『居眠り磐音 江戸双紙』第二巻「寒雷ノ坂」&第三巻「花芒ノ海」/佐伯泰英

20120114

第二巻「寒雷ノ坂」

120114iwane01.jpg

第一巻にて、坂崎磐音は江戸藩邸での3年勤務を終えて、幼馴染の小林琴平、河出慎之輔と3人で豊後関前藩に帰着する。磐音は藩の中老の嫡男であり、琴平・慎之輔らと共に若い力で藩政改革に取り組もうと意欲に燃えていた。
ところが、妻・舞(琴平の妹)に不義の疑いがあるとの流言に惑わされた慎之輔が舞を手打ちに。それに怒った琴平が慎之輔や流言を撒き散らしたその叔父らを斬殺。藩は琴平の上意討ちを決定、磐音が琴平を斬る羽目に。
こうして兄弟以上の仲だった親友であり、藩政改革を志す同志であった2人を一度に失った磐音。しかも、琴平は許婚・奈緒の兄である。磐音は藩政改革も奈緒も諦めて脱藩する。

第一章:寒風新宿追分
第二章:東広小路賭矢
第三章:柳橋出会い茶屋
第四章:広尾原彼尾花
第五章:蒼月富士見坂

ここで、「内藤新宿」が出てきます。現在の新宿ですが、朱引きの中に入り、江戸とされます。しかし、四谷大木戸の外である事から、感覚的には江戸の外ということでした。大木戸とは江戸城下へ入るために設けられたもの。つまり大木戸から内側は江戸城下だが、その外は江戸城下ではない。つまり、江戸の外といっても良い。
新宿という名前から、そんなものかなと思っていました。なにせ私は西武新宿線沿線に住んでいますから、都内では新宿が一番なじみの場所です。
いまでは、副都心なんて言ったりして、大都会ですが、江戸ではなかったんですね(笑)
ここが宿場として再構築されることになり、賭場の権利を巡って二人のやくざが角突き合わせていました。磐音は一方の用心棒として出かけていきます。

ここで南町年番方与力の笹孫一の危機を助け、知り合う。今後も絡んできますが、実に面白い男。
年番方与力というのは、南町奉行所二十五騎の与力中、古参有能な者が務める役職だそうで、この男は悪人が溜め込んだ金を公に没収せず、奉行所の探索費用の足しに繰り入れるという荒業を平然と行う剛の者である。
お上に金が無い、しかし仕事はちゃんとこなしたい。そのための費用を工面するわけです。
いまの国家公務員とは大違い。国がドデカイ借金かかえているのに、金を使うことばかり考えている。そのツケは全部国民にまわして平然としている。
どじょう内閣もしかり。東日本大震災の復興のドサクサにまぎれて、あの予算を復活させ、あの工事を復活させ・・・・(怒)
これでは、どじょう内閣変じて盗っ人内閣だ。


さて、この巻から坂崎磐音と豊後関前藩宍戸派との戦いが始まります。この巻では、なぜ宍戸派が坂崎磐音を敵視するのか、その概略が記されている。
磐音は豊後関前藩江戸屋敷の勘定方・上野伊織に再会します。この再会の中で、上野伊織は、磐音が親友の河出慎之助と小林琴平を斬らねばならなかった事件には裏があるのではないかという。まさかと磐音は思うが、やがて事がはっきりとしてきます。

今津屋の老分由蔵と奥女中頭のおこんは、坂崎磐音が豊後関前藩中老の嫡男であることを知ります。複雑な事情で浪人しているが、いずれは藩に帰って立派な跡取りにと思うので、おこんさんも、まだ磐音にはさほどの想いは生じていませんな。

天ぷら屋での事件が起こりますが、当時「てんぷら」は珍しい、新奇な食べ物だったんですね。現在、関東では「江戸前のてんぷら」といえば、日本料理の伝統的な食べ物なんですが、磐音の時代には新奇な食べ物だったのが面白いですね。


