『居眠り磐音 江戸双紙』第9巻「「遠霞の峠」&第10巻「朝虹ノ島」/佐伯泰英

20120413

第9巻「「遠霞の峠」
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この巻での大きな出来事は、一つは吉原の太夫選び。遊女三千人の吉原に、太夫と認められた花魁が居たのは宝暦年間(1751~64)まで。それで新しい太夫を三人選ぶことになった。前評判では三浦屋の当代高尾、松葉屋の揚羽、そして丁子屋の白鶴(奈緒)である。
もう一つは、深川の長屋暮らしの師匠である、鰻捕りの幸吉がいよいよ鰻屋「宮戸川」に奉公に出る。ところが早々に釣り銭騙りに会い、被害にあった店のうち奉公に来たばかりの娘が身投げするという死者まで出る騒ぎになり、やはり磐音が解決する事件となる。
いま一つは豊後関前藩の再起をかけた物産を積んだ借り上げ弁才船が初めて江戸に向かう。おりしも紀州灘から遠州灘にかけて春嵐が荒れて、沈没する船も出る。豊後関前藩の物産は、いかに・・・・??
そして江戸では江戸家老利高と、磐音の父が取り立てた者があろうことか策謀を図って物産商いの実権を握ろうとする陰謀が進んでいた。
そしてまた、磐音はやくざの借金取りの用心棒で青梅まで出かけることになる。ところがその先があって秩父で娘を買って江戸に戻る用心棒も引き受ける羽目に。これをおこんが知ったら・・・・??

磐音の身辺では、妹伊代の婿となった井筒源太郎が藩主実高の江戸入りに同行してきて磐音と初めて会う。
源太郎は、磐音が関前藩の再起に大きい役割を果たしていること、磐音への藩主実高の信頼が篤いことに驚く。また江戸で見聞して、もはや今津屋のような商人衆がこの世を動かしている事を思い知らされる。

磐音がやくざの借金取りの用心棒で秩父まで行くのだが、通った道が「青梅道」で甲州裏街道あるいは甲州脇往還と称されいる。慶長11年(1606)に江戸城大増築が完成したが、その折青梅の石灰を大量に必要とし、代官大久保長安が運送がうまくいくよう整備したものだという。

この巻で、「札差」がいかにして巨額の富手に入れたのかの説明があった。札差は、知行地から上がる禄米や蔵米取りの旗本御家人に成り代わって換金する仕事である。しかしこの手数料ではさほど儲かるわけがない。旗本御家人相手の金融によって稼いだのだ。武家相手の貸し借りは町民相手よりも危険が伴うとして、利息が年2割、仲介手数料が1割五分、合わせて三割五分以上の利息を旗本御家人は払わねばならなかった。
これで札差は、どんどん儲けていったのだ。


この巻で、磐音が真剣で相対したのは5回だったが、対する流派は、「鹿島神伝流」を名乗る者が二人。それだけで、あとの三名は流派が書かれていない。
種切れか??


第10巻「朝虹ノ島」
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この巻での大きな出来事は、一つは江戸城の石垣の修理に美作国津山藩が行うことになるが、津山藩に資金を用立てする今津屋も豆州熱海の石切場下見に同行することになり、磐音も依頼を受けて同行する。品川柳二郎と竹村武左衛門も一緒である。
この石の切り出しの仕事を独占して自分の懐を肥やそうとする腹黒い人物が策謀をめぐらし、いろいろな騒動が持ち上がる。この事件で、将軍家治の御側衆速水左近の力を借りることになる。
いま一つは両国東広小路の見世物で大力の姉妹の見世物があったが、妹が若侍にたぶらかされて行方がわからなくなる。以前助けてやった矢場「金的銀的」の親方から磐音に相談があり、調べてみると他にも何人か娘芸人が行方不明になっていることがわかり、事件となる。
いま一つは、たまたま通りがかりに一人の武士が多数の武士に囲まれ討たれようとしているのを磐音が助ける。その武士は女性が扮装していて、因幡鳥取藩三十二万石のお家騒動であった。この女侍に頼まれて磐音は活躍することになるが、長屋の名主金兵衛さんによると、「女難」の相が出ていると喝破される。
しかし女難といってみても、この小説には濡れ場なんてものは皆無である(笑)
それが清々しいこと、この上なしなのだが、一方では私のような者には、ちと物足りないのだが(笑)


泉養寺境内の古杉の下で、愛刀包平にて、直心影流の形を丹念になぞる場面があるが、八相、一刀両断、右転左転、長短一味、龍尾、面影、鉄破、松風、早船とある。
私は剣道には疎いので、どんな型かと調べてみたら、下記のサイトに丁寧に型の写真つきで説明がされていた。
http://www.kashimashindenjikishinkageryu.com/kata.html

磐音の愛刀は「包平」という名刀だが、包平は備前三平の、助平、高平とともに備前の三名刀鍛冶であり、後鳥羽上皇の御帯刀を鍛えた名工である。磐音の使っているのは二尺七寸の「大包平」と言われる長刀の部類の由。それが、この巻の斬り合いで刃こぼれをしてしまい、砥ぎに出す。
で、脇差だけの姿で今津屋に行くと主の吉衛門が、今津屋に借金のかたに持ち込まれてそのままになっている刀が蔵にたくさんあるので貸してくれるという。その中から磐音が長い時間をかけて選び出した一剣は、備前長船長義が鍛造したもの。この剣は越前の大名家が長年保有していた逸品であり、長義は正宗十哲の一人という。

江戸城が築かれた頃、真鶴から稲取海岸にかけての界隈で、小松石がたくさん切り出され、海上輸送で江戸に運ばれた。江戸城が完成した後も、伊豆山、熱海、多賀、網代、初島のあちこちで石が採取され、江戸の町屋建設に使われたという。
私がよく遊びに行ったのは城ケ崎海岸のあたりだが、あそこの岩場も巨岩がゴロゴロしていたのを思い出し、さもありなんと思った。


この巻で、磐音が真剣で相対したのは、「心鏡流」、「関口流抜刀術」、「東軍一刀流」、「林崎夢想流」、「富田信流」である。



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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

上記2巻では第9巻の方が遙かに面白かったです。太夫選びと太夫が吉原を練り歩く場面、そして、青梅等を等って秩父に行く旅行場面が素晴らしかったです。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
やはり、吉原の話は面白いですよね。
本当かどうかはわかりませんが、若い女性の無鉄砲なところ、
昔もそうだったんでしょうか(笑)
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四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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