『居眠り磐音 江戸双紙』第11巻「無月ノ橋」&第12巻「探梅ノ家」/佐伯泰英

20120504

第11巻「無月ノ橋」
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この巻での大きな出来事は、一つは磐音が愛刀包平の研ぎを頼んだ鵜飼百助邸を訪ねた折、旗本用人の狼藉を助ける。なんと徳川家に不吉をもたらすという勢州村正を正宗と改鑿した刀を持ち込んできたのだ。この悪辣な旗本の起こす騒動に巻き込まれる。この件では磐音を可愛がっている年番方与力笹塚孫一が斬られ瀕死の重傷を負う大事件となる。笹塚孫一をが死なずに済んだのは磐音の友人、蘭方医の中川淳庵のおかげである。
また一つは第9巻で秩父に権造一家の代貨し五郎造が娘を買いに行くのに同行し、結局娘たちを良心的な女郎屋一酔楼で勤め上げられるようにしたのだが、この一酔楼の主が将軍家治の日光社参に伴い先遣役を命じられた旗本の借金のせいで悪どい金貸しに乗っ取られそうになる。
そしていま一つは、十八大通の一人「髭の意休」なる人物が白鶴太夫を吉原から連れ出して紅葉見物をたくらむが、それを良しとしない同じ十八大通の一人大口屋八兵衛が、これを襲うという事件が起こる。金持ちの傲慢さで白鶴太夫に嫌われ恥をかかされたことがあったようだ。
「髭の意休」とは、不浄の者として虐げられし者たちの頭分「江戸弾左衛門」なる人物とか。
そしてまた、前巻で因幡鳥取藩三十二万石のお家騒動を磐音が動いて解決したと思ったのだが、残党がまた企み、磐音が新大橋でおこんを送る最中に襲われる事件が起こる。

友人の品川柳次郎の母、幾代に誘われて品川家の菩提寺「竜眼寺」に、彼岸の前の墓参に誘われる。「亀戸天神」の近くで、全国から数多い種類の萩を集めて植えため、「萩寺」と呼ばれて文人墨客に好まれ、江戸の名所の一つにあげられたとあるが、調べてみると現代でも「萩寺」ということで有名らしい。
今年の萩の季節には行ってみよう。

鳥取藩のお家騒動にからんで重臣の娘「桜子姫」を助けたが、この姫が磐根に惚れてしまい、付け回す。一度は磐音が宮戸川で鰻割きをした後風呂から上がると、銭湯の前に桜子姫が駕籠を停め待ち構えているので、それを町民が遠回りに囲んで見つめているという騒ぎに。
弱った磐音は、その日鰻を食べる約束をしていた中川淳庵と弟弟子の幕府奥医師、桂川国瑞と共に、桜子姫に宮戸川で鰻を食べさせる。

よく時代劇に検校とか按摩の金貸しがあくどい事をやる話が出て来るが、按摩の「鑑札」についての説明あり。
五代将軍綱吉に可愛がられた杉山検校は、綱吉に「欲しいものは」と問われ、「さして欲しきもの候はねど、折にふれてはただ一つ目が欲しく候」と答えたら、本所一ツ目の地に千坪を居邸として与え、爾来この屋敷を関東惣録屋敷と称し、検校、匂当、座頭、紫分、市名、都、無官の按摩の頭領として支配させたという。

江戸城の石垣普請の石調達にからんで、豆州熱海での不正を正した磐音の活躍を、将軍家治が耳にして、何ぞ礼をせねばと御側衆の速水左近に言ったため、速水左近から磐音に速水家伝来の脇差「粟田口吉光」を頂戴した。
「髭の意休」の紅葉狩り事件で、髭の意休と白鶴太夫の危難を救った磐音に、奈緒こと白鶴太夫の打掛が渡される。

この巻で、磐音が真剣で相対したのは、「松田派新陰流」、「柳生新陰流」(道場のけいこで)、「心形刀流」&円明流(道場にて他流試合)、「雖井蛙(せいあ)流」、「四兼流」


