戦争の嵐/ハーマン・ウォーク/邦高忠二訳

20110906

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この本は1975年に購入し、その頃何度か読み返した。
最近になって、また引っ張り出して読み始めた。
細かい字で、1ページに二段に書かれていて、400ページくらいのが3巻という長編だ。

物語は第二次世界大戦が舞台。
開戦当時ベルリン駐在のアメリカ海軍武官夫妻とその二人の息子と娘が主人公となって物語が展開していく。

ドイツがポーランドに侵入して、第二次世界大戦が始まるが、ヴィクター・ヘンリー中佐はベルリンに海軍武官として駐在していた。
開戦翌日に、ヴィクター・ヘンリーがちょっと以前に提出していた「ドイツの軍備状況に関する報告書」が大統領の目に留まり、ベルリンから特別機でワシントンに呼び出される。
それからヨーロッパに戦火が拡大していき、ついにアメリカが参戦するまでのアメリカ政府の行動が、ヴィクター・ヘンリーの視線を通して語られていく。
同時に、ベルリンに駐在しているヴィクター・ヘンリーと妻ローダの視線を通して、ヒトラー以下ドイツの将軍ゲーリングたちや開戦当時のドイツの「気分」、ユダヤ人のまだ楽観的な見通しの気分などが描かれ、またイギリスやフランスの関係者も描かれる。

ヴィクター・ヘンリーの長男ウォレン・ヘンリー中尉は開戦当時航空母艦のパイロットであった。
彼は海軍の中でエリートの道を進むべく努力していた。
そのウォレンは戦争が開始された夜、ニューヨークで国会議員の娘ジャニス・ラクチュアとダンスを踊っていた。
ジャニスは、ワシントンで思慮深く冷静な娘に成長した。大學で経済学とアメリカ史を専攻し、下院議員、上院議員、知事とかと結婚するつもりでいた。運が良ければ大統領の夫人になりたいと。
そんなジャニスがウォレンと恋に落ちた。
ジャニスの父親アイザック・ラクチュア国会議員は実業家であり、いずれはウォレンに実業家になって跡継ぎとなって欲しいと、ワシントンに出てきていたヴィクター・ヘンリーに希望を伝える。

ヴィクター・ヘンリーの二男バイロン・ヘンリーは、軍関係の進路に進まずコロンビア大学で美術を専攻し、フィレンツェ大学で大学院生として、ユダヤ人の教授アーロン・ジャストロウ教授に師事していた。
アーロン・ジャストロウ教授の研究を手伝っていた姪のナタリー・ジャストロウはアメリカ国籍を持ち、両親の故郷を訪ねたいとの気持ちを抑えられず、バイロン・ヘンリーが同行するならとアーロンの許可を取り付け、ポーランドに二人で旅立つ。
バイロンとナタリーがワルシャワ近郊の村(両親の故郷)に滞在している時、ドイツ軍がポーランドに攻め込む。
開戦の初日に、ドイツ戦闘機の機銃掃射で、二人の周りの人がバタバタと死んでいき、バイロンもかすり傷ながら頭を負傷するが、二人は辛うじてワルシャワのアメリカ大使館に逃げ込むことができる。
ナタリーは教会の救護所でけが人を介抱し、バイロンはドイツ軍の空襲のなか荷車で大使館の水補給を続ける。
中立国アメリカ人は、ワルシャワからベルリンに脱出できることになるが、その脱出行でもその中に含まれるユダヤ人のアメリカ人は、途中ドイツ軍の「ユダヤ人分別」の検閲で試練を受けるが、なんとか全員の協力でナタリー他ユダヤ人は無事に脱出できる。
ナタリーのほうが年上でもあり、弟のように思っていたバイロンだが、危機的状況の中で勇敢に、機転を効かした行動を見ていて、いつしか二人は恋に落ちる。
ベルリンでバイロンは両親に再会し、ナタリーはひとまずアメリカ人大部分と共にストックホルムに移動した。

ヴィクター・ヘンリーの娘マドリンは、学生だが学業に身に入らず、「働く女性」にあこがれていた。
3カ月だけアルバイトする許可を親から得たマドリンは、ヨーロッパで開戦した日、ニューヨークのテレビ局を訪ねる。
運よく、朝のモーニングショーの司会をしているヒュー・クリーヴランドのアシスタントに雇ってもらう。
その日、それまでアシスタントをしていた女性が、ヨーロッパの開戦のため報道部門に引っ張られてしまい、クリーヴランドは困り果てていたのである。
マドリンは育ちの良さ、機転の利いた行動でヒュー・クリーヴランドに気に入られ、マドリンは「大人の」クリーヴランドに夢中になってしまう。

そして、ハーマン・ウォークが小説の合間に作家として登場する。
何をするかというと、ヒトラーの「わが闘争」や、アーミン・フォン・ルーン(作家の創作人物)の筆による軍事評論「世界帝国の敗北」を掲載して、ドイツ人の専門家の見解を掲載するのである。


ヴィクター・ヘンリー夫妻と三人の子供の計5人、そしてその恋人たちも追加した、その視線によって、色々な階層、世界の人々が描かれていく壮大な物語だ。

冒険あり、恋愛あり、悲劇あり・・・・・・
登場人物が多いので、誰に感情移入するかも、読む人により違うだろう。
その時々私も違ってきた。

面白いです。


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コメント

復刊希望

復刊ドットコムと言う絶版本の復刊を求める署名サイトで、この文庫の復刊を書込んだのですが、なかなか票が伸びません。約12年で10票です。
良かったら協力願います。

http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=1809

ところで、ドラマ化の際は続編として「戦争と追憶」と言うのがあり、「戦争の嵐」ではポーランド侵攻から真珠湾まで、「戦争と追憶」でそれ以降ドイツ降伏までとなっていましたが、原作の方はいかがですか。
私は原作は読んだ事がありません。ドイツ降伏まで翻訳された内容になっているのでしょうか。

ありぃさん

コメントありがとうございます。
原作は、ドイツがアメリカに正式に宣戦布告する直前、
バイロン・ヘンリーがイタリアからジャストロウ教授を
連れ出すところまでですね。
日本とはすでに交戦しています。

復刊ドットコムに登録して、投票しておきました。
11票になっています。

投票ありがとうございます。

投票ありがとうございます。

私は日本語版はもしかして " War and Remembrance " との合本になっているのかなと勝手に期待しておりました。
ジャストロウ教授がゲットーからアウシュビッツのガス室へと移るまでの毅然とした場面がとても好きなので。とは言えドラマでしか知らないのですけれど。

いつか " War and Remembrance " も翻訳されたら嬉しいですね。

ありぃさん

コメントありがとうございました。
私は、この本ずいぶん昔に買ったものですから、
ドラマの話が出たのでびっくりしました。
私も、ぜひドラマを見たいと思いました。
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四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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