ジュード・ジ・オブスキュア

20110626

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作出:1995年、イギリス、デビット・オースチン 
系統:イングリッシュ・ローズ
花弁色:ミディアムイエローから淡黄色
咲き方:四季咲き
花形: 大輪 ディープカップ
香り: 強

黄色みがかったアプリコット色のイングリッシュローズ。
バラのいい香りにフルーティーな柑橘とか蜂蜜のような香りでとても幸せな気分になります。

咲き方が、最後まで丹精な半開きの姿を保っていて、その時が訪れると、一気に、はらりと全ての花びらを落とします。
わりと、多くの薔薇があれよあれよと思う間に、開きすぎて無残な姿をさらすのに比べ、
なんとも奥ゆかしい、襟・裾を乱さぬ姿は、しつけのよい旧家のご令嬢という印象です。

また、デビッド・オースチンが、「香り高いイングリッシュローズ」として推奨する15品種に選出しています。

だから、薔薇愛好家にとても人気のある薔薇みたいですね。


この薔薇の名前のもとになった、イギリスの文豪トマス・ハーディの長編小説『日陰者ジュード』のあらすじを載せておきましょう。
(映画化もされ、映画のほうのあらすじは微妙に違うようです)
あらすじ:
  11才の少年ジュード・フォーリーは両親をなくし、メアリーグリーンという村でパン屋を営む伯母ドゥラシラの家に身を寄せていました。水汲みなどをして叔母の手伝いをしながら、夜間の小学校に通っておりましたが、近所の畠でカラスが稲穂を啄ばむのを追い払う役割を負いながらも、身寄りのない自分が誰からも必要とされていないと感じていた彼は、追い払われるカラスに彼の立場を投影し、「かわいそうなやつら! おまえたちも食べていいんだよ!」と餌を与え罰を受けるようなやさしい性質の持ち主でもありあました。(こういう性質の者が、結局いつも傷つくはめになるんですな)

  ある日、ジュードの教師フィロットソンが村を出てることになりました。先生がクライストミンスターへ行き学位を取って僧職に就こうとしているというのを聞き、ジュードの心にも学問追求の夢が芽生えます。そうして、ジュードは、日々クライストミンスターへの関心を強めていったのです。彼は、村からフィロットソンに送る荷物の中に本を送ってくれるように書いた手紙を忍ばせ、そうして手に入れた教本で、パンを焼いたり配達をする傍ら独学で学問に取り組むのでした。

  16才になった頃、ジュードはクライストミンスターでの生活手段としての建築を学ぼうと、メアリーグリーンから数マイル離れた町アルフレッドストンで石工として働くことにします。そうして、彼もいつのまにか20才になっていました。
  ある日、アルフレッドストンからメアリーグリーンへの帰り道、クレスクームという町の近くを通りかかるのですが、その時知ったアラベラという情欲的な女の企てに乗せられ、結婚してしまいます。しかし、性格的にも知性的にも不釣り合いだった彼らはまもなく別れ、アラベラは両親のオーストラリア行きに同行し、ジュードは最初の志どおりクライストミンスターへと向ったのです。

  彼はベエルシバと呼ばれる安い下宿屋の並ぶ地域の一角に部屋を借り、石工の仕事をしながら大学入学の機を狙います。しかし、同時に彼は、この街で自分のような一介の労働者が学問を目指すことのいかに困難かを知るのです。

  クライストミンスターにはジュードの従妹スーが住んでおりましたが、彼女の高い知性と解放された精神に、ジュードは次第に惹かれていきます。しかし、なんと言っても彼女は従妹であり、さらに自分は既に結婚している身であるという自制の念と闘いながらも、抗し難い感情に操られ、彼はスーにのめり込んでいきます。
  ある日、ジュードとスーはクライストミンスター近郊の町ラムズドンを訪れるますが、それは彼のかつての教師フィロットソンを訪ねるためでした。
  フィロットソンは結局僧職には就いておらず、ラムズドンで小学校の校長をしておりましたが、これを契機にスーがフィロットソンの助手を勤めることになり、後に大きな悲しみを生むことになるのです。

