの展開が疾走感あるもので、本を手放せなくなるほど。

そしてヒロインが実に魅力的。彼女の名前は、リスベット・サランデル。二十四歳だが十四歳くらいにしか見えない少女のようにきゃしゃな体格に、赤毛を漆黒に染めたベリー・ショート・ヘア。
鼻と眉にピアスをし、肩胛骨の間にドラゴンの刺青という、エキセントリックな外見。とうてい現実には、私は絶対に近づくことが無いであろう容姿だ(笑)
それが、セキュリティー会社随一の腕利き調査員であり、徹底的に資料を集め、集まった資料の分析に優れ、
「なされた不正をけっして忘れず、受けた辱めを決して許さない性質」で「うさん臭いものを暴くのが好き」で、しかもすこぶる付きの敏腕ハッカーである。
そんな彼女は、幼い頃から他人とうち解けず、社会的精神的ケアが必要と判断された彼女は、いまだ後見人制度の適用を受けており、新しい後見人ビュルマンが篤志家の仮面を被った人間のクズだった。
リスベットは、自分の貯金といえど後見人の同意なしには貯金を引き出せない。
まったくの主従関係に置かれている。リスベットが若い女性であり、後見人が人間のクズの男だったらどうなるか・・・・
日本でも、こういう状況があるのだろうか?
なにやら気になる点ではある。

そんなリスベットが生まれてはじめて人を好きになっていく過程が、なんともいえず可愛いのである。
ある面では、ものすごいスーパーウーマンでありながら、こんなところで応援したい気持ちが生まれていくヒロイン。新鮮であった。

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コメント

No title

数か月前ですが、WOWOWでこの三部作をやっていたので見ましたよ。
四季歩さんが読まれた第一部「ドラゴンタトゥーの女」が一番面白かったです。見た目も行動もとても女とは思えないリスベット・・・

スウェーデンの小説は欧米とちょっと違う感じがしますね。
私は以前、マイ・シューヴァル&ぺール・ヴァールー夫妻著の「刑事マルティン・ベック」シリーズを全部読みました。とても面白かったのですが、確か奥さんのマイが亡くなってしまって打ち切りになってしまった、と記憶しています。

ラーソンさんも生きていればもっともっと面白い小説を書いてくれたのでしょうね。そして児玉さんにももっと長生きしてほしかったな。

Jさん

コメントありがとうございます。
うわあ~~!?!
もう三巻ともビデオみちゃったんですか(驚)

私は、第一巻を読み終わったところで、
昨夜アマゾンで第一巻のDVDを注文しました。
アマゾンで、第二、三巻も映画になってること
知りました。
順次、読み終わったらDVDを追加していく
つもりです。

「刑事マルティン・ベック」シリーズ、私もそのうち読んでみます。

児玉さん、惜しむ人がたくさん居ますよね。
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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