第三巻「花芒ノ海」

120114iwane02.jpg

第一章 夏祭深川不動
第二章 幽暗大井ヶ原
第三章 宵侍北州吉原
第四章 潜入豊後関前
第五章 恩讎御番ノ辻

どの巻でも坂崎磐音は、やたらと決闘が多い(笑)
それも、相手は××流免許皆伝とかの、相手である、この巻では二刀流までもが現れる。
で、決闘に際して、磐音と相手がさまざまな構えで対峙するわけだが、「なんとなく」ではいかんだろうと思い、構えの基本をWikiで調べた。
基本は、「五行の構え」であり、刀や薙刀で用いる五つの構え方があるようだ。
「中段の構え」
剣先を相手の目に向けて構えるもので、正眼の構えとも言う。この構えからは、他の全ての構えにスムーズに移行する事が出来る。つまり攻撃するにせよ防御するにせよ、この構えを基点とする。
「上段の構え」
刀を頭上に振り上げる構え。この構えを取っている場合、対戦相手を斬る為に必要な動作は、極論すればその体勢から剣を振り下ろす事だけであり、斬り下ろす攻撃に限れば凡そ全ての構えの中で最速の行動が可能である。反面、構えている間は面以外の部分を曝け出している状態であり、防御には向いていない。
「下段の構え」
刀の剣先を水平より少し下げた構え方で、上段に対し防御の構えと言われ、機敏に動けない為に攻撃には向かない。
「八相の構え」
刀を立てて右手側に寄せ、左足を前に出して構える、言わばバッティングフォームに似た構え方。刀をただ手に持つ上で、それ以上の余計な力をなるべく消耗しない。長時間に渡って真剣を手に持ち続けなければならない状況の為に、自然発生したと思わしき構えである。
「脇構え」
右足を引き体を右斜めに向け刀を右脇に取り、剣先を後ろに下げた構え方。相手から見て、こちらの武器の射程距離を正確に確認出来ない様に構える。


前巻で、宍戸派の犠牲になった上野伊織の恋人であった野衣の手引きで、藩の飛脚早足の仁助、御直目付・中居半蔵と会い、手を携えて宍戸派の陰謀に対抗することになる。

江戸を出立する直前、藩主の福坂実高に会った磐音は、仁助とともに関前に入ります。
磐音は、中居半蔵から、父の碁敵でもあった総目付けの白石孝盛が暗殺されたこと、宍戸らは父の正睦を一気に切腹に追い込む考えであることを聞きます。

実高の全面的な支持を受け、磐音は藩に蔓延する腐敗を一掃するために父親とともに、計画を進めていく。最後のほうで、磐音が「上意である!」と、口上を述べる姿には惚れ惚れしましたね。

蟄居閉門となっている、自分の屋敷に忍び込んだ磐音が母親と妹に再会するシーンは、どうしてもウルウルしてしまいました。
その妹が、磐音の許嫁・奈緒の身の上に起きたことを知らせてくれます。
奈緒の兄・小林琴平が奈緒の姉・舞に絡む陰謀で河出慎之助を斬るはめになり、ついには磐音とも刃を交え、斃れる。そして、小林家は断絶となる。すると、病身の母を抱えた小林家の生活は苦しくなり、奈緒は止むにやまれず一つの決心をする。苦界への身売りである。
奈緒からの「最後の手紙」を預かっていた妹伊代は磐音に渡すのである。



スポンサーサイト

コメント

居眠り磐音江戸双紙

このあたりの展開は実に急速で、講談の楽しさに似ていますね。第一巻では裏があるとはわからなかった不幸な事件に、実は策略があったのでは、というミステリー要素と、敵地に乗り込みちゃんばらを展開するアクションの要素と、この三巻はほんとにおもしろいです。
第四巻のご感想に興味津々(^o^)、私の抱いた感想が特殊だったのか、どうかな~(^o^)/

No title

四季歩さん、こんにちわ

新宿御苑に「大木戸門」と言うのがあるのは知っていましたが、別に何の疑問も抱いていなかったのですが、なるほど、大木戸と言うのは一種の関所で、今の大木戸門の側に、四谷大木戸があったわけですね。

江戸時代は、長屋の入口にも木戸があったそうで、色々と木戸があったことは知っていましたが、江戸への入口に関所があることは初めて知りました。早速、調べてみると、甲州街道だと四谷大木戸、中山道だと板橋大木戸、東海道だと高輪大木戸のようですので、てっきり品川大木戸かと思った私は意外でした。

そう言えば、昨日、入手した映画チラシによるとハリウッド版「ドラゴン・タトゥの女」(デヴィット・フィッチャー監督)には、ダニエル・クレイブとルーニー・マーラが出演だそうです。2/10より公開らしいです。

コメントありがとうございます

narkejpさん
面白いですよね。
けっこう展開が急でした。
38巻あるので、陰謀があるとしても、
全面対決して勝つのは、まだまだずっと先だと
思っていました。
第4巻というのは、いよいよ奈緒を追いかけるんですよね。
期待してます。

matsumoさん
大木戸もそうですが、江戸の地名、橋の名前、
気になるものが沢山あります。
江戸めぐりをそのうち始めようかなと(笑)

「ドラゴン・タトゥの女」期待してます。
変に明るくなってなきゃいいけど、と
ちょっと心配してます(笑)
非公開コメント
プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード

Pagetop