春日大社の狛犬/東京国立博物館「春日大社展」

20170203

昨日、2日に東京国立博物館平成館で開催されている「春日大社展」に行ってきました。
他にもたくさんの興味を引く展示品がありましたが、私にとっては鎌倉時代の狛犬を間近に見ることが出来て、とても嬉しかった。
この狛犬については、「春日大社式年造替」(2016年に行われた)のテレビ特集番組で取り上げられていました。
鎌倉時代から昨年まで本殿の前回廊に置かれていた狛犬が役目を終え保存されることになり、新しい狛犬が作られる様も放送されていました。

その役目を終えた、第一殿から第四殿までの四組の狛犬が展示されていました。
それを間近に見ることが出来て幸いでした。
撮影は禁止なので、別途手に入れた写真で説明をします。

年代:鎌倉時代(1185~1333年) 、第三殿の狛犬と第四殿の獅子は室町時代
材質:木製
型式:神殿型

【第一殿】
ずんぐりとして、筋肉の起伏を見せる鎌倉時代の特徴が出ている。
動きのない姿勢や巻き毛を強調しない点は平安時代の影響が残る。
阿形が獅子、吽形が狛犬。
吽形狛犬の頭にはV形の日本の角があり、これは初めて見た。
口の周りには、ヒゲを植毛した跡が残る。
尾は炎のような尾で背中に付きぎみ。

阿形
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吽形
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【第二殿】
ずんぐりとして、筋肉の起伏を見せる鎌倉時代の特徴が出ている。
阿形が獅子、吽形が狛犬。
吽形狛犬の頭にはV形の日本の角がある。
首をひねって顔を上げていて、姿勢に人懐こさが感じられる。
口の周りには、ヒゲを植毛した跡が残る。
尾は炎が後ろになびいているようなかたち。

阿形
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吽形
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【第三殿】
ずんぐりとして、筋肉の起伏を見せる鎌倉時代の特徴が出ている。
阿形が獅子、吽形が狛犬。狛犬は室町時代で、時代が異なる。
眼は透明なガラスの玉眼。
吽形狛犬の頭にはV形の日本の角がある。
吽形狛犬が中腰の、面白い姿勢をしている。
尾は、両方炎状だが、阿形は巻き毛が目立ち、吽形は筋状に流れて広がっている。
獅子と狛犬の毛の特徴を尾に出しているような感じ。

阿形
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吽形
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【第四殿】
ずんぐりとして、筋肉の起伏を見せる鎌倉時代の特徴が出ている。
阿形が獅子、吽形が狛犬。獅子は室町時代で、時代が異なる。
眼は透明なガラスの玉眼。
吽形狛犬の頭にはV形の日本の角がある。
阿形獅子が立ち上がって、走りだしそうな姿勢をしている。
尾は、両方炎状で立っていて、阿形は八つ手の葉のように広がり、吽形は炎がすぼまっているようなかたち。

阿形
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吽形
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神殿型の狛犬は、木製であり彩色されていた。
残存している色から、金や群青などで彩色されていたことが伺われるが、この狛犬たちに替わって現在本殿に置かれている狛犬は、テレビで放送されたのでわかっている。
とても鮮やかで素晴らしい配色である。

狛犬が置かれている場所
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新しく作られた狛犬
(ちょうど地震警報が出ていた)
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第一殿狛犬
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六郷神社の狛犬/東京都大田区

20170130

所在地:東京都大田区東六郷・六郷神社境内
撮影日:2014年1月17日

年代:貞享2年(1685) 
材質:石造
型式:はじめ型

今から3年前、「武蔵国式内社めぐり」で六郷神社を訪ねた際にこの狛犬を見て、その「ブサカワ」ぶりにビックリして、それ以来狛犬を楽しむようになった。
いわば、狛犬の楽しさを教えてくれたのが、この狛犬である。

六郷神社については、既に記事にしています。

その記事を読む


境内の一角に、頼朝奉納の手水鉢などと一緒に、植木のなかにわりと無造作に置かれている。

説明
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阿形獅子
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吽形獅子
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特徴:
・阿形、吽形両方ともたてがみが巻き毛なので獅子。
・吽形の頭に角らしき突起がある。
・顔は典型的な「ぶさかわ」で、ユーモラスな笑顔で、親しみやすい。
・前足は短くまっすぐ。付け根から長く毛が延びて翼のようになっている。
・後足は蹲踞。
・尾はシンプルな短い付き尾。毛先が背中に向けて巻いている。