  一方、ジュードは、苦学に理解のありそうな学長5人を選び出し、手紙を書いていました。しかし、期待する中でたった1通届いた返事には、「今のままの職業に止まられる方が、他の道を選ぶよりもずっと人生において成功する機会を得るでしょう。」という内容が書かれていたのです。彼は傷つき、絶望し、手紙を寄こした学長の大学の塀に、酔った勢いで抗議の殴り書きをします。

  クライストミンスターに絶望したジュードは、メルチェスターに転居しますが、それは、そこで神学を学び、行く末は聖職者になろうという新たなる志望を立てたためでした。一方、スーもフィロットソンの紹介により、メルチェスターの師範学校に入っていました。
  ある日、ジュードとスーはメルチェスターの西南数マイルの所にあるウォードア城まで遠出をするのですが、帰りの列車に乗り遅れ、近所の民家に泊まることになりました。そのことが学校に知れ、異性と共に外泊をしたという廉でスーは監禁され(学校側は、彼らが従兄妹同士であるということを信じていませんでした)、それを抜け出したという罪で放校処分となるのです。
  それを機に、ジュードは身の上の真実をスーに告白しますが、すると、スーは以前から問われていたフィロットソンの求婚に突然合意し、メルチェスターの教会で結婚してしまうのです。学問の都からも拒絶され、運命が引き寄せた最愛の人をも失ってしまったジュードは、辛い日々を送ります。

  ある日の午後、ジュードはスーに会うためシャストンの小学校を訪れます。そこには、スーとフィロットソンの職場と住居があったのです。幸せだという彼女の言葉とは裏腹に、ジュードはスーが1枚の写真を胸に涙している姿を目撃します。彼女が幸せでないことは、明らかでした。
 そんなある日、伯母のドゥラシラが亡くなります。葬儀までの間を一緒に過ごすうち、スーが堪え切れなくなり、フィロットソンを愛してはいないことを告白します。そうして、彼らは回避し難い強大な力により引きつけられていくのです。スーはフィロットソンのもとを離れ、ジュードも自分には男女間の自然な愛を否定する聖職者にはなれないと悟りその道を棄て、2人はオールドブリッカムへやって来ます。(所詮、人間は人間。煩悩からは離れられません)

  スーの離婚が正式に成立し、ジュードの方でもアラベラの重婚が発覚し離婚が成立していました。2人は晴れて自由の身となり、望めば正式に夫婦となることのできる立場にあったのです。しかし、スーが契約による結婚を望まず、また、彼らの最初の結婚が実際不幸なものであったことからも彼女はいっそう形式的な繋がりを拒絶し、2人は同居という形での生活を続けるのです。

  そんなふうにジュードとスーが奇妙な同居生活を続けていたある夜、アラベラが訪ねて来ました。アラベラはロンドンに住んでいましたが、彼女が言うには、オーストラリアで結婚したはずの相手とは結局結ばれておらず、今はとても困っている、話を聞いてほしい、というのです。アラベラは自分の泊まっているホテルまで歩く間に説明をすると言ってジュードを誘い出そうとしますが、ジュードとスーが揉めている間にいなくなってしまいます。かつての妻だった者に対する妙な責任感から、ジュードはアラベラのホテルを訪ねようとしますが、事実上夫婦関係にあったアラベラに比べ、ただの同居人としての立場しかない自分を不利だと感じたスーは、2人の仲が復縁するのではないかという恐怖の念に駆られ、同居人の域を越えるのを許すことを条件に、ジュードに行かないよう懇願します。事実、それまで2人の関係は、ただの同居人にすぎなかったのです。
  翌日、2人は結婚の予告をするために教会へ向かいました。しかし、教会の前へ来ると、やはりスーが不安を訴え、予告は延期されたのです。

