『居眠り磐音 江戸双紙』第7巻「「狐火ノ杜」&第8巻「朔風の岸」/佐伯泰英

20120331

第7巻「「狐火ノ杜」
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この巻での大きな出来事は、一つは紅葉狩りに磐音、品川柳次郎、中川淳庵、おこん、幸吉およびおそめで品川外れの海晏寺に繰り出す。そこで直参旗本のやくざ連中にからまれ、磐音が相手をする。
もう一つは、加賀の金沢で縁を持った鶴吉と再会する。鶴吉は花川戸の三味線造りの名人の次男だった。長男の富太郎との後継者争い、浅草門前町の楊枝屋の看板娘お銀とどちらが添い遂げるのか、その二人に香具師の倅長太郎までもからんでのいざこざから鶴吉は身を引くことにし、江戸を離れていたのだった。
ところが富太郎と一緒になったお銀が長太郎とくっついてしまい、かなり悪事をしているとのことで、親父の仇討ちのため鶴吉が戻ってきたのである。
また一つは、中川淳庵が行徳浜に住む先輩医師の見舞いに出かけるのを用心棒するが、中川淳庵を付け狙う裏本願寺別院派の血覚上人一味らに襲われるのに立ち向かう。
さらに一つ、王子稲荷に主の吉衛門の代参としてお参りする由蔵とおこんの用心棒として同行した磐音だが、おこんがかどわかされるという磐音にとって大事件となる。

この当時の江戸近郊の紅葉の名所は、品川北馬場の万松山東海禅寺、東叡山清水堂、谷中天王寺、滝野川、高田穴八幡、大塚護国寺、品川外れの海晏寺の名前があがっている。
そういえば東京で紅葉狩りをしたことが無かった。今年の秋には、どこが今でも風情が残っているのか調べて行ってみようか。

お銀と長太郎がしている悪事とは、千石船を沖合に浮かべて博打場としている。それを襲撃する磐音たちは、浜町河岸から川口橋をくぐって大川に出て、石川島、佃島、越中島の近くを通り海辺新田から木場の沖を東進して平井新田の沖まで行く。

話の筋にはまったく関係が無いが、七五三の宮参りの内訳が載っていた。もう娘二人が成人してしまっていると言うのに、読んでみたらきちんと正確に知らなかった(汗)
恥ずかしい話しである(笑)
三歳は、男女ともに頭髪を伸ばし始める儀式で「髪置」という。
五歳の男の子は、裃を着せて氏神詣でをするので、「袴着」という。
七歳の女の子の祝いは「帯解」という。

江戸の中央から「成田参り」をするのに船で江戸を抜けるルートが紹介されていた。日本橋川の鎧の渡しで船に乗り込み、大川を横断して小名木川に入り、中川を渡り、さらに新川に入って行徳河岸に到着する。

この巻で、磐音が真剣で相対する流派は、「洗心流」、「南蛮流片手突き」、「円明流」、「田宮流」、「当流居合い」、「深甚流」である。


第8巻「朔風の岸」
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タイトルになっている「朔風」とは、北方から吹き込む冷たい風のこと。
この巻での大きな出来事は、一つは尾張町草履商備後屋で正月元旦の祝いの席で屠蘇に石見銀山が入れられて家族、奉公人が揃って毒殺される事件が起こる。
もう一つは、寄合旗本大久保家が知行地である伊豆の修禅寺の湯治場で暮らしを凌ぐため細々と賭場を開いていたが、これをやくざに乗っ取られて、近在の百姓、湯治客に迷惑がかかっているのを用心棒として同行し、解決する。
そしてまた、「解体新書」を発行した中川淳庵らを付け狙う裏本願寺別院派の血覚上人一味らを操る人物が、戸遠江横須賀藩のご隠居、御奏者番を務めたこともある「西尾玄楽」、「鐘淵のお屋形様」と呼ばれる人物であることが判明した。そして中川淳庵が一味に攫われてしまう。中川淳庵が小浜藩出入りの医師であり、小浜藩は老中を出す家柄故、南町奉行所の笹塚孫一の手配で横須賀藩も青くなり西尾玄楽を孤立させ、事件は磐音の活躍で片付く。

奈緒改め「白鶴太夫」の浮世絵で名を上げた絵師北尾重政と磐音が知り合う。北尾重政は磐音と白鶴太夫の悲しい宿命の仲を知る。
また北尾重政は両国小町のおこんを描きたいと口説いている人物でもある。

磐音の身辺では、妹の伊代が嫁ぐことになり、磐音はおこんと越後屋の初売りに行き、おこんに祝いの品を見立ててもらう。加賀友禅と花籠文様象牙櫛と揃いの簪であり、磐音と今津屋からの祝いの品である。

この巻で、正月の行事が出てくる。元旦の朝の行事として、若水を汲んで福茶を入れて飲む。甲州梅、大豆、山椒の粒を煮たてて作るのが福茶。
私が生まれ育った信州の家では、父親が井戸から若水を汲んでお茶を沸かしていた。お茶は普通のお茶だった。現在の私の家は富山の習慣となっているが、若水は汲みようがなく水道の水(笑)で梅茶を入れている。
磐音があいさつに参った今津屋の床の間には、三方に松竹梅が飾られ、その手前に米が敷かれた上に橙、蜜柑、橘、串柿、伊勢海老などが盛りつけられた「蓬莱」が飾られていた。
それから「屠蘇」については、出入りの医師が患家に配る習わしで、赤い絹の袋に入れられ、年末から井戸水に浸してあったものを、若水取りのときに取り上げて、銚子の酒に入れるとあった。

この巻で、磐音が真剣で相対する流派は、「田宮流」、「神武一刀流」、「中条家流」、「三徳流」、「戸田一刀流」である。




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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

紅葉の場所ですが、上げられた所の現在ですが、

東叡山清水堂・・・観音堂の下に数本のモミジの木が
滝野川・・・・・・紅葉寺、石神井川沿い、名主の滝公園にモミジの木が
高田穴八幡・・・・そばの甘泉園にモミジの木が
大塚護国寺・・・・モミジは記憶にありませんが、桜等の葉が紅葉

と言ったところでしょうか。

二巻ずつですね。

快調なペースで読まれている様子、切り口も新鮮で、楽しみです。
『狐火~』の巻では、最後のダジャレにがっくりきましたが、豊後関前藩の物産プロジェクトの行方が楽しみで読んでいたように記憶しています。あとは、奈緒さんからおこんちゃんへ、読者を納得させながら乗り換えるという荒技あたりかな(^o^)/
さすがに、江戸の町を地元視点で読むのは無理でした(^o^)/

No title

時代小説を読むと昔の習わしや今も行っている日本の行事の本当の意味などが分かって興味深いですね。私は図書館で借りて読んでいるんですが、「狐火の杜」がなくてまだ読んでいないんです。(涙)「朔風ノ岸」は面白かった!です。

コメントありがとうございました

matsumoさん
やはり、東京はどこでも詳しいですね。
そして庭の様子、木の様子も把握しているのだから、
すごい、としか言いようがありませんね。
敬服です。

narkejpさん
いろいろな話が完結する形で織り込まれるし、
関前藩にしても、色々な事件が続きますね。
私は、NHKのドラマで先におこんさん(中越典子さん)
に惚れてしまいましたから(笑)

パスピエさん
図書館でも、人気がやはりありますよね。
私が試読しようと、図書館で借りられたのは、
12巻からでしたよ(笑)
今年は、市の歴史愛好グループで「江戸」を
攻める予定なので、楽しみです。
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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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