「はじめ型」の特徴である、髪の毛先だけがカールしていて、尾が背中にくっついている。

髪の毛先だけがカールしている。
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尾はシンプルな短い付き尾で、毛先が背中に向けて巻いている。
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短い前足の付け根から長く毛が延びて翼のようになっている。
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「はじめ型」の、小型で四つん這い、髪の毛先だけがカールしている、尾が背中にくっついている特徴を表わしていて、彫りが実にシンプルで、それが親しみやすい印象を与えている。
「はじめ型」の特徴である、ユニークな笑い顔の親しみやすい顔であり、とても可愛い狛犬だ。
「ぶさかわ」の典型的な狛犬で、私にとってはこれが一番好きと云ってもいいくらいだ。



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赤坂氷川神社の狛犬

20170124

所在地:東京都港区赤坂六丁目・氷川神社神門前
撮影日:2017年1月20日

年代:延宝3年(1675) 石造では都内で二番目に古い
材質:石造
型式:はじめ型

赤坂氷川神社に行くには、いつも地下鉄「六本木一丁目」駅から「南部坂」を上がって行きます。
赤坂氷川神社のある場所には、元禄の頃は備後国三次藩浅野家の屋敷がありました。浅野内匠頭の正室瑤泉院の実家で、赤穂事件の後、実家に戻っていました。
そして大石内蔵助が討ち入り前に瑤泉院を訪ねた時の話が「雪の南部坂」として有名な訳です。
それで私も、いつも「南部坂」を使います(笑)

今回もブログにアッフするのに、今まで撮ってあった写真では物足りなく、ちょうどこの日「よみうりホール」で講演会があったので、その前に撮りに寄りました。
ちょうどこの日は、天気が荒れ模様で場合によっては東京にも雪が降るかもしれないという予報。
そうなれば、まさしく「雪の南部坂」(笑)というわけで、あまり天気は良くなかったのですが出かけました。
幸い、ちょっと小雨がパラつきましたが、写真は撮れました。

赤坂氷川神社については、既に記事にしています。

その記事を読む


赤坂氷川神社には7組の狛犬があり、そのうち3組が江戸時代のもの。
今回のが一番古くて、都内の石造狛犬としては目黒不動のに次いで二番目に古い。

神門の前にありますが、かなり脇に置かれている。
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右側の阿形獅子
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台座に、延宝三年と刻まれている。
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左側の吽形獅子
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特徴:
・右側が阿形、左側が吽形で、両方ともたてがみが巻き毛なので獅子。
・阿吽ともに、頭に窪みがあり、その中に突起が残っている。
・顔はユーモラスな笑顔で、親しみやすい。
・前足は短くまっすぐ。肘のところに巻き毛であろうか小さな翼のようなものあり。
・後足は蹲踞。
・尾は実にシンプルな真っ直ぐな付き尾。わずかに根元に巻き毛あり。

阿吽ともに、頭に窪みがあり、その中に突起が残っている。
阿形の頭頂部
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吽形の頭頂部
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これに対しては、灯明台にされたという説と、
江戸時代の神仏混合に見られる宝珠を載せたものと角のあるもののセットがあるが、その痕跡だという説がある。

前足の肘に、後世の翼とも違う、巻き毛のようなものがあるのが面白い。
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尾は実にシンプルな真っ直ぐな付き尾。わずかに根元に巻き毛あり。
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「はじめ型」の、小型で四つん這い、髪の毛先だけがカールしている、尾が背中にくっついている特徴を表わしているが、彫りが実にシンプルで、それが親しみやすい印象を与えている。
「はじめ型」の特徴である、ユニークな笑い顔の親しみやすい顔であり、とても可愛い狛犬だ。



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目黒不動尊の狛犬

20170119

所在地:東京都目黒区下目黒・目黒不動尊参道石段上
撮影日:2017年1月12日

年代:承應3年(1654)、石造では都内最古
材質:石造
型式:はじめ型

目黒不動尊には、江戸時代造立で左右揃ったものは三組あり、その中でこれが一番古い。
今まで何度も目黒不動には行き、この狛犬も撮ってあったが、満足できる撮れ方ではなかったので、今月12日に目黒に行く用事があったので、撮って来た。