  それから数週間の後、アラベラから手紙が来ました。内容は、彼女はロンドンで再婚したが、実はジュードとの間に生まれた男の子がいる。再婚の相手は居酒屋を営んでいるが、子どもの年端からすると店では役に立たないので、亭主に邪魔にされるに違いないから引き取ってほしい、というものでした。誰からも必要とされていないらしい子どもを不憫に思い、ジュードとスーは子ども引き取ることにします。(なんと慈悲深い!)
  翌晩、オールドブリッカムに男の子が到着しました。その子はファーザー・タイムと呼ばれていると言いますが、洗礼は受けていませんでした。生まれて以来苦労しているらしく、彼の顔には子どもらしくない心労の様子がありありと刻まれていました。ファーザー・タイムが加わったこともあり、ジュードとスーは今度こそ本当に結婚の手続きをし家族としてやって行こうと、役場へ行って結婚式の申請をしますが、当日、役場の陰気な雰囲気に加え、その日の朝監獄から出たばかりだという醜男と下品な女が式を済ませた後だというのを知り、気の滅入った2人は、そこでも式を止めてしまいます。

  役場での式の取り止めは、周囲の人々に彼らの中途半端な関係を知らしめることとなりました。ファーザー・タイムは学校で蔭口され、スーは周囲から侮蔑の目で見られるようになります。彼らの関係を繕おうとした必死の努力は裏目に出、効果を得ません。重苦しい雰囲気が立ち込め、彼らがいよいよ余所の土地へ移ることを考えている時でした。

  ある晩、建築業者の遣いが来て、オールドブリッカムの近くの町で教会の復興作業をしているのでその教会の十戒の修復をしてほしいという旨を話しました。ジュードはこれを受け、当面は町に止まることになったのですが、スーがジュードの手伝いをして十戒の前で作業をしていると、怪しい噂のある2人を見て数人の者がひそひそと話を始めます。素性の正しくない者が十戒に手を入れるなどとんでもないというのです。そのうち、ゲイミードという町の教会に纏わる奇妙な十戒の逸話を持ち出す者まで出てきて、結局、ジュードは修復を完了しないまま解雇されたのです。それだけではありません。このことがあって間もなく、ジュードの所属する職人委員会からも彼に脱会を求める遠廻しな要請があったのです。(ひどい話です。彼らがどんな迷惑を周囲にかけたというのでしょう!) 彼らは、ますますオールドブリッカムに居辛くなり、各地を転々とした後、ジュードの強い希望から再びクライストミンスターに移り住むことになるのです。

  クライストミンスターでも、彼らが住居を定めるのは困難でした。3人の子どもを連れ、直にもう1人生まれることになっているという事実が敬遠されたのです。(あなたの国でもありますでしょう? 物件の条件欄に「子ども不可」なんて書いてあるものが) そのうち、やっと一軒、スーと子どもたちだけなら1週間の期限で貸しても良いと言ってくれる所があったのですが、そこでさえ彼らの関係を不審に思った宿主が、1週間は取り止めて翌朝早くに出てほしいと言ってきたのです。ジュードが自分の部屋を探している間、スーはファーザー・タイムを連れて翌日から滞在するための貸間を次々と探し廻りますが思うようにならず、成果は皆無でした。
  ここで、非常にショックなことが起こるのです。部屋を借りられないのは自分たち子どもの所為だと感じたファーザー・タイムが、下の2人を伴い自殺してしまうのです。床には「ぼくたちはたくさんすぎるのでやりました。」という走り書きがありました。(やはり驚かれますか! そうでしょう、そうでしょう・・・・・、子どもが無理心中だなんて、尋常ではありませんから)
  自分の責任で子どもを死に追いやったと思ったスーは神経を病み、こうなったのもすべて自分が法を無視し、規律に従わず、習慣を軽視してきた結末であると考えるようになります。あまりのショックに、スーの価値観は一変してしまったのでした。

