新・平家物語第一巻/吉川英治

20120127


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大河ドラマで「平清盛」が始まった。
なかなか面白そうだが、第一回を見て首をひねってしまった。
私は、このころの話は、吉川英治の「新・平家物語」から得た知識がほとんどであった。
どうも、それと違っている。
記憶を確かめる意味もあって、引っ張り出してまた読みだした。
私が持っているのは、父親が購入した吉川英治全集で、杉本健吉氏装丁の箱入りのもので、たぶん全部揃っているはずだ。
全集のなかで、5冊を占めかなり長い。

まずは「祇園女御」である。
大河ドラマでは、白河上皇のそばにべったり侍っているが、これがおかしい。
吉川英治「新・平家物語」では、こうである。
上皇が白拍子を八坂のほとりに囲った。上皇は、どうも身分の低い女性を好んだらしい。
それを知っている人は、ひそかに「祇園の女御」と呼んだ。女御は宮中の称呼なので、わざと地名をつけて呼んだのだと言う。
彼女のところに、おしのびで通う際には、供はいつも、ただ二人。
平忠盛とその郎党木工助家貞と決まっていた。

で、平清盛の父親は誰かという点である。
八坂の覚然という坊主がいた。覚然は祇園女御を垣間見て欲情に駆られてしまった。だが上皇の思い者なので、たやすくは近づけなかったが、朝に夕につけまわし、ついに悪僧の本領をあらわして、暴力による思いをとげてしまう。
上皇は六十に近い歳だし、覚然は三十代である。しかも美僧だったという。祇園女御がどちらに惹かれたかは、いうまでもない。
そして、時雨の一夜である。
このような雨夜に上皇が来るはずもなし、と油断していたら、上皇、平忠盛、郎党木工助家貞と鉢合わせしてしまった。
その夜以来、上皇はふっつりと祇園女御のもとに通わなくなり、しかも忠盛に妻として与えてしまった。
そして、忠盛と結婚して、月足らずで祇園女御が生んだのが清盛である。

忠盛に嫁して祇園女御から泰子となった妻は、毎日忠盛のうだつの上がらぬ生活をこぼし、忠盛に毎日不平を言い、自分だけ塗り込めの一室で贅沢をしていた。

父親は、上皇なのか、覚然なのか、忠盛なのか?
清盛は思い悩んだ末、それは母しか知らぬことと、母に詰問してしまう。
答えぬ母にじれた清盛は、母の頬をぶん殴り、母は庭に転げ落ちてしまう。
逆上した泰子は、実家に戻って、忠盛とは離縁する。

それで憑きが落ちたようになった、忠盛は出仕に精が出て、鳥羽上皇からの信頼も得て、周りから認められるようになる。

第一巻で、私の興味を引くのは、北面の武士「遠藤盛遠」と「佐藤義清」である。
遠藤盛遠は、源ノ渡の妻「袈裟御前」に懸想するが、袈裟御前は自分の貞節を守るため、「夫を討ってくれた後なら・・・」図って返答し、夫の代わりに自分が討たれる。遠藤盛遠は袈裟御前の首を抱えて出奔する。
彼が後の「文覚」である。
佐藤義清は、昨夜語り合い盃を交わしていた叔父が、翌朝行ってみると急死していた。
人の命のはかなさを感じた彼は、妻も子もいるのに、卒然と出家してしまう。
かれが「西行」である。

天皇の位も乱れに乱れている。あきれるばかりである(苦笑)
鳥羽天皇は、白河法王が実子を天皇にするがため、無理やり若いのに上皇に退けられる。
その恨みで、今度は白河法王亡きあと、二十歳と言う若さの崇徳天皇を退位させ、鳥羽上皇実子の、わずか三歳の近衛を天皇にすえてしまう。
これでは、世が乱れるのは当然だ。