第12巻「探梅ノ家」
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この巻での大きな出来事は、一つは火事の騒ぎと一緒に押し入り強盗を働き家族、奉公人を皆殺しにする黒頭巾の一味の事件、これには磐音が風呂で出会った背中に見事な吉祥天の彫り物をした男が関係しているようだ。いま一つは師走の時期に今津屋の老分番頭由蔵のお供で磐音は鎌倉に行く。建長寺で今津屋の亡くなったお内儀お艶の三回忌の法要を主吉衛門の代参で行う。その後主吉衛門の後添いの候補に会うためであった。その相手とは小田原城下の脇本陣の主の娘お香奈であり、妹のお佐紀も同行していた。
またもう一つは、磐音の仲間である品川柳次郎が上方からの千石船の荷降ろしの仕事に行ったきり行方不明になってしまう。どうもその船の主、愛染明王の円之助とやらはとんでもない悪党らしい。
それから中川淳庵を通じて知り合った、幕府奥医師、桂川国瑞が謎の七福神に扮した集団に襲われる事件が起こる。桂川国瑞が蘭学に基づいた医療を行うのを嫌う守旧派か、それとも彼をねたむ同じ御殿医師の陰謀みたいである。

今津屋の老分番頭由蔵と磐音が鎌倉に行く途中、川崎宿の「万年屋」で「奈良茶飯」を食べるが、六郷川で採れた「新鮮なしじみの味噌汁」と「奈良漬」をつけた「奈良茶飯」をどんぶり1杯13文で提供し、東海道を旅する人や、川崎大師平間寺へお参りをする人々の食事処として大変繁盛したと言われています。
去年、関東36不動まいりで川崎大師に行った際、門前にそういうお店があったのを記憶している。今年も「風鈴市」には行くつもりなので、その時には絶対に食べてみよう。

麻布広尾村にある幕府御典医桂川家の別宅に、因幡鳥取藩の重臣の娘「桜子姫」が招かれ、中川淳庵と磐音も招かれている。長崎の「てんぷら料理」でもてなすが、磐音も桜子姫も初めて口にする料理だった。桜子姫は危ういところを磐音に救ってもらってから、磐音を追いかけまわしていたが、幕府奥医師、桂川国瑞が憎からぬ存在になってきたようだ。

今津屋の主、吉右衛門の後添いの話が進んできて、正月十五日の藪入りの日、小田原宿の脇本陣「小清水屋」の娘「お佐紀」が今津屋を訪れる。磐音と一緒に六郷の渡しまで出迎えたおこんは一目見た瞬間、「このお方こそ今津屋吉右衛門様に相応しいお内儀様」と確信する。
今津屋に着いたお佐紀は廊下に座り、吉右衛門に「今津屋吉右衛門様、佐紀にございます。主様にご挨拶する前に、お艶様にお断りしとうございます。仏間に入ることをお許しください」と声をかける。
それを聞いたおこんは、(この話は絶対にうまくいくわ)と胸が熱くなった。

この巻で、磐音は剣の師佐々木玲圓から次のような教えを受ける。
「磐音、いつかはそなたに申そうと考えておったことがある」
「なんでございましょう」
磐音は緊張した。
「技量が上がれば人というもの、つい刀を抜いて事の決着を図りたがるものじや。だが、それは下の下策。真の達人は剣を鞘に納めたまま勝ちを得る。そなたの務めには切羽詰まった戦いもあろう。だが、そのことを頭の隅においておくがよい。そなたにはそれができようと思うてな」
「先生のお吉菓、坂崎磐音、肝に銘じましてございます」
磐音は玲囲の教えに深々と頭を下げた。

この巻で、磐音が真剣で相対したのは、「民弥流」、「心形刀流」である。


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コメント

No title

四季歩さん、こんにちは

第11巻では「萩寺」の描写が素晴らしかったです。「亀戸七福神」の1つですので、何回か、行ったことがありますが、小説に書かれているような風情はありませんでした。後、母親の描写もいいですね。

第12巻では、小田原での騒動が良かったです。

matsumoさん

コメントありがとうございます。
萩寺は、萩の季節に行きたいと思ってます。
どうなんでしょうか。
まあ、あのあたりにはいろいろとありますから。

小田原での騒動、よかったですよね。
なにしろ今津屋のお内儀になる人の話ですからね。
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Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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