  ある晩遅く、スーは近くのセント・サイラス教会にいました。彼女は、子どもの死は自分への天罰だと言います。離婚は成立していても、神の前に誓ったフィロットソンこそが自分の真の夫であるべきで、それに背くことは神を否定することだと言うのです。そして、自分はフィロットソンのもとへ戻り、ジュードはアラベラと復縁するのが自然の望むところなのだと。ジュードは、なんとかスーを説得し正式に婚姻しようと努めますが、猛烈な悲しみのため、変わり果てたスーの精神はもはや修復不可能となっていたのです。

 その頃、夫に先立たれ未亡人となっていたアラベラは、この事情を利用して、もう1度ジュードを手に入れようと考えていました。(なんとも恐ろしい女です) アラベラはフィロットソンに働きかけ、スーを取り戻す気にさせます。この計画はアラベラの思うままに運び、スーはフィロットソンと再婚します。
  いよいよスーを失ってしまったジュードが酒場にいると、アラベラが現れ、意図的に酒を暴飲させます。スーを失った精神の痛手と過剰な飲酒から、ジュードがすっかりつぶれてしまうと、待ってましたとばかりにアラベラはジュードを自分の家へ連れて帰り、父親と共犯で結婚を取りつけてしまいます。(同じ女の手口に2度までも引っかかるとは、ジュードもかなりのお人好しですな)

  こうして、スーはフィロットソンのもとへ、ジュードはアラベラのもとへと戻っていったのです。(これをあなたがたの表現で言うなら、「もとのさやに収まった」と言うんですかな) しかし、それが表面上の結婚であり、精神では互いにいまなお必要とし合っていると知っているのは、他ならぬ本人たちでした。ジュードは健康が優れず、寝込むようになりますが、これが計算外だったアラベラは怒りを顕にし、口論の絶えない毎日となります。ジュードの体力は次第に低下していきました。そして、街中が歓声や音楽で湧いているある日、それらの音が風に乗って届く寂しく小さな部屋で、ジュードは密かに息を引き取ったのでした。


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コメント

No title

ジュードジオブスキュアを持っています。独特の花色とフルーティな香りでとても人気があるんです。薔薇の貴公子と呼ばれるK・O氏が1番すきな薔薇だと言っていますしね。

「日蔭者ジュード」は読んだことがなかったのですが、四季歩さんのあらすじで大体わかりました。(こんなに長いあらすじを書くのは大変だったでしょう?)トマス・ハーディの小説は「テス」にしてもこのジュードにしても。これでもかっていうほど悲惨ですよね。(イングリッシュローズには、赤のシュラブの「テス・オブ・ザ・ダーバヴィルズ」もあります)
それにしても、「日蔭者」って!!いまどき死語でしょう。差別語でもあるし。

薔薇のジュードは悲惨さの微塵も感じられない、ほんとに美しい薔薇ですよ。

No title

四季歩さん、こんにちわ

標題に「ジュード」と書かれていたので、これ、小説の「ジュード」と関係あるのではと思ったら、その通りでした。と言っても、この小説、暗そうだったので、未だに読んだことがなかったので、詳細な粗筋を読ませていただきましたが、いやあ、悲惨な話ですねえ!! ただし、一時、ケイト・ウィンスレットのファンだったので、彼女が出演していた「日陰のふたり」のDVDは持っているのですが、こちらも、持っていることに満足して未だに観ていません。と言うことで、悲惨な話は嫌いな私は、小説も映画も、両方とも読まない(観ない)ままで終わりそうです。

コメントありがとうございます

Jさん
そうですよね。
私も、たぶんお持ちだと思ってました。
好きな薔薇がどんななのか、お聞きしたことがあったので。
私も薔薇園でですが見たときにとても良い感じを受けました。
香おりも良かったですからね。
薔薇の貴公子って、誰だろう?
大野耕生さんという人なんですね。
たしかに(笑)


matsumoさん
さすがですねえ(笑)
好きな女優のは全部集めてしまう、と。
でも見てない・・・と。
旦那芸ですね(笑)
私なんか、持ってるのは全部見てますが、
持ってるのは、娘が持ってくのも嫌ですから(笑)
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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