これに輪をかけていたのが、比叡山、三井寺などの仏教の法城である。
これが腐りきっていた。
何かというと、「神輿振り」とかの威嚇行為をして政治に横車を入れる。
神輿は天皇の祖霊であり、信仰の如来であるといい、天皇でさえも土下座をさせられるほどである。
しかし、それをかつぐ連中ときたら、既に仏教の戒律を無視し、武器を持ち、法衣の下に鎧を着こんで、途上、民家の些細な落ち度に難癖をつけ、放火したり、殺傷、略奪を平気でして、押し進むのである。

これに、単身大手を広げて通せんぼをし、神輿に矢を射って、追いかえしたのが清盛。
これから、清盛の躍進が始まるのである。

久しぶりに読み返しているが、ほんとに「新・平家物語」は面白い。


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コメント

No title

むう、面白そうですね。新・平家物語。
私はこの時代の話は学校で習った程度しか知らないです。
古代史本を読む合間に読んでみます^^

No title

四季歩さん、こんにちわ

NHKの大河ドラマですが、第1回目の途中まで見て、あまりに暗いので、止めてしまいました。と言う訳で、その後は見ていません。私の観た限りでは、平家物語とはかなり異なっていて、ううん、勝手な解釈をしたドラマなのだなあと思いました。まあ、平家物語自体も歴史的事実以外は虚構ですので、作者、台本作者によって違うのは仕方がないと思っています。

私が好きな太閤記でも、作者によって、全く描き方が違いますし、背景さえも違うのですから、平家物語でも同様なのだと思います。

ううん、これを機会に、原文を読んでみたくなりました。「祇園精舎も鐘の声」の第1巻だけでも読んでみようかな。

コメントありがとうございます

kurt2さん
私は、高校は機械科だったので歴史の授業無くて、
大学の一般教養では、日本史は自然と身に付くだろうと、
世界史を取りました。
だから、日本史は本とか雑学ですね。

matsumoさん
私は、懲りずにまだ見ています(笑)
大河ドラマって、教科書みたいに見る人多いと
思います。
だから、面白けりゃいい、というのはどうなんでしょうかね。
私は、いま吉川英治にどっぷりつかっています。

No title

四季歩さん、こんにちは。
吉川英治全集!懐かしいです。といっても私が読んだのではなく、父の思いでとしてなのですが。吉川英治全集は実家の本棚にあり、やはり、新平家物語が面白いと父が小学生の私にしきりに勧めていたのを思い出します。吉川英治の人の描き方がとてもいいのだそうです。大人になってそのうち読もうと思っているうちに父が亡くなりどなたかに譲ったようで読まずじまいになってしまい残念です。

私も歴史好きな我が家のダンナと息子たちにすすめられて大河ドラマを見ていますよ。ちょっと大胆な解釈だったりしますが、それはそれで結構面白いですね。

パスピエさん

コメントありがとうございます。
吉川英治全集、思い出がおありと聞いて
嬉しいです。
すごい全集ですからね。
青梅にある、吉川英治記念館も好きで、
よく行きます。

大河ドラマは、やはり欠かせません。
なんだかんだ言いながら、やはり見ていますね。

うーん

吉川命の私としては…

難しい問題だ。

やすひろさん

コメントありがとうございます。
吉川命ですか。
それだけの価値はありますね。
素晴らしいです。

No title

新平家物語は、40年前、NHKの大河ドラマとなりました。仲代達矢さんの平清盛をはじめ、中村玉緒さんの平時子など、素晴しいキャスティング揃いでした。藤原信西を演じた小沢栄太郎さん、後白河法皇を演じた滝沢修さんなど、大変素晴しい役作りで見せました。
もっとも、その頃を知る人たちが少なくなったような気がしますが、いかがでしょうか。途中から平清盛を見始めましたが、当時、新平家で見ていた時とは違った視点で見ていると、そうだったのか、とう何図化されてしまいます。

畑山千恵子さま

コメントありがとうございます。
仲代達矢さんのは、もう40年前ですか。
なんとか記憶にはあります。
小沢栄太郎さん、滝沢修さんなども覚えていますよ。
やはり貫禄が違いますよね。
私は、どうも最近の大河ドラマ、「軽薄」と言っては
酷ですが、何も汚さでリアルなんて言って欲しくないし。

懐かしいご意見、ありがとうございました。
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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