目黒不動尊については、「関東36不動めぐり」で参拝した時の記事があります。

その記事を見る


参道の男坂を上がりきったところに置かれています。
これは、本堂側から撮ったもの。
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右側の阿形獅子
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左側の吽形獅子
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特徴:
・右側が阿形、左側が吽形で、両方ともたてがみが巻き毛なので獅子。
・大きな眉も含めて、顔の周囲を巻き毛が回っていて、獅子らしい顔
・顔はいかめしいが笑っていて親しみやすい。
・前足は太くてたくましいが、肘が曲がっていて動きがある。足の付け根に小さな翼あり。
・後足は蹲踞。膝に渦巻き模様。
・足首から毛が流れているが、右は巻いており、左は流れている。
・尾は付き尾だが、古代ギリシアのコリント式柱頭の装飾に使われた植物のようなデザイン。

足と胸のところに銘が刻まれている。
胸 : 奉献 不動尊霊前 唐獅子二匹
右足: 亀岡久兵衛正俊
左足: 承應三甲午三月廿二日
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「はじめ型」によく見られるが、足の間の彫りを省略している。
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足首から毛が流れていて、ちょっと見は尾にも見える。
これが右は巻いており、左は流れているのが面白い。
「右獅子、左狛犬」のたてがみの特徴と同じ。
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尾は付き尾だが、古代ギリシアのコリント式柱頭の装飾に使われた植物のようなデザインで面白い。
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「はじめ型」の年代だが、唐獅子として造られたので、大きさがあり、彫りも立派で、尾のデザインなども装飾的。
「はじめ型」と呼んでいいのかとも思うが・・・・・・
しかし、その後一世を風靡する江戸獅子や、古くからある正統派神殿型狛犬とも明らかに違っていて、非常に貴重な存在だと思う。

後世の唐獅子型と比較すると、デザインがシンプルで、なによりもユーモラスな笑い顔がなんともいえず、親しみがあって、私にとって大好きな狛犬の一つだ。



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川越・仙波東照宮の狛犬

20170113

所在地:埼玉県川越市・仙波東照宮狛犬
撮影日:2016年11月20日

年代:寛永14年(1637)、埼玉県最古
材質:石造
型式:はじめ型

仙波東照宮の狛犬と手水鉢は明暦2年(1656)に、江戸城二の丸にあった東照宮から移されたもの。
狛犬の台座は極めて薄いものであり年代の情報は無いが、手水鉢に刻まれている年代から、寛永14年(1637)とされ、埼玉県最古の狛犬である。
そして、関東最古の参道狛犬が、日光東照宮の寛永13年(1636)であるから、それに次ぐ古い狛犬ということになる。

わりと長い石段を上がると、拝殿前に置かれている。
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右側の阿形獅子
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左側の吽形獅子
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特徴:
・台座が極めて薄く、まるで地面に控えているような姿である。
・右側が阿形、左側が吽形で、両方ともたてがみが巻き毛なので獅子。
・阿形の頭には窪みがあり、吽形には角であったと推定される突起がある。
・巻き毛の大きな眉の顔は、いかめしいが笑っていて親しみやすい。
・前足は開き気味に真っ直ぐで、太くて短い。足の付け根に小さな翼あり。
・胴体は丸くて太い。
・後足は、お座り。膝に渦巻き模様。
・尾は、巻き毛で背中に付いている。

阿形の頭には窪みがあるが、これは何なのかわからない。
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同じ川越の氷川神社境内社・柿本人麻呂神社の狛犬にはもっとはっきりした窪みがあり、カッパ頭の狛犬ということで、岩手県遠野にある十王堂の狛犬と同様に火消しの意味ではないかと云う人が居る。
また、品川の寄木神社の狛犬にも大きな窪みがあって、こちらは漁師が頼りにした灯明台にされたという伝承が残る。
しかし、仙波東照宮の場合はそれほどの窪みでもない。

吽形のほうには、角であった思われる突起がある。
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前足付け根の翼と、後足膝の渦巻き模様。
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尾は、いわゆる「付き尾」だが、巻き毛である。
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「はじめ型」の、小型で四つん這い、髪の毛先だけがカールしている、尾が背中にくっついている特徴を表わしているが、彫りがていねいで良い出来だと思う。
「はじめ型」の特徴である、ユニークな笑い顔の親しみやすい顔であり、とても可愛い狛犬だ。



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プロフィール

四季歩

Author:四季歩
とにかく歴史好きです。そして旅も好き。
写真が趣味なので、いきおい記事は写真が中心になります。

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