『居眠り磐音 江戸双紙』第一巻「陽炎の辻」/佐伯泰英

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以前、NHKのテレビドラマでやっていたのを途中から見て、気に入ったので録画して残してある。
主人公が格好いいのはあたりまえだが、「おこん」を演じていた中越典子という女優が気に入ったせいでもある。調べたら、2007年に放送されたものだ。
このあいだ図書館で、年末年始に読む本をまとめて借りたときに、その記憶が甦って、その原作を探した。文庫本として書かれたものらしくて、そっちのほうにあったが、シリーズがズラッと並んでいたが一巻が無い。
とりあえず、できるだけ頭の方ということで、4巻と12巻を借りてきて読んだ。
面白かった。
これは、全部読みたいと思ったので、アマゾンで探した。現在38巻まで出ているらしい。
全部揃えると、わりと出費になるが、アマゾンのいいところは中古も買えるところ。
中古だと、「良品」で251円というのが並んでいる。
面白いのは価格251円で送料無料というのと、価格1円で送料250円というのがあること(笑)
これだと、38巻買っても1万円を切る。
ということで、とりあえず3巻まで買った。

第一巻を読み終わったので、ここに紹介しておきます。
主人公は「坂崎磐音」
「居眠り磐音」というのは、剣の師匠が磐音の構えを「春先の縁側で日向ぼっこをしている年寄猫のようじゃ。眠っているのか起きているのか、まるで手応えがない。」と評したところからきている。
立ち居振る舞いは極めて春風駘蕩な感じだが、厳しい稽古で知られる江戸・直心影流の佐々木道場で目録が与えられようとする程の腕前。佐々木道場の目録は他道場では免許皆伝ともいわれている。

坂崎磐音が豊後関前藩を出て江戸で暮らさなければならなくなった事件から物語は始まります。
江戸での勤めを終えて、許嫁との祝言を楽しみに帰国した坂崎磐音を待っていたのは親友が起こした事件であり、やむない事情から磐音が親友を切り、豊後関前藩を出奔することになります。
あとあとの巻で出てくる、毎日磐音が拝んでいる、自分で作ったという三柱の位牌というのがこれだったんですね。
許嫁「奈緒」の存在も、大きな伏線ですね。

魅力的な存在として、磐音が暮らす長屋の大家の娘であり、磐音が用心棒を引き受けた両替商・今津屋の奥向き女中頭を勤める“おこん”がいます。
深川育ち故のチャキチャキ娘という設定ですが、それ以上にしっかりしてて活きの良い現代的な女性、という印象を受けます。

磐音、おこん以外にも、両替商・今津屋吉右衛門、その片腕たる老分・由蔵、生活のために磐音が毎朝鰻をさばくことになる鰻屋・宮戸川の主人である鉄五郎、長屋の子供たちと、魅力的な登場人物が続々と登場します。
それから貧乏御家人の息子品川柳次郎と永の浪人暮らしでヨレヨレの竹村武左衛門の二人とは長いつきあいになりそうだ。

第1巻で磐音が出くわす大きな事件は、田沼意次の新貨幣政策で新たに流通することになる南鐐二朱銀に端を発します。江戸時代における貨幣政策は改鋳がほとんどで、その度に金や銀の含有量が減り、減った分だけ幕府の儲けとなるという政策を採っていた訳です。一時的に幕府の財政を潤すが、貨幣価値が下落し、市中でインフレが起きるので歓迎されなかった。今回はこの政策に絡んで入り乱れる思惑から事件が起きます。

新鮮なのは、この磐音が「システム思考」に優れている事。江戸勤めにあったとき江戸で大火があったが、傾きかけている関前藩の財政を少しでも救おうと、飛脚を立てて物資をかき集めて江戸に送り、利益をあげることを実行します。
いざ剣を取ると、めっぽう強いのだが、そして起居振る舞いは春風駘蕩なのだが、頭も切れるのだ。

斬り合いの場面もすごく多い。一巻あたり二けたの人間が死んでいくのではないか。その斬り合いのシーンで剣の動きが、実に具体的で、ありありと目に見えるような筆使いだ。
これは時代劇ファンにはたまらないところだと思う。

読んでいて、神田三崎町、深川、浅草など江戸の地名がどんどん出て来る。
そして橋の名前が次々と出てくる。江戸時代は交通に船を上手に使っていたようだ。いまでも残っている橋が多いので、これを訪ねて歩くのも一興かなと(笑)
また楽しみが増えるかもしれない。


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コメント

このシリーズ、

長いですね~。途中、何度かあきれて読むのを止めようかという危機がありましたが、何とか乗り越えて(^o^)きております。この1月に、新刊が出るのではなかったかと思いました。最初のこの巻が、スピーディな展開で、面白かったですね。

No title

四季歩さん、こんにちわ

興味を持ったので、図書館の書棚を探してみたら、27巻目があったので、100ページ程、読んでみました。飛脚を襲った3人の武士との戦いの場面でした。勿論、首領?には怪我を負わせ、他の2名は逃げてしまうと言うところでした。

さて、江戸時代は自動車が無かったので水運が盛んだったようですね。例えば、秋葉原のヨドバシカメラがある辺りは、堀が作られて神田川とつながっており、船だまりになっていたそうです。10年位前まではそこにかかっていた橋も残っていたのですが、撤去されてしまいました。

コメントありがとうございます

narkejpさん
うわあ・・・・・読んでいたのですね。
長いですよね(笑)
38巻だと思っていたら、まだ出てくるんですか(驚)
NHKのドラマを見ていたので、大まかな筋は
把握しているのですが、私にはそれに加えて、
江戸の町の記述が面白くて。
そのうち東京をさまよっているかもしれません(笑)

matsumoさん
何でもお読みだと思っていたのに、意外と
読んでいなかったんですね(笑)
江戸の水運は面白いですね。
ブラタモリでも、たまに取り上げられて
いますよね。

No title

私もNHKの時代劇が好きで気にいると本を買うほうで、夫婦とも時代小説にはまっています。私は「深川澪通り木戸番小屋」シリーズが大好きです。「居眠り磐音」シリーズもいいですね。38巻もでてるなんてしりませんでした。磐音と奈緒がなんともせつないですね。そして江戸の町の人々の人情話がこれまたいいのです。

夫は池波正太郎谷藤沢周平が好きで、女性が書いた時代小説なんて読む気になれないといいますが、やっぱり違いますか?

東京の下町は江戸の風情の残るところや地名がそのまま残っているところが多ので私も行ってみたいなと思っていたところなんですよ。ちなみに「ぶらタモリ」もしっかり見ています。(笑)

パスピエさん

コメントありがとうございます。
NHKの時代劇はいいですよね。
力点が、やはり人情のほうにいってる分、
好きですね。
私は、山本周五郎、藤沢周平が好きです。
我が家も、カミさんも私も、すこぶる本好きですが、
私は男性作家、カミさんは女性作家のものと、
はっきり分かれているのが面白い(笑)

昨夜も、ブラタモリで「吉原」を取り上げていて、
面白かったですね。
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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